会期:6月5日~6月9日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
Taipei International Convention Center
COMPUTEX TAIPEIのMSIブースでは、マザーボードやグラフィックカード、Thunderbolt対応周辺機器、ノートPCの新モデルなどを展示している。
マザーボード新モデルの中で最も特徴的な製品が、「Big Bang MPower」シリーズだ。MSIのマザーボード最上位製品「Big Bang XPower II」の下位として位置付けられる製品で、Intel Z77 Express搭載の「Z77 MPower」と、Intel X79 Express搭載の「X79 MPower」の2製品がラインナップされる。
このMPowerシリーズの最大の特徴となるのが、オーバークロック保証が用意されているという点だ。保証はマザーボードのみで、CPUやメモリなどは対象外だが、オーバークロックによってマザーボードがダメージを負った場合でも保証が効くというのはMSI製マザーボード初。実際に工場でCPU、メモリ、グラフィックカードを搭載し、24時間のオーバークロック動作をテストした上で出荷される。
上位のXPowerシリーズと比較すると、電源フェーズ数が16フェーズに削減されているなどの違いがある。しかし、信頼性や高寿命を示す同社独自の指標である「Military Class」は最新の「Military Class III」をサポートし、「Click BIOS II」などの機能も継承。また、無線LANとBluetoothを標準で搭載する点も特徴の1つだ。
マザーボード上のヒートシンクには、直線的な黄色のラインが彩られているが、これは同社製ハイエンドグラフィックカード「Lightning」シリーズを搭載した場合に、トータルでの見ばえを高めるためだそうで、日本からの要望で盛り込まれたそうだ。MPowerシリーズの発売時期は2012年第3四半期を予定しており、価格は未定だ。
Z77 MPowerは、標準で無線LANとBluetoothを搭載する | X79 MPowerにも、無線LANとBluetoothを搭載 |
ヒートシンクのデザインや黄色のラインは、ハイエンドビデオカード「Lightning」シリーズとデザイン性を合わせるために採用 | このような環境で1枚ずつオーバークロック動作のテストを行なった上で出荷するそうだ |
Intel Z77 Express搭載マザーボードとしては、Thunderbolt搭載マザーボード「Z77A-GD80」や、Mini-ITX仕様の「Z77IA-E53」も展示。Z77A-GD80は、MSI初のThunderbolt搭載マザーボードで、先ほど紹介したZ77 MPowerの下位に位置付けられる製品。日本では今週末より発売され、価格は25,000円前後の予定。Z77IA-E53は、MSI初のZ77搭載Mini-ITXマザーボード。メインメモリスロットは2本用意され、最大16GBまでメモリを搭載可能。拡張スロットはPCI Express x16スロットが1本。SATAはSATA 6Gbpsが2ポートのみ。映像出力はHDMIとミニD-Sub15ピンの2系統。また、標準で無線LANとBluetoothも搭載される。発売時期は今年夏頃を予定しており、価格は未定。
AMDの未発表チップセット「AMD A85X」を搭載するマザーボード「A85XA-G65」。発売時期や価格は未定 |
AMD製チップセット搭載マザーボードの新モデルとしては、未発表チップセット「AMD A85X」搭載マザーボード「A85XA-G65」が展示されていた。Military Class IIIをサポートし、Click BIOS II、OC Genie IIなどの機能を搭載。PCI Express x16スロットを2本用意し、CrossFireおよびNVIDIA SLIをサポート。USB 3.0×4ポート、SATA 6Gbps×8ポート搭載する。CPUソケットはFM2を採用。発売時期や価格は未定だ。
GeForce GTX 680搭載のハイエンドビデオカード「GTX 680 Lightning」 |
グラフィックカードの新モデルは、NVIDIA GeForce GTX 680を搭載するハイエンドモデル「GTX 680 Lightning」を展示。既に発売されている、Radeon HD 7970搭載の「R7970 Lightning」と同様、独自のクーリングシステム「Twin Frozr IV」を採用するとともに、PC起動時に30秒ファンを逆回転させてホコリを飛ばす「Dust Removal Technology」も継承。オーバークロック耐性を高める「GPU Reactor」も搭載する。できればすぐにでも発売したいそうだが、GTX 680の供給が滞っていることから、現時点では発売時期は未定だが、夏までには発売したいとしている。価格は未定。
グラフィックカードとしては、日本でも5月末より発売となった、冷却ファンの搭載を変更できる、Radeon HD 7770搭載カード「HD 7770 Power Edition」や、Radeon HD 7750搭載カード「HD 7750 Power Edition」(こちらは未発売)なども展示されていた。
ところで、グラフィックカードの展示コーナーには、Futuremarkの次期3Dベンチマークソフト「3DMark For Windows 8」の動作デモが世界初公開されていた。MSIは3DMark For Windows 8にも協賛しており、いち早くデモ展示が実現したそうだ。
ファンの搭載形態を変更できるRadeon HD 7770搭載カード「HD 7770 Power Edition」 | 2個あるファンのうち1個の搭載位置を自由に変更できる | 同じ場所に重ねて搭載し、GPU付近を重点的に冷却するスタイル |
ファンを左右に並べて搭載し、カード全体をまんべんなく冷却するスタイル | こちらは、Radeon HD 7750搭載カード「HD 7750 Power Edition」 |
Futuremarkの次期3Dベンチマークソフト「3DMark For Windows 8」を世界初、稼働デモ | MSIは開発に協賛しており、ベンチマーク内にもMSIロゴが表示される |
Thunderbolt搭載マザーボードの展示に合わせ、Thunderbolt対応周辺機器も展示。「GUS(Graphics Upgrade Solution)」と呼ばれる製品で、PCI Express用のグラフィックカードをThunderbolt経由で外付けとして利用するためのユニットボックスだ。利用できるグラフィックカードは、消費電力が150W以下のものとされており、主にミドルレンジクラスのグラフィックカードが利用可能になる。利用時には、PCとThunderboltケーブルで接続するだけでなく、グラフィックカード動作用に電源を接続する必要がある。ノートPCなどの描画能力を高める手段として面白い存在の製品だ。ちなみに、利用できる拡張カードはグラフィックカードのみとされている。年内の発売を予定しており、価格は未定。
Thunderbolt経由でPCI Express用グラフィックカードを利用できる「GUS(Graphics Upgrade Solution)」 | 内部にグラフィックカードを取り付けて利用。消費電力150Wまでのグラフィックカードが利用可能 |
MSI初のUltrabookも展示されていた。「Slider S2」という製品で、1,366×768ドット表示対応の11.6型液晶を搭載するスレートPCのように見えるが、液晶部を後方にスライドさせて引き起こすことでキーボードが現れ、ノートPC同等としても利用可能な製品。重量は約1kgと軽量。CPUに第3世代Coreプロセッサが搭載され、Chief Riverプラットフォームが採用されるという点以外の詳細は公表されていない。発売時期は2012年第3四半期を予定している。
MSI初のUltrabook「Slider S2」。重量は約1kgと軽量 | 液晶部を後方にスライドさせるとキーボードが現れ、引き起こすとでノートPC同等に利用できる | 正面。キーボードが搭載されているため、スレートPCよりやや厚い |
左側面。後方に有線LANポートがある | 後方。中央は排気口。左にメモリカードスロットが見える | 右側面。USB 3.0×2やHDMIポートなどがある |
(2012年 6月 6日)
[Reported by 平澤 寿康]