イベントレポート
【Inter BEE】VAIOプロトタイプによる4K24pデモが初公開
(2014/11/20 06:00)
プロフェッショナル向けの映像・オーディオ・通信の展示会である「Inter BEE」が11月19日から21日の会期で開幕した。会場は幕張メッセ。事前登録により入場料は無料となる。
Inter BEEについては、その性格上、僚誌AV Watchで詳しいレポートが掲載されるが、今回PC視点でイベントを取材してみた。
Iris Proの性能を活用したVAIO Prototype PCのデモ
キヤノンブースの一角には、まだ開発段階である「VAIO Prototype PC」(以下、VAIO)が数台設置され、デモを行なっている。
キヤノンは、デジタルシネマカメラ「EOS C500」の現像ソフトウエアである「Cinema RAW Development 1.3」(以下、CRD 1.3)を先日に公開した。このバージョンの強化内容の1つとして、Intel CPUの上位モデルに搭載されるIris Proへの最適化を図り、4K RAWデータを最大24fpsでリアルタイム再生できるようになった。
ということで、同ブースではVAIOを使って、実際に4K RAW動画が24fpsで再生できるというデモが初公開されている。VAIOの正式な仕様は未定だが、CPUにはIris Pro搭載のCore Hプロセッサが採用される。EOS C500など、プロ向けの4Kカメラもコンパクトになってきているが、それをプレビューするには、従来ハイエンドなGPUを搭載したデスクトップマシンなどが必要だった。
CRD 1.2では、Iris Pro搭載機でも4K RAW動画は5fps程度でしか再生できなかったが、CRD 1.3により、モバイル機器でもリアルタイム再生できるようになったことで、撮影現場に持ち込み、即座にプレビューして問題がないか確認するといった具合にワークフローを大幅に短縮できる。
また、VAIOは、Iris Proを搭載する唯一のタブレット(ほかはゲーミングノートなど)であるほか、Adobe RGBカバー率95%以上の液晶を搭載していることで、フレームレートだけでなく、色の再現の点でもプロのニーズを満たせる。発売日も未定だが、すでにこういった用途で多数の引き合いを受けているという。
また、静止画においても、「Lightroom 5」におけるRAW現像の性能が、一般的なモバイル機器に搭載されるCPUよりも2倍以上速いこともアピールされている。
ドローン
PCとは関係ないのだが、技術・トレンド的に興味深かったのが、プロ向け空撮用ドローンの展示。ドローンによる空撮は、安価なドローンやアクションカメラが登場し始めたこと、そしてつい最近、日本で撮影され、Perfumeも登場したイギリスのバンド「OK Go」のPVが公開されたことでも注目を集めている。
システムファイブは、同社が取り扱う業務向けのドローン「PRODRONE」を展示している。PRODRONEは、撮影だけでなく、災害調査や測量、物資の輸送など多目的に使え、今後も活用の拡大が見込まれているが、飛ばすにあたり特別な資格などは必要ないため、訓練を受けていないユーザーが使うと、墜落して事故を招く危険性もはらんでいる。
そこで同社では、単にPRODRONEを販売するだけでなく、トレーニングや、安全管理、定期的な点検など、トータルソリューションとしてドローンを扱っている。そして、購入にあたっては、用途などが厳しくチェックされ、基準を満たしたユーザーにだけ販売し、ドローンによって事故が起きる可能性を可能な限り低めるよう努めている。なお、基本的に販売対象は法人だが、基準を満たせば個人での購入も可能という。また、特殊な用途に対応するため、PRODRONEのカスタマイズにも応じる。
一方、ドローンはカメラを空中に運ぶ機能を持っているが、カメラを操作するには別途遠隔操作できるジンバルなどが必要となる。システムファイブの真横のブースではDJI製のドローン、そしてその空撮用オプションなどが展示されている。
パナソニックの4K対応デジカメ「GH4」専用のジンバルもあり、その実機や、GH4を使って空撮された映像はパナソニックブースでも見ることができる。
インテルはアドビブースで各社のハイエンドマシンを展示
話をPC関連に戻すと、アドビシステムズとインテルは共同でブースを出展。「Creative Cloud」とIntelプロセッサ搭載PC/ワークステーションで実現する4K60p映像制作といったステージデモなどを行なっている。
また、同ブースでは、ショップブランドを中心としたPCメーカー各社の映像編集向けマシンを広く展示している。こちらには、先日掲載した「メーカーさん、こんなPC作ってください! プロ向けXAVC 4K動画をネイティブ編集できるPCを考える」で、弊誌、ライターの小寺信良氏、パソコン工房が共同で企画したマシンの実機も展示されている。
日本マイクロソフトは、最近クリエイティブ分野での「Surface Pro 3」の利活用を訴求しているが、Inter BEEではそちら方面ではなく、Microsoft Azureを使った動画配信ソリューションのデモや説明を行なっている。