台湾ASUSTeK Computer(以下ASUS)は、世界最大のコンシューマ向けデジタル機器展示会2011 International CESの開催に先立ち、米国ネバダ州ラスベガス市内のホテルで記者会見を開催し、同社が開発を続けてきたタブレットデバイスの発表を行なった。
Tegra2を搭載したEee PadやCore i5を搭載したEee Slateなど、4製品のタブレットデバイスを発表し、今年の1月から順次発表することを明らかにした。
●ASUSは第3位のコンシューマ向けPCメーカーになったとアピール記者会見に登場したASUSのジョニー・シーCEOは、「我々はすでにコンシューマ向けのエリアでは第3位のPCメーカーだ」と述べ、ここ近年ASUSが見せている成長を誇って見せた。また、米国の調査会社によればASUSは「ユーザーの満足度が最も高く、返品率が最も低いノートPCメーカー」(シー氏)となっているとのことで、品質に対するユーザー満足度の高さも強調した。さらに、今後も引き続き高い成長を続けていくのだという決意を表明した。
加えてシー氏は「弊社はこれまで多くのイノベーションを成し遂げてきた。市場シェアでNo.1であるマザーボードでも、ミリタリークオリティのマザーボードを出したり、いち早くカーボンの少ないPCへの取り組みを実現した会社として認められるなど数々のイノベーションを成し遂げてきた」と述べた。一例としてコンシューマ向け市場でのライバルになる、AppleとAcerとの比較のグラフを示し、Appleがイノベーションの点では大きなアドバンテージがあるものの顧客の選択の自由度が低く、逆にAcerは顧客の選択の自由度は高いもののイノベーションはあまりない点を指摘し、「ASUSは両方を兼ね備えている」とアピールした。
ASUSのジョニー・シーCEO | ASUSの信頼性は米国のPCメーカーで一番であるとの調査結果 | 返品率でも最も少ないという |
四半期連続で成長を続けている | ユーザーに選択肢を提供することとイノベーションの両方を提供できるメーカーがASUSであるとシー氏 |
●タブレットデバイス4製品を投入へ
さらにシー氏は同社が2011年に投入を予定しているタブレットデバイス4製品を公開した。公開されたのは、12型でWindows 7ベースの「Eee Slate」1モデルと、10.1型および7型のAndroidベースの「Eee Pad」の3モデルだ。
このうちEee Padは、開発コードネーム“Honeycomb”で知られる次期バージョンのAndroid 3.0を搭載した3つのデバイスだ。それぞれ「Eee Pad MeMo」、「Eee Pad Slider」、「Eee Pad Transformer」の3製品で、それぞれ7型、10.1型、10.1型の液晶を搭載し、プロセッサはMeMOがQualcomm Snapdragonを採用し、SliderとTransformerの2製品はNVIDIAのTegra2を搭載している。
Eee Pad MeMOは7型マルチタッチ対応IPS液晶を搭載したタブレットデバイスで、スタイラスが付属しており、ノートにメモをとるような使い勝手を実現している。SnapdragonとHDMIポートの搭載で、TVなどに接続して1080pの動画を再生することも可能になっている。
Eee Pad MeMOは7型のマルチタッチ液晶を搭載したタブレットデバイス | ペンを利用した操作ができる |
ペンを利用して手書きメモを作成することができる | プロセッサはQualcomm Snapdragon |
Eee Pad Transformerは10.1型のマルチタッチ対応IPS液晶(1,280×800ドット)を搭載したタブレットデバイスで、120万画素のフロントカメラと、500万画素のリアカメラを備えている。ユニークなのは、標準で切り離し可能なキーボードが用意されており、電源を入れたままドッキングしてキー入力をすることができる。さらに、キーボード側にもバッテリが内蔵されており、それを利用して最大で16時間の駆動が可能だ。キーボードを取り付けた状態では、クラムシェル型のノートPCのような感覚で利用することができる。そのほか、IEEE 802.11nに対応した無線LAN、HDMI、USBポート、Bluetooth、カードリーダなどを備えている。
Eee Pad Transformerは10.1型のマルチタッチ液晶を搭載したクラムシェルとタブレットのコンバーチブルデバイス | キーボード部分が分離して、スレート型にもなる |
Eee Pad Transformerのスペック | プロセッサはTegra2 | キーボードをホットドックしてキー入力することができる |
ASUS Eee Pad Sliderは10.1型のマルチタッチ対応IPS液晶を搭載したタブレットデバイスで、120万画素のフロントカメラと500万画素のリアカメラを備えている。QWERTYキーボードがスライドして現れる機構を備えており、タブレットとクラムシェル型の2つの形で利用できる。そのほか、IEEE 802.11nに対応した無線LAN、HDMI、USBポート、カードリーダなどを備え、オプションで3Gモジュールを内蔵することが可能になっている。
ASUS Eee Pad Slider、10.1型のマルチタッチ対応IPS液晶を搭載したタブレットデバイス | ASUS Eee Pad Sliderのスペック |
●12.1型のEee Slateは1月から販売開始
一方、12.1型のIPS液晶(1,280×800ドット)を搭載した「Eee Slate EP121」は、CPUにCore i5-470UMを搭載し、4GBメモリ、64GB SSD、OSにWindows 7 Home Premiumを搭載したPCベースのタブレットデバイスだ。200万画素のWebカメラを搭載しているほか、IEEE 802.11nに対応した無線LAN、HDMI、USBポート、Bluetooth 3.0、カードリーダ搭載というスペックになっている。入力方式には複数のオプションが用意されており、マルチタッチスクリーン、Bluetooth接続のキーボード、Wacomのデジタイザーなどから選択することができるようになっているという。
なお、発売時期と価格は、Eee Slate EP121が1月中で999~1,099ドル、Eee Pad Transformerが4月で399~699ドル、Eee Pad Sliderが5月で499~799ドル、Eee Pad MeMOが6月で499ドル~699ドル、という予想になっている。
Eee Slate EP121は12.1型の液晶を搭載したスレートデバイス | CPUはCore i5-470UM、4GBメモリ、64GB SSD、OSはWindows 7 Home Premium |
入力はマルチタッチ、デジタイザー、キーボードのオプションが用意されている | デジタイザを利用することも可能 |
(2011年 1月 5日)
[Reported by 笠原 一輝]