【CES 2010】【NVIDIA編】次世代版Tegraを発表。GF100の新機能もアピール

NVIDIA CEOのジェン・スン・ファン氏。手にしているのは次世代版Tegraボード

会期:1月7日〜10日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center
   Sands Expo and Convention Center/The Venetian



 NVIDIAは1月7日、International CESにおいてプレスカンファレンスを開催。ハンドヘルドデバイスなどに向けてリリースしている「Tegra」チップの次世代版を発表した。このほか、NVIDIAが2010年にフォーカスしている機能などを紹介している。

●“Tegra 2”こと次世代版Tegraの詳細

 まずは次世代版Tegraについて、プレスカンファレンスの内容に加え、NVIDIAでTegraを担当するニール・トレベット氏へインタビューで得た情報も含めて、チップの特徴を紹介しておく。

 ちなみに、“Tegra 2”とも呼ばれたりするこのチップだが、Tegra 2という名前は市場では使われず、あくまでTegraブランドの新製品という扱いになる。いくつか紹介するNVIDIAのスライドで「Next-Generation Tegra」や「New Tegra」と表記されているのは、このためである。Niel氏からは「Tegra 2はコードネーム」といった冗談も飛び出している。

 Tegra 2は初代Tegraと同じ消費電力で、最高で4倍の性能を発揮。ほかのスマートフォンプラットフォームに対し、10倍の性能になることもアピールしている。トランジスタ数は2億4,100万個。TSMCの40nmプロセスで製造される。

 初代TegraはARM11のシングルコアをCPUとし、さまざまなメディアプロセッサを組み合わせた構成となっているが、次世代版Tegraは、CPUをCortex-A9のデュアルコアを中心とした構成となった。メモリサイズおよびメモリの帯域幅も、それぞれ2倍へ。メモリはLow-Voltage DDR2 SDRAMをサポートする。

 ほか、Cortex-A9×2個、グラフィックスプロセッサ、スーパーバイザ用のARM7、動画エンコーダ、動画デコーダ、イメージプロセッサ、オーディオプロセッサと、合計で8個の独立したプロセッサを搭載。ARM7は動画/イメージ/オーディオプロセッサ制御に使われる。これらすべてのプロセッサが共有して利用する1MBのキャッシュメモリも備える。

 動画エンコーダ/デコーダは、対応プロファイルが増やされ、1080pの動画処理に対応。初代Tegraは720pまでの処理だった。ディスプレイ出力もデュアルディスプレイ出力が可能となっている。

 消費電力は500mWとされており、使わないコアを省電力化する機能も備える。音楽を聴く用途で140時間、HD動画の視聴で16時間、HDストリーミングの視聴で6時間の駆動が可能としている。

 さまざまなAPIへの対応も強調された。Flash 10.1はGPUアクセラレーションが話題になったが、TegraでもすべてのステージでGPUアクセラレーションが可能。さらに現時点では非対応だが、Tegra上でAIRのアクセラレーションが行なえるようにAdobeと協力して作業を進めているとのこと。この先数カ月で提供されるとしている。

 オープンスタンダードの標準化団体であるKhronos Groupが策定する、3D APIのOpen GL/ES、マルチメディアアクセラレーションAPIのOpenMAX/ILにも対応。EGL(Ecosystem Ground Layer)を活用すると、サーフェイスやコンテキストを受け渡してシームレスに両APIを活用することができる。インタビューを行なったトレベット氏はKhronos GroupのPresidentも兼任しているあたり、NVIDIAがこのジャンルへ、いかに注力しているかを端的に示している。

 

EPIC Games CEOのティム・スウィーニー氏
 さらに、プレスカンファレンスではEPIC Games CEOのティム・スウィーニー氏が登壇し、Unreal Engine 3を次世代Tegra上で動作させるデモを実施。PCやXBOX360、PS3向けのアプリケーションと同じエンジンであることを強調し、ハイエンドプラットフォームと同じコンテンツを使って次世代Tegra向けゲームを開発できることを紹介した。
NVIDIA Vice President of Mobile Contentsであるニール・トレベット氏 次世代Tegraの概要。ハンドヘルドデバイス向けのチップながら、スマートフォンに対して10倍の性能を持つことで、PC並みのことを実現できる性能を持つのが売り 次世代TegraはCortex-A9デュアルコアを始め、8個の独立したプロセッサを搭載。これに全プロセッサで共有利用が可能な1MBキャッシュ、IO機能、NAND(フラッシュメモリ)コントローラ、ディスプレイ出力エンジンなどを加えた構成となる
次世代Tegra、QualcommのSnapDragon、IntelのAtomを搭載した環境でバッテリ駆動時間を比較したスライド 次世代Tegraのボード。左下のチップが次世代Tegra 次世代Tegraボードの裏面。フラッシュやDRAMなどが実装されている
これはUnreal Engine 3の動作デモでも使われた機材で、次世代Tegraのデベロッパボードを用いている 現時点でFlash10.1のアクセラレーションが可能だが、数カ月内にAdobe AIRのアクセラレーションも可能になる 次世代TegraのグラフィックスプロセッサはOpen GL/ES、OpenMAX/ILをサポート。EGLを使うことで両APIをシームレスに統合して利用できる
次世代Tegraのデベロッパボード環境上でUnreal Engine 3を動作させるデモを実施。Open GL/ES 2.0を用い、1080p解像度で30fpsを超えるフレームレートが出ているという

 プレスカンファレンスにおいてジェン・スン・ファン氏は、音楽を聴くiPod、電子書籍リーダのKindle、iPodとケータイの機能を統合しさらに多数のアプリケーションを動作させるられるiPhone、スマートフォンなどを例に、パーソナルコンピューティングに革命が起きているとした上で、iPhoneやスマートフォンは、リッチインターネットを楽しむには液晶解像度が不足していることを問題点として提示。

 現在の世界では、1億を超えるWebサイト、7,800万を超えるFacebookユーザがFacebookアプリを楽しみ、昨年11月だけで310億のビデオ視聴が行なわれるような状況にある。PCならばこれらを満足に利用できるが、逆にいえばPCでしか楽しめないことも問題であるとする。それはPCは重い、バッテリライフが短い、高価、こわれやすいなどの理由からである。

 「こうした状況ももう終わりである」として紹介したのが、次世代Tegraを搭載したタブレット型コンピュータである。Tegraを利用することで、PCと同じだけの性能、機能を、5〜7インチ液晶のサイズに抑えることができるとする。

 タブレットは、6製品が展示されている。AndroidやLinux系OSを搭載したもので、先の3Dゲームのほか、動画再生や電子ブックリーダーとして利用したデモが行なわれている。

 ちなみにTegraを搭載した製品は、新旧Tegra合わせて50デザイン以上が登場。D-LinkのBOXEEも次世代Tegraを搭載することを予定した製品で、Web TVや1080p動画、写真などのメディアプレイヤーや、TwitterやFaceBookなどへのアクセス機能などを持ち、専用の3D UIで操作することができるものとなっている。今年第2四半期には登場する見込みだ。

次世代Tegraを搭載したタブレット上で動作するAndroidのデモ
Tegraを搭載したタブレットを複数紹介。ICD、MSI、FOXCONN、COMPALといった製造元の製品が展示された 電子ブックリーダーとしての活用デモ。Kindleでは不可能なカラー表示が行なえる点もアピール。Adobe AIRのアクセラレーションが可能になれば、さらにリッチな表現も可能になりそうだ 動画再生のデモ。旧Tegraでは720pまでのサポートだったが、次世代Tegraでは1080pのアクセラレーションが可能になった
D-LinkのBOXEE。動画や静止画の再生、FaceBookやTwitterへのアクセスが可能な、マルチメディアインターネット接続端末といった趣の製品。今年第2四半期に発売予定 新旧Tegraを合わせて、50を超えるデザインが登場していることを示すスライド

●Audiが搭載するMMIシステムやGF100の話題も

 続いてファン氏が紹介したのは、Audiに搭載されるMMI(Multi-Media Interface)の話題である。ファン氏は、自動車に搭載されるシステムは、新しいカテゴリのモバイルコンピューティングであるとしている。

 ここで壇上に招待されたのがAudiのマーティアス・ハリガー氏で、AudiのMMIシステムのチーフアーキテクトを務め、ユーザーインタフェースの設計などに注力している人物だ。

 Audiが2010年以降に搭載するシステムでは、自動車にマルチメディアプレイヤー機能を装備。液晶パネルだけでなく、メーター部のパネルも活用して、ナビゲーションや安全運行に関わる情報を表示させることができるようになるという。ハリガー氏によれば、高級車にとってこうしたシステムの充実が差別化のポイントになってきている、としており、高級車における今後のMMIの充実にも期待を抱かせる。

 その将来の予定として示されたのが、Googleと協力して実現したGoogle Earthとの連携機能である。Google Earthをナビゲーションシステムの地図として活用することで、リアルな地図をベースにしたナビゲーションが可能になる。地図検索の際にコントロールパネルから文字入力するデモなども行なわれているが、手書き認識も盛り込まれた興味深いものとなっている。このGoogle Earthを用いたシステムは2011年のAudi A8から投入されるという。

 ちなみに、現行のシステムではGeForceベースのGPUが用いられているが、2012年からはTegraを用いたシステムに移行するとのこと。このさいにはA8だけでなく、Volkswagen、Bentley、Lamborghiniといった他の車種へも搭載されていく予定だ。

Audi Chief Architect, MMI Infotainment Systemsのマーティアス・ハリガー氏(奥) AudiはグラフィックスプロセッサにGeForceを使ったMMIシステムを2010年に投入。2012年にはTegraを搭載し車種を広げて投入される 2011年に実装される予定のGoogle Earthを使ったカーナビシステム
コントローラ部。後の動画で示すように、左側の数字が振ってある部分はタッチパネルになっており文字入力をここから行なえる メーターパネルにも情報が表示されており、これもMMIシステムが行なう Google Earthを使ったナビシステムの検索画面。Androidの上で動作する。画面左にあるように手書き入力が可能
検索ボックスへ手書き入力で文字列入力を行なうデモ

 最後はGF100の話題に触れておきたい。すでに本誌でもCESの併設イベントであるDigital Experienceにおいてデモ展示が行なわれたことをしている。ジェン・スン・ファン氏はプレスカンファレンスにおいて、すでに製品の製造が始まっていることをアナウンス。

 その上で、新機能として「3D Vision Surround」を紹介。これは3枚の液晶ディスプレイにまたがって一つの画面とする機能(AMDのEyefinityと同様のもの)を備えたうえで、それを3D Visionに対応させるというもの。600万ピクセルの処理を3D化するために120fps表示することになる。

 International CESの会場に設けられたNVIDIAブースにおいても、この3D Vision Surroundのデモを実施。プレイアブルではないが、レースゲームの3D映像をデモしている。

CESの併設イベントであるShow Stoppersでも、Heavenを用いたGF100のデモが実施されていた ファン氏が紹介したGF100の新機能である3D Vision Surround。3枚の液晶をワンデスクトップ化し、3D Visionに対応させる NVIDIAブースで実施されたデモ。ここでは3台のプロジェクタを用いて3画面を出力しているのでベゼルによる境目がないのが興味深い

(2010年 1月 12日)

[Reported by 多和田 新也]