株式会社バッファローの米国法人「Buffalo Technology,Inc.」(以下、Buffalo)は、ラスベガスで開催中のCESに合わせて、米国市場向けに数々の新製品を発表した。同社は会場近くのホテルで製品展示とデモンストレーションを行なっている。
今回注目したプロダクトは、iPhone/iPodのDockコネクタを搭載するドッキングステーションが付属するポータブルHDDの「DUALIE」(デュアリー)。ローンチモデルは、500GBの容量からスタートする。実際の製品を手にしながら、同社のビジネスデベロップメントディレクターのBrian Verenkoff氏に製品詳細と販売戦略について話を聞いた。
DUALIEの製品構成は、2.5インチHDDを内蔵するポータブルHDDと、専用のドッキングステーション。ドッキングステーションは、前後に2つのスロットを配置して、前方にiPhone/iPod、後方にポータブルHDDをそれぞれスロットインできるようにデザインされている。ドッキングステーションは、USB2.0のハブ機能も有しており、他のUSB機器も2個まで同時接続することが可能。PC側とドッキングステーションは一本のUSB 2.0ケーブルで接続。iPhone/iPodの同期や充電、ポータブルHDDのマウントが、簡単に行なえるようになっている。またドッキングステーションはセルフパワーのHubとなっているので、PCと接続していない場合でもiPhone/iPodを充電できる。
日本では「つやスリム」をキャッチフレーズに、光沢感のあるデザインを前面にだして展開している同社のポータブルストレージ製品群だが、DUALIEでは一転、表面はラバーによってソフトタッチにコーティングされたマットな質感、底面はつや消しのアルミコートというデザインが採用されている。電源とHDDアクセスも青色を採用して半円状に丸くほのかに光るランプとなっている。Verenkoff氏によれば、いずれも製品のプレミアム感を創出するために考慮されたデザインとのこと。
基本的にはUSB 2.0接続のポータブルHDDであることから、当然PCでも利用できるのだが、DUALIEはMacユーザーをメインターゲットに置いている。出荷時の論理フォーマットはMac向けのHFS Plus。いわゆる「Mac OS 拡張フォーマット」になる。Macユーザーであれば再フォーマットをすることなく最適な状態でそのまま利用しはじめることが可能だ。PCで利用する場合には、まず最初にNTFSなどOSに応じた再フォーマット作業が必要になる。
さらにドッキングステーション利用時はUSB 2.0での接続だが、ポータブルHDD本体にはUSB 2.0と並んでFireWire800(IEEE 1394b)のインターフェイスが搭載されており、MacBook ProをはじめとするFireWire800(IEEE 1394b)搭載のポータブル製品と一緒に持ち歩いた際などには、より高速なHDDアクセスが可能となる点もポイントだ。
なおFireWire800とFireWire400(IEEE 1394a)には互換性があり、9pin-6pinのFireWireケーブルや変換アダプタを使えば、FireWire400のインターフェイスのみを持った従来のMacBookなどでもFireWireによる接続が行なえる。USB 2.0、FireWire接続のいずれもバスパワーで動作。万が一バスパワーが不足する場合には、USBの補助電源ケーブルを使って補う。
●米国では12日より販売を開始。当初はAppleStoreの専売に
「DUALIE」の米国における販売価格は249.99ドル。500GB級のポータブルHDDといえば、日本国内の量販店なら通常13,000円前後からスタートして、それぞれの付加機能に応じて価格が上乗せされていく。DUALIEのように2.5インチクラスでFireWire800インターフェイスを搭載する製品は極めて少ないのだが、おおよそ2万円前後で販売されているようだ。iPhone/iPod対応のドッキングステーションやUSB 2.0 Hub機能の追加と、日米のHDD小売価格差などを考慮すれば、249.99ドルはそれなりにうなずける価格設定といえる。
「Macユーザーがメインターゲット」とされるのは、その販売戦略も理由の1つ。米国では1月12日(現地時間)から販売が開始されるが、当初はオンラインのApple Storeと全米に約200店舗が展開されているApple Retail Store(直営店)でのみ「DUALIE」の購入が可能だ。この専売期間は、発売開始から90日間にわたって継続される。欧州地域での発売は2月を予定しているが、やはり同様の専売期間が設けられるとのことだ。
日本国内での販売戦略や価格については、Verenkoff氏はコメントする立場にないとしながらも、やはりプレミアム感を演出するため何らかの方策はとられるものと推測する。全米に展開するApple直営店が約200店舗を有するのに対して、日本国内のApple直営店は全国で7店舗。まったく同一の販売戦略はとれないにせよ、何らかの仕掛けは用意されると見るべきだろう。
ちなみに、日本国内向けのニュースリリースによると日本国内での販売時期および販売ルートについては、近日発表とされている。
今回、筆者も現地に500GBのポータブルHDDを持ち込んでいる。これはMac OS XのTime Machine用になっていて、CES取材で日々撮影した写真や出展者より提供された資料などをMacBook Pro本体に保存するとともに、Time Machineバックアップを継続している。もちろん不慮の事態に備えたものだが、ポータブルHDDにこうしたニーズが存在するのは間違いない。自宅ではドッキングステーションに付けっぱなしで、意識することなくTimeMachine化。出張など必要に応じて持ち出すというソリューションが簡単に構築できる。もちろんTimeMachineによらず、写真や動画の保存など、目的別の使い分けも可能だろう。
現時点では、DUALIEのドッキングステーションに対応するポータブルHDD部分単体での提供などはアナウンスされておらず、Verenkoff氏からのコメントも得ることができなかったが、DUALIEのコンセプトが成功を納めるならば、さらなる展開も十分に考えられる。
なおBuffaloがCESにあわせて発表した北米地域向けの製品はPC用ポータブルBDドライブや各種のNAS製品など多岐にわたるが、DUALIEを除いては基本的にいずれも日本市場で投入済みの製品となる。ただNASにおいては、3月から4月をメドとしたEye-Fiとの連携についてVerenkoff氏が言及しており、日本において今後Eye-Fiを使った画像アップロードと同社のNASソリューションがどのように関連を深めていくかについても注目していきたい。
(2010年 1月 12日)
[Reported by 矢作 晃]