イベントレポート
BT Smartを活用したユニークなソリューションなど組み込み機器の展示会
~Embedded Technology 2014が19日に開幕
(2014/11/20 06:00)
一般社団法人組込みシステム技術協会主催の展示会「Embedded Technology 2014/組込み総合技術展」(ET 2014)が、パシフィコ横浜で19日に開幕した。同協会会長の簗田稔氏は開幕の挨拶で、「これからの成長産業を支えるキーテクノロジーが組み込み技術であると信じている」と意気込みを述べた。今年(2014年)は新規出展企業46社を含む、計364社が出展。3日間で24,000名の来場を見込む。会期は19日~21日の3日間。
今年は“IoTでビジネスが変わる!”をテーマに掲げており、IoT関連のセッションは希望者が多いため席数を増やして対応しているという。そうしたIoT関連だけでなく、同展示会で目に留まった製品やソリューションを紹介する。
Bluetoothを省電力に利用できる技術として、ウェアラブル機器などへの採用が増えているBluetooth Smart。村田製作所ではBluetooth Smartを利用した赤ちゃんの見守りソリューションを提案していた。これは加速度センサーや温度/湿度センサー、IR温度センサーを搭載した赤ちゃんに装着させるバンドと、同じく加速度センサーや温度/湿度センサーを備える“日記ツール”から成る。
それぞれのデバイスからスマートフォンなどへBluetoothでデータ転送され、ライフログが記録される。赤ちゃん用のバンドからは自動的に送信されるが、日記ツールからはボタンを押すことで周辺環境を測定して転送するなど任意のタイミングで送信できる。村田製作所自体が本製品を発売するわけではないそうだが、同社ではCSRのソリューションを用いた現行よりも小型のBluetoothモジュールの開発も進めており、こうしたウェアラブル機器での利用提案として展示を行っている。
太陽誘電のブースでは、Nordic SemiconductorのCPU+Bluetooth Smartチップ採用モジュールを組み込んだダーツゲームを展示。株式会社ラグザによって製品化されているものだそうで、ダーツボード側にBluetooth Smartモジュールが組み込まれており、矢がどこに刺さったかを判定して、スマートフォンやタブレットへ転送。得点を記録できるだけでなく、インターネット上のランキングサイトなどで共有して活用できる。
東芝は2014年8月にリストバンド型の活動量計を製品化しているが、ET 2014では関連会社の東芝デジタルメディアエンジニアリングがもう少し医療寄りのデモを行なうなど、ソフトウェア開発の受託などを行なうべく展示、説明を行なっていた。
展示されたデモは、7月に発表した「Silmee Bar type」と呼ばれる人体に貼り付けるタイプの生体センサーを用いたもの。この生体センサーは、肌に触れる側に接点や赤外線温度計が備わっており、心拍数や皮膚の表面温度などを測定可能。さらに加速度センサーも内蔵していることで、起立、仰向け、伏臥など姿勢を細かく判別できる。デモでは、医療機関での利用を想定して、ユーザー(患者)ごとに個別にデータを管理できるところも示している。
ブースでは、NVIDIAのスタッフも説明員として参加し、Tegra K1を用いたGPGPUソリューションも展示。NVIDIAが提供している「Jetson Pro開発キット」をベースとしたTegra K1搭載ボードを、拡張ポートなどを備えたボードへ接続したもので、東芝デジタルメディアエンジニアリングでは仕様策定から製造までのシステム開発をサポートできるとする。
また、アスクのブースでは、PC PartnerのTegra K1搭載小型コンピュータ「N258N1-F」を展示。こちらはカスタムボードを用いた製品で、ボード単体での提供も含めて、組み込み用途に提案している。
日本AMDのブースでは、非営利の開発ボードコミュニティである「GizmoSphere」が提供する新製品「Gizmo 2」を展示。ここにTDP 9WのSoC「AMD Embedded G」シリーズの、GX210HA(1GHz、デュアルコア)が搭載されていることが12日に発表されている。
Gizmo 2は、約10.1×10.1mm(4×4inch、幅×奥行き)の小型ボードで、Gigabit Ethernet、音声入出力、HDMI出力、microSDカードスロット、mSATAスロット、USB 3.0×2、USB 2.0×2、GPIO、SPI、I2Cなどのインターフェイスを搭載。x86ベースのプロセッサが搭載されており、ここでWindows EmbeddedやLinuxなどを実行することができる。組み込み向けでないWindowsについてはSATAインターフェイスを持っていないために動かない可能性が高いとしている。ちなみに、コネクタは実装されていないものの、ボード上にSATAのパターンは用意されている。
価格は199ドル。本ボードは直輸入で購入できることもあり日本AMDで取り扱うという計画はないそうだが、要望やロットなどによっては応じる可能性もあるとしている。
NECのブースでは、同社の業務用タブレットとしては初めてWindows Embedded 8/8.1を採用した10.1型タブレットを参考展示した。IP54準拠の防塵防滴に対応するほか、1mの高さからの落下試験を通過する堅牢性を備える。業務用途の製品として、5年間の供給/保守体制を整える。
プラットフォームはAtomベースで、Windows Embedded 8.1 Industry Proのモデルがメモリ4GB/ストレージ64GB、Windows Embedded 8 Standardモデルがメモリ2GB/ストレージ16GBを搭載。ディスプレイは1,280×800ドット表示/タッチ対応のIPS液晶を搭載する。
そのほか、NFC、IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 2.1+EDR、200万画素前面/500万画素前面カメラ、microSDカードスロット、USB、音声入出力などを装備。クレードルやハンドベルト、肩掛けストラップなどのオプションも用意される。
バッテリ駆動時間は約6時間。本体サイズは279×190×19mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約900g。なお、仕様はいずれも現時点で予定されているもので、製品発売時には異なる可能性がある。