イベントレポート

Intel、第4世代CoreプロセッサをOEMメーカーへ量産出荷開始

〜東芝が5月に発表予定の新型脱着式Ultrabookが参考展示

Intel上席副社長兼PCクライアント事業本部長 カーク・スコーゲン氏
会期:4月10日〜11日

会場:中華人民共和国 北京市 国家会議中心

 Intelは、中華人民共和国北京市にある国家会議中心において同社製品の開発者向け技術イベント「Intel Developer Forum(IDF) 2013 Beijing」を4月10日〜11日(現地時間)の2日間に渡り開催している。米国からIntelの幹部が渡航して、基調講演などに登壇し同社のソリューションを説明するほか、現地でアジアのOEMメーカーなどとさまざまな会合を持つ機会としても利用されている。

 初日となる10日には、クライアント、モバイル、サーバーに関する基調講演が行なわれ、同社が今年(2013年)ないしは来年にリリースを予定している製品の概要などが説明された。この中で、Intel上席副社長兼PCクライアント事業本部長カーク・スコーゲン氏は「第4世代Coreプロセッサはすでに大量生産を開始しており、OEMメーカーへの出荷が開始されている。これらは予定通りに進行しており、第2四半期中に発表し、搭載製品が出荷されるだろう」と述べ、同社が開発コードネーム「Haswell」(ハスウェル)で開発を続けてきた第4世代Coreプロセッサが順調であることをアピールした。

東芝のYプロセッサ搭載脱着式タブレットが初めて公開される

 今回のIDF北京では、中国Intel社長のイアン・ヤン氏を含めて4人の幹部が登壇したが、ヤン氏は全体のアウトラインを説明する役回りであったため、実質的なトップバッターとして登場したのは、PCクライアント事業本部を統括するカーク・スコーゲン氏。同氏は現在Intelが最も力を入れている製品であるUltrabookについての説明を行なった。

 「2011年に初めてUltrabookを導入し、2012年にはより低価格な製品やタッチ機能の追加などを行なってきた。そして2013年にはゼロから設計した第4世代Coreプロセッサを投入し、それに併せて“2 for 1”(1台で2役)をこなせる新しいフォームファクタの普及を目指す」と述べ、HaswellのUltrabookでは、コンバーチブルやデタッチャブル(脱着型)と呼ばれるような、タブレットとクラムシェル型ノートPCのどちらとしても使える新しい形状の普及を目指していくとした。

 さらに同氏は「これまでPCはコンテンツ作成の機器、タブレットや電話はコンテンツを消費する機器という認識だったと思うが、今後コンバーチブルやデタッチャブルはその両方のシーンに対応することができる」と述べ、コンテンツ作成も消費も可能なデバイスとしてUltrabookを一般消費者にアピールしていきたいと説明した。

 また、「我々の調査でも多くのユーザーがPCへタッチ機能の実装を望んでいる。供給の問題に関してもすでにタッチパネルベンダーと供給量を増やすことで合意しており、今後供給を3〜5倍に増やすことができる」と述べ、今後供給を増やしていくことで需要に対応することができるという認識を明らかにし、OEMメーカーに対してタッチパネルのノートPCへの採用を促した。

 そうしたコンバーチブルやデチャッタブル製品の例として、SDP 7Wの第3世代Coreプロセッサ(いわゆるYプロセッサ)を搭載した2つの製品を紹介した。1つは1月のCESでも紹介されたLenovoの「Yoga 11S」で、現在13型の液晶で販売されているLenovoの「Yoga 13」の11型版を紹介した。「Yoga 11Sは6月に799ドルで販売開始される予定だ」と具体的な発売時期と価格についても言及した(なお、時期や価格は米国での予定で、レノボ・ジャパンによれば日本での販売予定は未定)。

 もう1つは東芝から販売される予定の「PORTEGE」シリーズの製品として海外などで販売される予定のデタッチャブルのUltrabookだ。5月に発表される。CeleronからCore i5までのプロセッサが選択でき、vPro、オールデーバッテリ(ビジネスアワーをバッテリだけで使えるという意味の英語)に対応しているという。なお、製品名がPORTEGEとなっていることからも分かる通り、この製品は日本国内ではなく海外向けの製品となる可能性が高いが、海外でPORTEGEとして販売されている製品も日本ではDynabookブランドで販売されることも少なくないので、そうした可能性に期待したいところだ。

IntelのUltrabookの歴史は、2011年の第1世代(Sandy Bridge=第2世代Coreプロセッサ)から始まって、第4世代Coreプロセッサで第3世代になることになる
PC向けのタッチパネルには供給面での不安が指摘されているが、タッチパネルメーカーに増産を要請していることで解決できるとスコーゲン氏
Ultrabookの次のステップは、2 for 1ことコンバーチブルやデタッチャブルな製品
タッチ対応やコンバーチブル/デタッチャブルなUltrabook
コンバーチブルやデタッチャブルなUltrabookがPCに新しい付加価値を追加する
LenovoのYoga 11Sは、SDP 7Wの第3世代Coreプロセッサ(Yプロセッサ)を搭載した11型コンバーチブルUltrabook
LenovoのYoga 11Sを紹介するスコーゲン氏
東芝のデタッチャブル型Ultrabook。詳細なスペックは公開されなかった。海外ではPORTEGE(ポーテジェ)ブランドで販売される予定
東芝のUltrabookを分離して、スレートだけにして紹介するスコーゲン氏
東芝のデチャッタブル型Ultrabook。横にはデジタイザーペンらしきペンが置いてあったので、デジタイザペン対応だと思われる。触ることは許可されなかった
スレート部分の左側面には各種ポートなどが集中していた
キーボードドックにはEthernetが用意
背面にはアナログRGBとUSBポートも
キーボードドックの左側面にはUSBポート

GT3+eDRAMがあれば、外付けGPUはもはやいらない

 次いでスコーゲン氏は、第4世代Coreプロセッサについてのより詳しい説明を行なった。「第4世代Coreプロセッサは、ゼロから設計された革新的な製品となっている。特に消費電力の削減幅は大きく、前世代に比べて消費電力は20分の1に減っているなど、IntelのCPU開発の歴史上最も大きな削減幅となっている」とアピールした。さらにスコーゲン氏は「第4世代Coreプロセッサの大量生産とOEMメーカーへの出荷はすでに始まっている。スケジュールは全て予定通りに進展しており、第2四半期中には搭載製品の発表、出荷が可能になるだろう」と述べ、第4世代Coreプロセッサの開発は予定通りに終了して、すでに大量生産が開始されOEMメーカーへの出荷が開始されていることも明らかにした。

 ただし、これは全ての第4世代Coreプロセッサがまとめて発表されるということを意味してはいない。既報の通り、第4世代Coreプロセッサの発表は3段階で行なう計画になっており、第1段階として6月に2チップ版(CPUとチップセット)でクアッドコアプロセッサが発表され、第3四半期に1チップ版(CPUにチップセットが内蔵されているSoC版)、第4四半期に2チップでデュアルコアプロセッサを投入する予定になっている。現にスコーゲン氏も「消費電力の低い製品は今年のしかるべき時期(筆者注:英語でいうとLater this year)に出荷する予定で、Ultrabookは今年の後半になるだろう」と、15Wなどの消費電力の低い第4世代Coreプロセッサは最初の発表には含まれないことを示唆している。

 こうした背景があるため、今回の第4世代Coreプロセッサのデモも、中心は通常サイズのノートPCに採用される37/47W版(Hプロセッサ/Mプロセッサ)を利用したものとなり、第4世代Coreプロセッサで強化される内蔵GPUに焦点が当てられた。第4世代Coreプロセッサの内蔵GPUには、GPUのエンジン数の違いで、GT3(40個)、GT2(20個)などのバリエーションがあるが、最上位SKUのGT3は、現行製品の第3世代Coreプロセッサの内蔵GPUのエンジン数(16個)に比べて倍以上のエンジンを内蔵しているため、GPUの演算性能が大きく向上しており、高い3D描画性能を発揮することができる。特に、GT3では専用のビデオメモリとしてeDRAMを実装することができるようになっており、ビデオメモリに広帯域幅を必要とするようなハイエンド3Dゲームでも十分プレイできる仕様になっている。

 今回スコーゲン氏がデモしたのは開発コードネーム「Niagara」(ナイアガラ)とよばれるIntelのリファレンスデザインのノートPCで、ゲーミングノートPCをイメージしたノートPCとなる。eDRAMを搭載したGT3の第4世代Coreプロセッサを内蔵しており、今後Code Mastersがリリース予定の「GRID 2」という3Dゲームがきちんと動作していた。Intelとしては、こうした製品をアピールすることで、外付けGPUがないシステムでもGT3+eDRAMのSKUの第4世代Coreプロセッサを採用してもらえれば、十分3Dゲームをプレイできるはずだということをアピールしていきたいという狙いだろう。

 また、今年の末にリリースを予定しているBay Trail(ベイトレイル)に、Bay Trail-M、Bay Trail-Dとよばれるバージョンがあり、それぞれ現行のCedar Trail-M(ネットブック向け)およびCedar Trail-D(ネットトップ向け)を置き換える予定であることも明らかにした。現行製品(32nm)では、Cedar Trail(ネットブック/ネットトップ向け)、Clover Trail(タブレット向け)とダイが別れているが、22nm世代ではそれぞれBay Trailから、Bay Trail-T(タブレット向け)、Bay Trail-M(ネットブック向け)、Bay Trail-D(ネットトップ向け)と派生することになる。

 このほかスコーゲン氏は、CESでも説明した新しいコンセプトのAIO(液晶一体型デスクトップPC)や、知覚ベースのコンピューティング、中国におけるWiDiの普及などについても説明した。

第4世代Coreプロセッサ(Haswell)の開発は順調に進んでおり、大量生産とOEMメーカーへの出荷が開始されている
第4世代Coreプロセッサ(Haswell)ではグラフィックス周りの強化が行なわれている
GT3を利用したGrid2のデモ。最新の3Dゲームが統合型GPUで軽々と動いていた
開発コードネーム「Niagara」(ナイアガラ)とよばれるIntelのリファレンスデザインのノートPC。GT3と手書きのメモがそれっぽい
第4世代Coreプロセッサを搭載したUltrabookは今年の後半に発表
CESやCeBITでも紹介したHaswell搭載Ultrabookのリファレンスデザイン「North Cape」を紹介するスコーゲン氏
今年の終わりにネットブック用のBay Trail-M、ネットトップ用のBay Trail-Dを投入
中国でIntelのWiDiに対応している製品を出すベンダーが増えた

Bay Trail世代ではWindowsに加えてAndroidもサポートする

 中国Intel副社長兼モバイル・コミュニケーションズ事業部担当部長のW・K・タン氏は、Intelのモバイル戦略に関する説明を行なった。タン氏は「Intelのモバイル事業は2012年に大きな進化を遂げた。すでに22のスマートフォンが出荷されており、ここ中国では間もなく先日発表したばかりのClover Trail+を搭載したLenovo K900が出荷されるだろう」と述べ、ほぼゼロの状態から立ち上げたIntelのスマートフォン向けSoCビジネスが徐々に軌道に乗ってきているとアピールした。

 タン氏は「先日発表したClover Trail+は前世代のMedfieldに比べてCPU性能が2倍になり、GPUに関しては3倍になっているなど性能が大きく向上している。さらに来年(2014年)の第1四半期に搭載製品が登場予定の次世代プロセッサ“Merryfield”では50%も消費電力を削減することができる」と述べ、今後も性能や電力効率を高めたより強力なSoCをスマートフォン向けとして投入していくことを明らかにした。今回タン氏は詳細を明らかにしなかったが、Intelが計画しているMerryfieldは、Bay Trailと同じ22nm世代のSoCになる。CPUは新しいマイクロアーキテクチャとなり、性能が大幅に強化されるほか、ファウンダリを製造に利用している他社が2014年も28nmプロセスルールに留まる可能性が高い中で22nmになるため、消費電力でも有利になることが予想されている。

 また、タン氏は「Clover TrailとWindows 8の組み合わせは多くのOEMメーカーを獲得するなど好評を博したが、IA+Android OSというタブレットを開発するOEMメーカーも増えつつある」と述べ、LenovoやCOBYなどx86プロセッサ+Android OSの組み合わせでタブレットを開発しているベンダーを紹介した。「2013年の末までにリリースする予定のBay TrailではWindowsに加えてAndroidにも対応する。ぜひIAを利用したAndroidデバイスの開発にも取り組んで欲しい」と述べ、中国に多いAndroid OS搭載のタブレットを製造するベンダなどにARMだけでなくx86プロセッサも採用して欲しいと呼びかけた。

中国Intel副社長兼モバイル・コミュニケーションズ事業部担当部長W・K・タン氏
Intelのモバイル事業は徐々に成長している
MWCのタイミングで発表を行なったClover Trail+(Atom Z2500シリーズ)で性能が大きく向上
2014年の第1四半期に搭載製品を投入予定のMerryfieldでは、消費電力が50%削減される
MWCで正式に発表されたClover Trail+を搭載したLenovoのK900で、ジェスチャーのデモ
IAのAndroidタブレットも徐々に増えつつある
今年の末にリリース予定のBay Trailではパフォーマンスは倍になり、OSとしてAndroidもサポート
Android向けのソリューションも積極的に展開していく

Ivy Bridge-EPとIvy Bridge-EXをサーバー市場へ投入と明らかに

 Intel上席副社長兼データセンター&コネクテッド・システム事業本部長ダイアン・ブライアント氏は、同社のサーバー事業に関する説明を行なった。ブライアント氏は「2016年には190億のデバイスがインターネットに接続されると予想しているが、そうなるとインターネットのトラフィックやそれにより生まれるデータが増え、それらを瞬時に処理してリアルタイムにユーザーにデータを提供することが重要になる」と述べ、今後インターネットに接続される組み込み機器やコンシューマデバイスなどが増えていくことなどにより、処理すべきデータが増え、それをどのように効率よく処理していくかが重要になると説明した。

 「道路通行状況の最適化などはその最たる例と言える。すでに中国の道路では多数のHDカメラとIPを持ったGPSが設置されており、それらから上がってくるHD映像などのデータは膨大だ。それらを処理して即時に最適化した通行の指示などを出すシステムが求められている」と述べ、いわゆるビッグデータとよばれる、多様なフォーマットの情報を処理していく仕組みを利用していくなど、サーバーで処理すべきデータは今後も増えていくという。

 その上でそうした増大するニーズに応えるため、Intelは今後もより強力なサーバー向けのプロセッサを投入する。具体的には今年の第4四半期にIvy Bridge-EXの開発コードネームで知られる大規模サーバー向けのプロセッサを「Xeon E7」として、また今年の第3四半期には2ソケット用のプロセッサになる「Ivy Bridge-EP」をXeon E5として、さらに今年の半ばにはHaswellを「Xeon E3」としてリリースするという。また、昨年(2012年)リリースしたマイクロサーバー向けSoC版Atom S1200シリーズのストレージ機器向けを発表し、今年の後半にはその後継となる22nmプロセスルールのAvoton(アヴォトン、開発コードネーム)とそのネットワーク機器向け版となるRangeley(ラングレー、開発コードネーム)を追加することなどを明らかにした。

 なお、質疑応答ではHaswellベースのXeon E5などの予定がないのかという質問が出たが、ブライアント氏は「HaswellベースのE5は、2014年にリリースする予定だ」と明らかにした。

Intel上席副社長兼データセンター&コネクテッド・システム事業本部長ダイアン・ブライアント氏
ビッグデータへの要求は高まり、巨大なデータを瞬時に解析してユーザーに反応を返すことを求められている
Intelはエンタープライズに求められているさまざまな技術のIPを持っており、さまざまなニーズ向けに最適な製品を投入することができる
Intelのサーバー向けプロセッサのラインナップ
Ivy Bridge-EXはXeon E7として第4四半期に投入予定
Ivy Bridge-EPはXeon E5として第3四半期に投入予定
HaswellベースのXeonは、Xeon E3となり今年の半ばに投入予定
Atom S1200シリーズのストレージ機器向けの製品が発表される
Atom S1200シリーズの後継となるAvoton(アヴァトン)とRangeley(ラングレー)が今年の後半にリリースされる見通し

(笠原 一輝)