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Kirin 970のAI専用プロセッサは中国独自開発の「寒武期」

~中国通信院のホワイトペーパーで明らかに

Kirin 970のAI専用プロセッサは中国独自開発の「寒武期」 Kirin 970
Kirin 970

 Huawei傘下のHiSiliconが開発/製造を行なっているスマートフォン向けプロセッサ「Kirin 970」。CPUコアにCortex-A73 2.4GHz+Cortex-A53 1.8GHz、GPUにMali-G72 12MPを採用し、10nmプロセスで製造されるこのSoCは、伝統的なスマートフォンのプロセッサとしも高性能だが、最大の特徴は、新たに搭載される人工知能(AI)アクセラレータ「NPU」だろう。

 9月初頭のIFAで発表されたとき、「CPUのダイエリアの半分のサイズで実装できるこのNPUは、深層学習といったAI処理において、CPUと比較して25倍の性能を50倍の電力効率で実行できる」とアナウンスされたが、そのアーキテクチャについては明らかにされていなかった。

 9月25日に中国・北京で開かれたKirin 970に関するメディア交流会でも、“HiAI”アーキテクチャとされているだけで、実際多くはベールに包まれたままだった。

 しかし、中国信息通信研究院が9月27日に公開した、中国のスマートハードウェア産業の発展に関するホワイトペーパーで、その“中身”が明らかとなった。「コアとデバイス/アプリケーション開発企業が提携を強化し、新しい技術が搭載された製品の市場投入を加速する」という一文に続き、「寒武期(Cambricon)はIPライセンス提供という形でHiSiliconと提携した。深層学習用のチップがKirin 970のなかに組み込まれ、深層学習のタスク実行と処理の高速化を実現した」とされている。

 つまり、Kirin 970のNPUは、CPUやGPUとは異なり、アーキテクチャは中国で設計されたもの、ということになる。寒武期の特徴については、過去記事(中国が開発した深層学習用プロセッサ「寒武紀」)を参照されたいが、かなり早いペースでコンシューマ製品において商用化されたと言ってもいいだろう。なお、Kirin 970を最初に搭載するスマートフォンは「Mate 10」で、ドイツ時間の10月16日にドイツ・ミュンヘンで発表される。

 余談だが、中国信息通信研究院が今回公開したホワイトペーパーは、スマートフォンやVR/AR、IoTといった市場の展望も述べられている。世界最大とされる中国のスマートフォン市場だが、すでに飽和状態に入っており、今後は縮小の一途をたどるという。