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世界最大、合計出力30万Wの人工太陽「Synlight」

 ドイツ航空宇宙センターは23日(現地時間)、149基の高性能キセノンランプで作られた世界最大の人工太陽試験設備「Synlight」の導入完了を発表した。太陽光を再現した疑似太陽光環境が必要な研究などに用いられる予定だ。

 設備は三階建てとなり、人工太陽システムは149基のショートアークキセノンランプ(電極間の距離が短いキセノンランプランプ)を持ち、合計350kWもの出力を持つランプアレイを形成する。

 また、この設備はそれぞれのランプの放射を自在に操作することが可能。最高で20×20cmの範囲にまで集中させることも可能で、その場合、地表に降り注ぐ太陽光の1万倍にもなり、表面温度は3,000℃にも達する。

 研究者らはこの超高温を、有力な代替燃料の候補である水素の生成に用いることを考えている。通常、水を水素と酸素に分解するためには大きなエネルギーが必要となるが、そのエネルギーを太陽光でまかなうため、こうした疑似太陽光環境で将来的に応用する技術を積み上げていく予定だ。

 同研究所は、既に先行する研究で太陽光から水素を作り出すことに成功しており、今回導入された人工太陽設備を利用して実験室レベルから工業レベルへの移行を模索する予定だ。

前掲の画像と合わせると、巨大さがわかる