イベントレポート
POLAROID、インスタント写真とSNSを繋ぐカメラ
~撮影後に自由にピントをずらせるLYTROも新製品を発表
(2014/9/22 06:00)
前回のレポートに続いて、Photokina 2014の展示ホールからスマートフォンやタブレット、ソーシャルネットワークなどに関連するカメラ機器を紹介する。
米POLALOIDは、インスタント写真がその場で出力でき、インスタント写真から写真のソーシャルネットワークサービスへと連携可能なカメラ「Polaroid Socialmatic」と、関連サービスを同社ブース内に展示している。
正面から見ればInstagramのアイコンにも見えるPolaroid Socialmaticだが、デザインとしてはこちらが元祖的な存在。その仕組みから、あえてスマートフォンのアイコンのようなデザインを狙ったものと思われる。OSにAndroidを採用するデジタルカメラである。サイズは132mm四方の正方形で、厚さは30mm。重量は570g。
Androidを搭載するスマートデバイスであることから、基本的にカメラは個人と結びついていて、利用には関連写真サービスの「Socialmatic Photonetwork」への登録とログインが必要。同時にカメラにも、いわゆる固有IDが設定される。ファインダーはなく、Androidのホーム画面から専用のカメラ機能を起動して、背面の4.5型液晶をプレビュー画面として撮影を行なう。モバイル通信機能は搭載されていないが、無線LANとBluetooth、GPS機能を内蔵している。
Androidのバージョンは公表されていないが、カメラ機能向けにカスタマイズされている模様。SNSサービスのFacebook、Twitter、Instagramなどのアプリケーションを利用できるが、Google Playのフルサービスが使えるかは不明。ホーム画面にStoreのアイコンは存在する。本体内のストレージサイズは4GB。microSDカードスロットも用意され、撮影した写真は主にmicroSDカード側に保存すると考えていい。
カメラ機能は1,400万画素。プレビュー画面側にも200万画素のカメラ機能が付いている。もちろんPOLAROIDなのでインスタント写真に対応。本体内にZinkと呼ばれる規格のインスタントフイルムをセットして、横76mm×縦51mmのサイズの写真をその場でプリント可能だ。撮影ごとに出力するのではなく、デジタルカメラとして撮影したデータから出力したい写真を選択して使用する。
こうして出力した写真には、GPSデータをもとにした撮影位置や撮影したカメラの固有ID、そしてSocialmatic Photonetworkへのリンクを記載したQRコードが同時に表示される。正確にはアップロードされた写真に固有IDとGPSデータのExifが含まれているので、そのリンクをQRコードで出力していることになる。
例えば旅先でこうした写真をピンボードなどに留め置くと、それを見たほかのユーザーが後からQRコードを読み取ることができ、Socialmatic Photonetworkにアクセスしてその写真はもちろんのこと、撮影者が撮ったその他の写真やコメントなども閲覧できる。Polaroid Socialmaticがあれば、同じ写真をほかのユーザーが出力することも可能になる。この部分がPolaroid Socialmaticのポイントで、インスタントフィルムをきっかけにした写真ソーシャルネットワークへの導線を狙っている。
出展された製品はプロトタイプということで、製品は2014年末から2015年初頭の発売を目指す。まず欧州エリア、北米エリアからの展開。価格は現時点で明らかにされていない。
撮影後にピントが変更できるカメラ「Lytro」の新製品「Lytro Illum」。いかにもデジタルガジェットらしい筒型だった前モデルに対して、Lytro Illumは一眼レフカメラに近いデザインになっている。すでに出荷済みで、米国における価格は1,499ドル。
Lytroの最大の特徴は、撮影したフレーム内の全ての位置に後からフォーカスを設定できるところ。これがいかなるものかはサンプルを見てもらうのが早い。
すでに撮影済みで、1つのファイルとして参照している写真だが、ピントを合わせたい位置をタップすることで、その位置にフォーカスが移動するという仕組みだ。後処理によって、全体をいわゆるパンフォーカスにすることも可能。
Lytro Illumは35mm換算で30~250mmの光学式ズームレンズを一体化。F値は全域でF2.0。撮影後の後処理でF16まで調整が行なえる。撮像素子は同社がMEGARAY SENSORと呼ぶ40メガピクセル。本体サイズは、166×145×86mm(奥行×幅×高さ)。重量は940g。操作部とプレビュー表示を兼ねる液晶パネルも搭載する。