イベントレポート

MWC 2015レポート:Sonyブース編

~新機種のインプレッションと周辺機器を紹介

 Sonyは、Mobile World Congress 2015に合わせてタブレット新モデル「Xperia Z4 Tablet」とスマートフォン新モデル「Xperia M4 Aqua」を発表し、会場Sonyブースで展示した。本稿では、展示された実機のファーストインプレッションと、その他に展示されていた周辺機器を紹介する。

Xperia Z4 Tablet

Xperia Z2 Tablet。400gを切る軽さで、片手でも楽に持って扱える

 10.1型タブレットで世界最薄・最軽量を実現した、Xperia Z4 Tablet(以下、Z4 Tablet)。従来機種のXperia Z2 Tabletも十分に軽量だったが、Z4 Tabletは400gを切る軽さ。実際に手に持ってみても、10型クラスのタブレットを持っているとは思えないほどに軽く、長時間手に持って使う場合でも、疲れ知らずで利用できそうに感じる。もちろん、6.1mmの薄さも驚異的で、側面のボタンやポート類はこれ以上の薄型化は不可能なのではないかと思うほどだ。

 また、従来までは、液晶周囲のベゼル幅の広さにやや不満の声もあったが、Z4 Tabletではかなり狭くなり、フットプリントが縮小。従来までの大柄な印象が薄れ、携帯性も向上したと感じる。

 ただし、薄型化の影響か、従来まであった充電用端子が省かれている。これまでは、マグネット式の充電台で手軽に充電できていたが、Z4 TabletではMicro USB端子にケーブルを接続して充電しなければならず、やや面倒に感じる。なお、Micro USB端子はキャップレスとなっており、その点は嬉しい。

底面。高さは6.1mmと非常に薄い。従来まであった充電用の端子がなくなり、充電スタンドによる充電が行えなくなった
左側面
上部側面。ヘッドフォンジャックの幅が本体と同程度に見える
右側面。Micro USB端子はキャップレスとなった
底面。従来モデル同様で見た目はまさに”板”そのもの
microSDカードスロットとSIMカードスロットは防水キャップで保護。SIMカードはNano SIMに対応する

 面白いのが、オプションとして用意される専用Bluetoothキーボード「BKB50」。Androidタブレット用キーボードとしては珍しいハードタイプのキーボードで、後方の溝にZ4 Tablet本体を装着することで、クラムシェルノート相当の利用が可能となる。また、Z4 TabletとBleutoothで接続すると、画面下部にオリジナルのランチャーが表示され、利便性が高められる。

 タブレットの開閉角度は0~130度の間で、任意の角度で保持できる。ただ、フックなどで固定する機構は存在せず、溝に挟んで固定する方式となっている。そのため、タブレット部のぐらつきはやや大きい印象だ。なお、BKB50の重量は380g(未確定)。Z4 Tablet本体よりもわずかに軽く、双方を合わせても重量は800gを切る計算。実際にキーボードセットで持ってみても、十分軽快に持ち歩ける印象だ。

オプションのBluetoothキーボード「BKB50」。キーピッチは狭いが、十分タッチタイプが行なえる。タッチパッドも備え、ノートPC同等の活用が可能となる
Z4 TabletとBKB50が接続されると、画面下部にランチャが表示され、マウス操作でアプリを起動できる
キーボードを装着した状態。タブレット部の角度は0~130度の範囲で任意に固定可能
Z4 Tabletは後方の溝にはさんで固定。フックなどでの固定はなく、ややぐらつく
キーストロークは浅く、クリック感も弱い。ただ、カバータイプのキーボードより剛性は優れる
タッチパッドはクリックボタン一体型だ

 液晶は、従来モデル同様に10.1型IPS液晶”トリルミナスディスプレイfor Mobile”で、バックライトもLive Color LEDを採用するが、解像度がWQXGA(2,560×1,600ドット)に高められたことで、精細感が向上。写真を表示させた場合の品質も大きく高まったと感じる。もちろん、鮮やかな赤など発色も申し分ない。

 サウンド機能の強化としては、ハイレゾ音源の再生(Xperia Z2 Tabletもアップデートで対応)に加え、Bluetoothでハイレゾ相当の高音質サウンドを伝送できる新コーデック「LDAC」への対応が大きなトピック。ブースではLDAC対応Bluetoothヘッドフォンを利用したデモが行われていたが、確かにワイヤレスながらかなり高音質の音楽試聴が可能だった。LDAC対応ヘッドフォンを用意する必要はあるが、無線で軽快に高音質な音楽鑑賞が可能となる点は、大きな魅力となりそうだ。

Z4 Tabletを装着した状態で閉じると、見た目はノートPCそのものとなる
キーボード装着時には高さが単体の場合より2倍ほど厚くなる。ただ、キーボードの重量は380g(未確定)で、Z4 Tabletとセットでも800g未満となり、軽々持ち運べる
液晶は、WQXGA表示に対応。発色性能にも優れ、特に赤が非常に鮮やかに表現される
Bluetoothでハイレゾ音源の再生が可能なLDACに対応
「MDR-1ABT」など、LDAC対応Bluetoothヘッドフォンを用意すれば、ワイヤレスでハイレゾ音源の再生が可能
Z4 Tabletを立てかけて利用できる専用のスタンド機能付き保護カバー「SCR32」もオプションで用意される

Xperia M4 Aqua

5型HD液晶搭載のミドルレンジスマートフォン「Xperia M4 Aqua」

 Xperia M4 Aquaは、比較的安価な価格で販売されるミドルレンジスマートフォンだ。側面フレームに樹脂を採用したり、ハイレゾ音源再生非対応など、上位モデルに比べるとやや仕様や機能面で劣る。それでも、IP65/IP68準拠の防水・防塵性能を備えると共に、本体デザインはXperiaシリーズおなじみのオムニバランスデザインを採用し、質感も優れるため、安っぽさを感じることもほとんどない。また、64bitオクタコアプロセッサ採用もあり、Android 5.0もキビキビと動作する。

 液晶は5型のため、基本的には大柄な筐体ではあるが、ミドルレンジのスマートフォンでも5型液晶採用モデルが多数を占めるようになり、以前のように大きいという印象はなくなっている。実際に持ってみても、手にすんなり馴染むと感じた。

 液晶は5型IPSパネルで、“トリルミナスディスプレイfor Mobile”ではない。表示解像度もHD(720×1,280ドット)と、それほど高解像度ではない。発色の鮮やかさなどは、Z4 Tabletに劣る印象だが、ミドルレンジスマートフォンの中では表示品質は上位に位置すると感じる。

 機能面も上位モデルに比べるとかなり削られており、見劣りする部分があるのは事実だが、本体の質感は申し分なく、価格を考えると機能面も納得の範囲内。それだけに、日本での販売も実現してほしいと感じる。

下部側面。側面素材は樹脂を採用
左側面。Micro USBコネクタはキャップレス仕様。こちらもマグネット式充電台は非対応で、USBケーブルを利用した充電となる
上部側面
右側面。電源ボタンはおなじみの円形のボタンを採用
裏面。上位モデルと見た目はほとんど変わらず、安っぽさは皆無だ
裏面のメインカメラは1,300万画素の”Exmor RS for Mobile”。F2.0の明るいレンズとISO 3200対応で、暗い場所でもキレイな写真が撮影できる
フロントカメラは500万画素。88度の広角レンズでセルフィー撮影も便利

その他の周辺機器

 Sonyブースでは、MWC 2015に合わせて公開された周辺機器もいくつか展示されていた。その中から特徴的な製品を写真で紹介する。

Bluetoothヘッドセット「SBH70」

 首掛け型ヘッドセットの新モデルで、従来モデル「SBH80」の下位に位置付けられる製品。SBH80ではバッテリが首に当たる部分に配置されていたが、SBH70では首の左右にあたる部分にやや大きなユニットが用意され、そこにバッテリを内蔵するとともに、ボリュームや再生をコントロールするボタンを配置。また、イヤホン部分の形状も変更されている。IP57準拠の防水仕様で、水に濡れても問題なく利用可能。なお、SBH80では高音質コーデック「aptX」に対応していたが、SBH70は非対応。

 NFC対応で、NFC搭載のスマートフォンやタブレットとはタッチするだけでペアリングが行なえる。内蔵バッテリ容量は125mAhで、音楽再生は最大6時間、通話は最大8.5時間。充電は側面のMicro USB端子で行なう。発売時期は2015年春を予定しており、欧州での価格は69ユーロ。

Smart Bluetoothスピーカー「BSP60」

 BSP60は、Androidスマートフォンやタブレットと連携して利用する、球形のBluetoothスピーカーだ。見た目にそ特異な形状のため、非常に目をひくが、仕様もかなり面白い。基本的にはスマートフォンやタブレットとペアリングして利用するが、スピーカー側に音声認識機能があり、「OK Speaker」と話しかけると起動し、そこから声で指示をした内容が実行される。iPhoneの「Siri」やAndroidの音声検索を想像するとわかりやすい。例えば、音楽の再生を指示したり、天気を調べたり、目覚ましをセットしたりといったことができる。

 また、動作時には音などに合わせて耳が上下に動き、その容姿はさながらガンダムに登場するの”ハロ”のような雰囲気となる。さらに、本体下部には車輪が付いており、30cm四方の範囲内で動き回るという。展示機はまだ開発段階のため、実際に車輪で動くことはなかったが、過去にSonyが販売していた動くスピーカ「Rolly」のような雰囲気になるかもしれない。

 ブースで展示されていた展示機は、ハードウェアはほぼ完成に近いものだそうだが、ソフトウェアはまだ作り込んでいる最中で、ブースのデモはプログラムされた内容が繰り返されるだけとなっていた。それでも、その動作を見るとかなり楽しく、引き込まれてしまう。完成形がどうなるか、非常に楽しみな製品と言える。2015年夏頃には発売したいとのことで、価格は未定だ。

BSP60のデモの様子

(平澤 寿康)