【MWC 2011レポート】出展各社のタブレットとスマートフォン
〜SamsungのGalaxy S Wi-Fiは、AndroidのiPod touch風

会期:2月14日〜17日(スペイン時間)
会場:Fira de Barcelona(バルセロナ国際展示場)



●Wi-Fi接続のみに特化したGALAXY S Wi-Fiを出展したSamsungブース

 Mobile World Congress 2011(以下、MWC)の開幕前日に「GALAXY S II」と「GALAXY Tab 10.1」を大々的に発表したSamsungのブースは会期初日から賑わいをみせた。これらの新製品に加えて、ブースには携帯電話機能のないGALAXY Sも出展されていた。シリーズの名称は「GALAXY S Wi-Fi」で、画面サイズの違いによって「GALAXY S Wi-Fi 5.0」と「GALAXY S Wi-Fi 4.0」の2モデルがある。電話機能はないが、SkypeなどのVoIPアプリケーションを使って通話をするためのマイクとビデオチャット用のフロントカメラを搭載している。Appleにおける製品ラインナップで例えるとiPhone 4とiPod touchの関係と考えるとわかりやすい。

「GALAXY S Wi-Fi 5.0」は携帯のGALAXY Sよりも一回り大きい5型の液晶パネルを搭載する

 GALAXY S Wi-Fiは、画面もGALAXY S IIに使われている有機ELではなく液晶パネル。「GALAXY S Wi-Fi 5.0」は本体サイズが78.2×141.3×11.9mm(幅×奥行き×高さ)で、実際に手に取ってみても一回り大きいことがすぐにわかる。一方の「GALAXY S Wi-Fi 4.0」はGALAXY S IIとほぼ同じ大きさだ。本体サイズのほかに5.0のリアカメラがLEDフラッシュを搭載していることに対して4.0は未搭載といった細かなスペック上の違いがある。いずれも日本市場向けの発売は未定とされているが、急速にAndroid搭載のスマートフォン需要が伸びているだけに、とりあえずAndoroid OSを試してみたかったり、あるいはすでに3G対応のポータブルルーターやWiMAXルーターを使っているユーザーの興味を引きそうな製品と言えそうだ。

「GALAXY S Wi-Fi 5.0」を手にした様子。スペック表をみなくても、握ってみると明らかにひとまわり大きいことがすぐにわかる 「GALAXY S Wi-Fi 5.0」の背面。携帯のGALAXY Sシリーズとは違って、背面の色は白になっている。5型モデルの場合はリアカメラにLEDフラッシュが付く こちらは「GALAXY S Wi-Fi 4.0」。前出の5.0に比べて明らかに握り方が違っていることは写真からもわかっていただけることと思う
「GALAXY S Wi-Fi 4.0」の背面。5.0とは違ってリアカメラの横にLEDフラッシュは存在しない。背面色は同様に白。いずれもステレオスピーカーを内蔵しているのだが、5.0と4.0では配置が異なっている Samsungブースにおける展示の中心はAndroidを搭載するGALAXYシリーズだが、有機ELパネルを搭載するWindows Phone 7端末「OMNIA 7」も出展されていた ブースの壁面にずらりと並んだSamsung純正アクセサリー群は壮観の一言
体験待ちの来場者が絶えることのない「GALAXY Tab 10.1」。Android 3.0(Honeycomb)を搭載してデモを行っている。仕様上は599gと、片手で持って撮影をすることも可能 「GALAXY Tab 10.1」の背面。フラットではなくグリップ感を意識した形状になっている。長辺側中央にカメラが位置するので、静止画/動画撮影は横位置のほうがやりやすい インターフェイス部分。GALAXY Tab 10.1に限らずAndroid 3.0(Honeycomb)でTEGRA2搭載のタブレット全般に言えることだが、充電には2Aを要求するので接続するPCによってはUSBポートからの単独給電では充電は厳しい場合も多い
「GALAXY S II」。ディスプレイサイズはGALAXY Sの4型より若干大きい4.27型。重量は仕様上で従来機より2g軽い。薄くはなっているがパネルサイズの拡大にともなって比べてみればようやくわかる程度だが面積は大きくなっている 「GALAXY S II」背面の様子。LEDフラッシュ付きの8メガピクセルカメラを搭載する 来場者の中には、写真のように自らのGALAXY Sと展示されているGALAXY S IIを比較している人も少なくなかった

●Xperia PLAYが注目を集めるSony Ericssonブース
Sony Ericssonブース。Ericssonグループが丸ごと1つのホールを使っている第6ホールの入り口付近に位置する

 Samsungと同様に、開催前日にいわゆるPlayStation携帯「Xperia PLAY」、スライド式のQWERTYキーボードが付いた「Xperia pro」、そして標準モデルに位置づけられる「Xperia neo」の3製品を発表したSony Ericsson。これらに加えて、1月のInternational CES 2011で発表された「Xperia arc」を加えた4製品が展示の中心になっている。展示ブースはEricssonグループが丸ごと1つのホールを使っている第6ホールの一角にあって、端末機メーカーが中心の第8ホールとは離れているものの、注目製品とあって初日から賑わいを見せていた。Sony Ericssonとしてタブレット端末の開発意向は表明してはいるものの、今回はサンプル機やコンセプトも含めてタブレット型の一般向け展示は行なっていない。

 注目の「Xperia PLAY」はスライド式でPlayStationでお馴染みのコントローラパッドが引き出せるゲーマー仕様のAndroid携帯。初代PlayStationのゲームをエミュレーションする「PlayStation Suite」に対応し、対応ゲームを一般的なAndroid端末のような画面へのタッチではなく、ハードウェアキーで遊ぶことができる。ハードウェアキーは左側に四方向ボタン、右に△○×□ボタン、アナログスティック仕様のスライドパッド、そして背面にLキーとRキーを備えており、PlayStationのコントローラそのもの。

プレイ中の様子。左右の親指で四方向ボタンと△○×□ボタン、人差し指が背面にあるLキーRキーにかかっている様は、まさにPlayStationのコントローラである

 ゲームの配信は前述の「PlayStation Suite」のほかに、通常のAndroid Marketからダウンロードしたゲームであってもゲーム側が対応していれば、ハードウェアキーを使ってプレイすることが可能だ。今回のブース出展時点ではまだ「PlayStation Suite」が機能しておらず、デモ機に入っている「PlayStation Suite」を管理するPlayStation pocketというアプリケーションを起動しても、一覧には何も見えない状態だった。実際にプレイできたのは、いずれもAndroid Marketからダウンロード可能で、かつハードウェアキーに対応したレースゲームや格闘ゲームとなっている。

 現実的には、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)によってその品質が管理されたゲームアプリケーションが「PlayStation Suite」側、一般的なAndroid端末にも対応して、かつハードウェアキーも利用できるというゲームがAndroid Market側という形で棲み分けることが想定される。そのコントロールをいかに上手に行ない、ブランド力のあるPlayStationタイトルをいかに多く、早期に移植して提供できるかが「PlayStation Suite」構想のカギを握るものと思われる。


「Xperia PLAY」。スライドして引き出せるコントローラパッド。PlayStationのゲーム経験者ならば一目瞭然のデザインになっている 「Xperia PLAY」背面上部に位置するLキーとRキー。側面とフラットな状態になっているが、遊ぶときには液晶パネル側が指の支えになるため、ボタンを押しそこなうことはない ブース内の一角には、こうして座って体験できるコーナーも用意されていた。大人も揃ってさまざまなゲームをプレイ中
スライド式のQWERTYキーボードが付いた「Xperia pro」。弊誌のモバイル端末向けページを表示させてみたところ。ハードウェアキーは横位置での文字入力の際でも画面が広く使えるというメリットがある ブース内に展示されていたオプションのスピーカーユニット。円筒状の本体にはステレオミニプラグが付いており、引き出して回転させ、写真のようにXperia側のヘッドホンジャックに差すことでスタンド兼ステレオスピーカーになる仕組み 今回発表された3製品に「Xperia arc」を加えたラインナップ。裏面照射CMOSカメラのExmor R、Bravia Engine、HDMI出力などがアピールポイントになっている。

●続々と登場するAndroidタブレット。3.0(Honeycomb)搭載はメーカー間に差
ブースの説明員が行なうデモンストレーションの様子。画面右下にパレットが表示されるHTC独自の拡張UIで、スタイラスペンを使った入力も可能になっていた

 HTCはメディア向けの新製品発表会を、MWCの会期2日目にあたる15日午前に開催。そのためホール内のブース展示は、その発表会を境にしてガラリと変わるという大がかりな仕掛けを行った。発表されたのは、7型タブレットの「HTC Flayer」や、本体にハードウェアキーとしてのFacebookボタンを備える「HTC ChaCha」、「HTC Salsa」など計5機種。

 ただ展示ブース内で手にできるのは現行製品の後継機にあたる「HTC Desire S」と「HTC Wildfire S」(いずれもSが製品名に付加される形)で、注目の「HTC ChaCha」、「HTC Salsa」はガラスケース内の展示にとどまっている。7型タブレットの「HTC Flayer」も同様にガラスケース内に納められているものの、数台をブース説明員が手にしており、随時デモンストレーションを行なっていた。

 搭載されるAndroidはスマートフォン、タブレットのいずれもAndroid 2.3(Gingerbread)で、タブレットである「HTC Flyer」もHoneycombではない。GingerbreadをHTCが独自にユーザーインターフェイスを拡張したスタイルになっている。特徴的なのは液晶パネル面が静電容量と感圧のハイブリッドになっていることで、(特殊な素材が先端についていない)一般的なスタイラスでペン入力が可能な点だ。

指先を使って操作するときには静電容量式。馴染みのあるユーザーインターフェイスではあるが最新モデルにもかかわらずAndroid 3.0(Honeycomb)搭載ではない ガラスケース内に納められた状態で展示されている「HTC ChaCha」 ガラスケース内に納められた状態で展示されている「HTC Salsa」

 Motorolaは、International CES 2011で発表されたタブレット「Motorola XOOM」とスマートフォン「Atrix 4G」を中心に展示を行っている。Atrix 4GとXOOMに関しては弊誌既報のレポート等(その1その2)で紹介されている。

MotorolaによるAtrix 4Gのデモンストレーション。USBポートが3基とHDMIポートが1基あるHD Multimedia Dockと呼ばれるドッキングステーションに接続することで、液晶ディスプレイのほか、USBキーボードやマウスが接続可能。いっぽう、Laptop Dockと呼ばれるドッキングステーションは、ヒンジの部分にAtrix 4Gのコネクタがある
台湾のメーカーAltekによる沈胴式レンズを搭載するスマートフォン「HD14MP」。搭載するOSはAndroid 2.1で800×480ピクセル表示。カメラ機能は14メガピクセル、光学三倍ズーム。720Pによる動画撮影も可能とのこと

 展示会場内には、そのほかにも数多くのタブレットを紹介する大なり小なりのメーカーが出展を行っている。Androidタブレットに関しては金太郎飴とでも言うべき状態で数えるのが困難なほど。しかし、こちらのレポートにもあるように、製品仕様としてはAndroid 3.0(Honeycomb)搭載を案内しているタブレットのデモンストレーションでも、現状はほとんどがAndroid 2.2(Froyo)ベースで行なわれているのがMWC 2011における実情である。展示ホールをひととおり見てまわっても、実際にHoneycombが搭載されて、実機によるデモンストレーションを行なっているのはMotorola、Samsung、LG Electronicsの3社に限られている。うちMotorolaのXOOMに関しては、今回の展示でざっと触ってみた限りにおいてはlocaleに日本語がなかったことや、現状のMotorolaが日本市場に関しては積極的とは決して言い難い状況にあることから日本市場に投入される見込みは薄いと考えられる。

 そのほか、Android以外のタブレット端末やユニークなスマートフォンに関しては写真を中心に紹介する。

International CES 2011で発表されたRIMの「BlackBerry PlayBook」。上下のスワイプでメインメニューを引き出す独自のUI。実際に操作してみるとかなり軽快で、マルチメディアプレイヤー、ソーシャルネットワーキングなど、他のタブレットと比較してもなんら遜色がない操作ができる。日本市場にもスマートフォンとしてはBlackBerryシリーズが投入されてはいるものの、これはどちらかといえばQWERTY配列のハードウェアキーというニーズが中心。日本市場に関して言えば、BlackBerryタブレットの可能性は未知数
HPによるWeb OS搭載のタブレットとスマートフォンのデモンストレーション。Palmの買収から始まる同社のスマートフォン、タブレット戦略である。今回の出展では、スマートフォンを2機種、タブレットを1機種紹介して、ブースでデモンストレーションを行なっているがブース説明員による一連の機能紹介とデモンストレーションのみで来場者が実際に手にとって操作することはできなかった。スマートフォンとタブレットをタッチさせることによる連携など、魅力的な機能も数多く紹介されている
富士通は同社ブースに2画面のスマートフォン3モデルを展示した。うち2モデルはSymbian OS搭載で、左側のモデルがAndroid 2.2を搭載した試作機となる。3.7型で864×480ドットのパネルを横向きで2枚上下に連結。現時点では1枚の板状となっているものの、開発の進行するにしたがって、ヒンジが加えられていくとされている。またWACによるスマートフォン間の連携で、連携先のカメラを遠隔コントロールするデモもあわせて行なっていた

(2011年 2月 21日)

[Reported by 矢作 晃]