イベントレポート

展示ホールレポート、Mac編

〜 MacworldならではのMacに特化した製品とサービスの数々

会期:1月31日〜2月2日(現地時間)

会場:米国カリフォルニア州サンフランシスコ Moscone Center West

以前は分かれていたiOSとMac向けのソフトウェア展示が統合された「Appalooza」

 iOS編に続いて、Mac編としてMacworld | iWorldの会場で見つけたMac関連製品を紹介する。ハードウェアは従来から展示ホール内でiOSデバイス向け、Mac向けの区別がなく展示が行なわれている。一方、ソフトウェアの場合は、2012年まで「Moblie Apps Showcase」と「OS X Zone」で展示のエリアが分かれていた。もちろん、iOS向けのappが少なかった頃は一緒だったが、いわゆるiOS向けのアプリケーションが注目を集めるようになったことで一旦、分化されていた。

 今年(2013年)はこれが再統合され「Appalooza」というエリアになっている。語源を調べてみると、「a-plooza」がいわゆるロックフェスティバルからの由来があり、これにアプリケーションの「App」を混ぜ合わせた造語のようだ。Appフェスティバルと考えればいいだろう。実際に展示されているのはiOS向け、Mac向けそれぞれの単独のアプリケーションもあるが、相互に連携して機能するアプリケーションはここ数年増加傾向にあるので、実情を反映したものと考えられる。なお、エンタープライズ向けには昨年同様にMoscone Center Westの3階に「Mac IT」のエリアが設けられ、関連カンファレンスと一部展示が行なわれている。

3階にある「Mac IT」の展示エリア。メインとなるのは会期を通じて開催されているカンファレンスで、展示はそれを補うシンプルなもの。例えば個人向けにも仮想デスクトップの提供をしている「Parallels」はエンタープライズ向けの製品を展示。セキュリティ企業である「ESET」も1階展示ホールでは個人向け、3階では企業向けのソリューションを展示している

いまひとつ存在感が薄いイメージのThunderbolt関連機器

Western Digitalの展示。「My Book Thunderbolt Duo」を2台つないで転送デモを行なっている

 Mac関連で今後期待されるハードウェアの代表格と言えるのがThunderbolt関連の機器だが、International CESのレポートでも触れたように、いずれも出足は鈍い。もっともわかりやすい事例である高速ストレージのデモンストレーションも、一部のハードウェアが製品化されたりマイナーチェンジしたりはしているが、2012年とやっていることはほとんど変わらないという印象だ。

Seagate Technologyの展示。Thunderbolt対応製品は、既存のものが展示されているが動作デモは行なわれていなかった。同社の今回のイチオシは、iOSデバイスからWi-Fi接続でアクセスできるストレージの「Wireless Plus」。充電式のバッテリを内蔵しており、バッテリで約10時間の駆動が可能。iOSデバイスからは専用アプリケーションで、ストレージ内を参照できる

 目新しいところでは、International CESに合わせて光ファイバーケーブル製品の発表をしたCorningがCESに続いて「Corning Optical Cables」の紹介をしている。同社が発表した製品は、Thunderbolt対応製品とUSB 3.0対応製品があることから、お馴染みの「Blackmagic Disk Speed Test」を使った転送速度のデモが1台のMac上で並行して動いている。ただ、どちらかと言えばプロ向け製品にあたるため一般来場者にはピンと来ないようで、取材中にも「光ケーブル化すると速くなるか?」といった質問も投げかけられていた。回答はもちろん高速化ではなく銅配線では制限されている機器間の長さが延長できるところにあるのだが、“周辺機器”という常識を考えれば一般的な利用の範囲では30m先にあるデバイスは確かにピンと来ないというのもうなずける。

「Corning Optical Cables」のデモンストレーション。ThunderboltとUSB 3.0の転送を並行して行なっている。エンドユーザーには、このリールに巻かれたケーブルの意味がなかなか伝わらないようだ

 ほか、写真速報でも紹介したAKiTiOのThunderbolt対応ドライブケース各種と、Intel 330シリーズのSSDを搭載したストレージなどが参考出品や新しめの製品にあたる。ApotopもSSDでハードウェアRAID0を構成したストレージを展示している。こちらは2012年のComputex Taipeiでも紹介されていた製品のようだ。

AKiTiOのThunderbolt対応ストレージ。ポートは1つでバスパワーで動作する。搭載しているSSDはIntel 330シリーズ
AKiTiOのThunderbolt対応ケース。2.5インチのSSD/HDDを2基内蔵できる。Thunderbolt×2あるいは、Thunderbolt、USB 3.0のインターフェイスを持つ2モデル。IntelやAppleの認証取得後の第2四半期に出荷の見通し。価格未定
同じくAKiTiOのディスクエンクロージャー。こちらは3.5インチのHDDに対応する製品。Thunderbolt×2のインターフェイスを背面に持つことに加え、前面に配置されたUSB 3.0×2、FireWire800をThunderbolt経由で利用可能にする。発売時期、価格ともに未定
ApotopのRAID0対応製品。Thunderboltのポートは1つ。補助電源のACアダプタを接続することで、バスパワーによる給電に比べて転送速度の向上が見込める

 加えて、International CESと同様にBelkinの「Thunderbolt Express Dock」、HENGEDOCKSの「Horizontal Dock」などが展示されていた。Belkinの製品は早ければ2月中にも出荷が行なえるかも知れないというのが、CES以降にちょっと変わった部分になる。HENGEDOCKSの製品は、先行して2013年の第3四半期に発売されるモデルがThunderboltのポートを物理的には利用はするものの、機能としてはDisplayPortの映像出力のみを行なうので正確にはThunderbolt対応製品にはあたらない模様。第4四半期に出荷予定の製品がThunderboltに対応するとしている。それぞれ別製品となり価格も異なる。

Belkinの「Thunderbolt Express Dock」。1つのThunderbltインターフェイスを、Gigabit Ethernet、FireWire 800、USB 3.0×3、オーディオ入力/出力へと拡張する。製品の主要用途とはややずれるが、展示では転送速度の違いも紹介している
HENGEDOCKSの「Horizontal Dock」。MacBook Pro Retinaディスプレイモデルの本体と合わせて4画面出力のデモを行なっている。映像出力は2つあるThunderboltインターフェイスを、DisplayPortとDisplayPort→DVI-D変換で出力。加えてHDMI出力をそのまま背面に送ることで出力されているようだ。Dockを使わなくても4画面出力は可能だが、ケーブルの抜き差しを一度で済ませられるのがDockのメリットと言える

選択肢の増えたMac/iOSユーザ向けのクラウドストレージ

 2013年の展示ホール内で特に目立っていたのがクラウドストレージ関連のソリューションだ。いずれも月極契約や年間契約のプランでクラウドに保存できる容量を設定する。クラウドを使ったファイルの共有やローカルデスクトップとの同期機能は、DropboxやSugarSyncなどマルチプラットフォーム対応の製品の方が日本国内での認知度は遥かに高いと思われるが、この会場はMacworld | iWorldということで、ユーザーインターフェイスをOS X環境に特化させて、かつiOSデバイスからも容易にアクセス可能なサービスがいくつか紹介されている。

 2011年のMacworldでβサービスを開始したDollyDriveは、商用サービス化後も機能の追加を続けている。当初はOS XのTimeMachineバックアップの保存先を、ローカルにつないだストレージからクラウドへと転換させることが基本だったが、現在はローカルとクラウドで二重化が可能となっている。さらに契約容量内で、バックアップだけでなくファイル共有のサービスも加わった。OS Xのバージョンが変わる度に安定性を欠いてバージョンアップを余儀なくされていた感のある管理ソフトウェアも一新されているとのこと。

ファイル共有サービス「Dolly Space」に合わせて、宇宙飛行士の格好で製品が紹介されている。ソフトウェアが一新され、管理画面がわかりやすくなった

 IDriveも同じようにオンラインバックアップとファイル共有を提供するサービスだが、初期設定に際して外付けの2.5インチHDDを付属させることができるというアイディアは面白い。ユーザーは最初に99.95ドルを払って1TBのHDDを購入して、ローカルのバックアップを作る。クラウドのバックアップはそのローカルのバックアップと統合されていくという仕組みだ。確かにこれまで一度もバックアップを取ったことのないようなユーザーであれば、初期費用はかかるが良いきっかけにもなりそうだ。また、改善が進みつつあるとは言え米国のインターネット接続環境は、日本の一般的な接続環境とはかなり異なる。はっきり言って遅いのが普通。ある程度大きな量のバックアップをクラウドに保存しようとすれば、最初に一体どれだけの時間がかかることかわからないケースもあるだろう。しかしローカルにとりあえずHDDがあればバックアップの基礎は築ける。

米国限定だが、1TBの2.5インチHDDが付属する初期プランもあるIDrive。個人向けバックアッププランは150GB容量が年間49.5ドル、500GB容量が149.5ドルなど
「CRASHPLAN+」。こちらもオンラインバックアップとローカルドライブに保存できるという仕組みは同じ。面白いのはバックアップ先の1つとして、インターネットを経由した信頼できる友人のPCを選択できるという点がある
「MacMate」。こちらはバックアップではなく、ホスティングサービス。AppleがMobileMeからiCloudへクラウドサービスを移行した際に、WebサイトやGalleryなどのサービスが閉鎖されたが、MacMateはiWebを使ったWebサイトの構築や新たなGalleryサービスなど、MobileMeの受け皿的な機能も持っている。Webホスティングもできるプランは年間99ドルで25GB容量がベースプラン。1GBあたり年間1ドルで最大200GBまで容量を拡張できる
こちらはDDNS機能を使ったパーソナルクラウド「TRANSPORTER」。自分で2.5インチのベアドライブを用意してサービスを開始。パーソナルクラウドなので、かかる費用はTRANSPORTERの本体とベアドライブの費用のみ

その他のMac関連ハードウェアとソフトウェア

 International CESでは数年前から出展しているので全くの新製品とは言えないが、Macworld | iWorldへの出展を果たしたことと、なかなかCESのタイミングで紹介する機会もなかったので、この機に紹介するのが「GOAL ZERO」。太陽電池パネルを使った充電ソリューションで、写真にあるスティック状やカートリッジ状のスマートデバイス向け製品から、Mac/PCのラップトップへも電力を供給できるミドルレンジ、そして家庭用電源も供給できる大型製品までを同一ブランドでスケーラブルに展開している。アウトドアをはじめ、災害対策、日常の利用も想定。ちなみに家庭用はフル充電状態で約20時間の冷蔵庫稼働が可能とのこと。付属する太陽電池パネルも容量に応じて大きくなるが、最大4枚まで連結が可能。総面積を拡大できる。主題となるMacに電力を供給できる製品「SHERPA 50」の場合は、MagSafeアダプタへの変換はApple純正の航空機用アダプタを経由して行なう。

GOAL ZEROの製品群。さすがに充電に必要となる太陽電池パネルはそれなりにかさばるものの、こうした時勢でもあり、知っておきたい製品の1つだろう

 国内で販売されている最新のプリンタであれば、iOSデバイスやスマートフォンからの無線LAN接続でデバイスから直接印刷が可能なプリンタはあるが、そうした機能の無い従来製品に機能を付加する製品にも依然として強い人気がある。個人としては何かを印刷する機会は少しずつ減ってきてはいるものの、まだまだプリントアウトの需要はあるようだ。こうしたニーズに応えるハードウェアとしてはLANTRONIXの「xPrintServer」がある。ShowSpecial価格で、家庭向けのHome Editionは99ドル、企業向けのOffice Editionは199ドルで販売されていた。ちなみにxPrintServerは日本国内でも出荷されている。一方ソフトウェアとしてはMacをプリンタサーバーとして利用してiOSデバイスからの印刷を行なう「Printpia2」があり、こちらは19.95ドル。

LANTRONIXの「xPrintServer」。日本にもオフィスがあり、国内でも販売されている
Macにアプリケーションをインストールすることで、MacをiOSデバイスからの印刷が可能なプリントサーバーにする「Printpia2」
既存の画像データを使って、リップシンクしたアニメーションを簡単に作ることが出来る「CrazyTalk7」
公衆無線LANなどを利用する際のセキュリティ対策としてのMac/iOSデバイス向けパーソナルVPNサービス「GETCLOAK.COM」。ベーシックプランは月額7.99ドルで転送容量20GBまで利用できる。50GBまで使えるプロプランは14.99ドル
画質をほとんど落とすことなくJPEG画像データを4分の1程度まで圧縮させるという「JPEG mini」。Mac向けアプリケーションが19.99ドルで販売されているが、会期中は無料でライセンスコードが提供されていた。容量を小さくすることによる撮影した写真をフルサイズのまま共有できるiOS向けApp「BEAMR」をApp Storeで配信する
標準のアンインストーラがないOS Xで、不要な設定ファイルや古いディスクイメージファイル、キャッシュファイルなどを検索して削除するアプリケーション「CleanMyMac」。展示されたのは2月中にリリースされるというインターフェイスを一新したVer.2にあたる「CleanMyMac 2」
USBポートに接続することで、無線LANの受信感度を向上させるという「Bear Extender mini」。会場価格は49.97ドル
国内メーカー「Atelier MOKU」のコンセプト製品「Desktop Stool」。すでに販売されているMacBook、iOSデバイス向けスタンド「Desktop Chair」に続く製品。手前の縁をMacBookとiPadを同時に支えられる程度の高さに設定している。マルチデバイス、マルチウインドウの作業環境を想定したデザインになっているとのこと
展示ホール内では、ちょっと引いてしまうほどにど派手なMac/iOSデバイス向けSkinも販売されている。スマートデバイス向けにはその場で貼ってくれるサービスも行なわれており、いつも行列ができている
主催者のIDG World Expoは、来年(2014年)も継続してMacworld | iWorldを開催する意向。会期は2014年2月1日から2月3日までの3日間と発表されている

 何よりAppleが不在になってからのMacworld | iWorldの開催には少なからず不安がつきまとうものの、来てみれば常にそれなりの盛り上がりを見せている。来てみれば、やはり楽しいMacworld | iWorldだったというのが率直な感想だ。来場者も一様に皆楽しそうだし、ブースや出展者側にも活気がある。昨年と比較しても展示の全体規模は若干ながら拡大したように思える。Apple製品の今後の人気次第で左右される要素は捨てきれないものの、来年以降も同程度の規模でイベントが継続されていきそうな気配だ。すでに主催者のIDG World Expoは2014年の会期を発表している。来年も是非またここに訪れたいものだ。

(矢作 晃)