Flash Memory Summit 2009前日レポート
~フラッシュメモリとSSDの最新動向を業界関係者が発表

会期:8月11~13日(現地時間)

会場:米国カリフォルニア州サンタクララ
   Santa Clara Convention Center



 フラッシュメモリとその応用に関する世界最大のイベント「Flash Memory Summit 2009」が8月11日~13日に米国カリフォルニア州のシリコンバレーで開催される。「Flash Memory Summit」は毎年8月にシリコンバレーで開かれており、講演会と展示会で構成される。NANDフラッシュメモリとNORフラッシュメモリの製品開発や応用システム、市場予測などの最新情報が得られる貴重な機会である。最近はNANDフラッシュメモリの一大応用分野となりそうな、SSD(Solid State Drive)がメインテーマの1つに据えられた。

 開催前日の10日にはプレコンファレンスチュートリアルと呼ぶセミナーが開催されたものの、参加者登録受け付け所や展示会場などは設営中で、会場は閑散としていた。それでは、3日間のイベントの概要をご紹介しよう。

開催前日の10日午後は、プレコンファレンスチュートリアルが開催されていた登録受け付け所を設営中だった。10日午後3時ころに撮影

●8月11日:多様化するフラッシュストレージ

 初日の午前は、3つのフォーラムセッションが同時並行で進む。(1)フラッシュメモリの組み込み応用に関するセッション、(2)フラッシュメモリを利用した記憶装置アーキテクチャに関するセッション、(3)フラッシュメモリのエンタープライズSSD応用に関するセッションである。

 午前の最後には、キーノート講演が予定されている。フラッシュメモリ大手ベンダーのNumonyxが半導体メモリの将来(技術、市場、応用)を展望する。

 昼食休憩を挟んだ午後の始めも、キーノート講演である。ITベンダーのSun Microsystemsが、フラッシュメモリを利用した新たなストレージプラットフォームを提唱する。続いてスペシャルプレナリセッションと呼ぶ、パネルディスカッションが予定されている。パネルディスカッションでは、省エネルギーにフラッシュメモリが与える影響を議論する予定である。

 午後の後半は、3つのフォーラムセッションが並列に進行する。(1)SSDに関するセッション、(2)フラッシュメモリを利用した記憶装置アーキテクチャに関するセッション、(3)フラッシュメモリのエンタープライズSSD応用に関するセッションである。

●8月12日:SSD応用の将来像を展望する

 2日目の午前は、3本のチュートリアルセッションと1本の講演セッションで始まる。チュートリアルセッションのテーマは、(1)フラッシュメモリの応用設計技術、(2)エンタープライズ用SSDの最新動向、(3)フラッシュメモリ応用ビジネスの最新状況、である。講演セッションは前半と後半に分かれており、前半はフラッシュメモリによる情報システムの消費電力削減がテーマだ。後半は企業の情報システム担当役員によるパネルディスカッションである。

 午前の後半には2件のキーノート講演が予定されている。最初はフラッシュメモリ大手ベンダーのSpansionが、電荷捕獲(チャージトラップ)方式のNORフラッシュメモリが抱える課題と解決手法、それから電荷捕獲方式のNANDフラッシュメモリへの応用の可能性を解説する。続いてフラッシュメモリ応用製品の大手ベンダーであるSanDiskが、フラッシュメモリ業界の健全な成長を促すための条件を議論する。

 昼食休憩を挟んで午後のセッションも、キーノート講演が2件続く。初めは半導体メモリ大手ベンダーのSamsung Semiconductorが、SSDの応用動向を解説する。続いてSSDベンダーのIntelが、SSDの登場がコンピューティングプラットフォームに与える影響を議論する。

 午後の後半は、2本のチュートリアルセッションと2本の講演セッションが予定されている。チュートリアルセッションの1本は、NANDフラッシュメモリの新技術、もう1本はエンタープライズ向けSSDがテーマである。講演セッションは前半と後半があり、前半のテーマは1本がデータセンター応用、もう1本がセキュリティ、後半のテーマは1本がコンシューマ応用、もう1本がNORフラッシュメモリとなっている。

●8月13日:ストレージの未来とSSDの果たす役割

 最終日の午前は、プレナリセッションで始まる。ここではフラッシュメモリの先を狙う次世代不揮発性メモリ技術の最新状況を開発企業が報告する。スピントルクRAM(STT-RAM)や抵抗変化メモリ、超高密度OTPなどの講演が予定されている。

 プレナリセッションの次は2本の講演セッションが並行して進む。1本はフラッシュストレージ用コントローラと誤り訂正回路の設計に関するセッション、もう1本は市場予測に関するセッションである。

 その後はキーノート講演が2件続く。まずは、半導体メモリの大手ベンダーMicron TechnologyがNANDフラッシュメモリ製品の選択手法と高密度化技術の動向を解説する。続いてハードディスク装置(HDD)の大手ベンダーWestern Digitalが、ストレージ市場の今後10年を展望するとともに、SSDの果たす役割を述べる。

 午後の前半は、2本の講演セッションが同時並行で進行する。1本はセキュリティ、もう1本はコンシューマ応用のセッションである。午後の後半も2本のセッションが並行して進む。1本はパネルディスカッション、もう1本はSSDの性能に関する特別チュートリアルである。

 これらの講演の中からPC Watchでは順次、現地レポートをお届けする予定である。ご期待されたい。

(2009年 8月 11日)

[Reported by 福田 昭]