【Microsoft Open House 2009レポート】Windows phone/Microsoft Auto編
ナイトライダーを彷彿とさせる車載用音声認識/合成音声機能のデモなど

HTCのWindows phone端末Tilt 2

10月6日(現地時間)開催



 MicrosoftはOpen Houseの場で、新しい携帯電話プラットフォーム「Windows phone」を発表した。日本では10月以降の予定だが、米国では同日付けで端末の発売も始まった。

 会場ではSamsungおよびHTCのいくつかの端末が展示された。Open Houseのオープニングスピーチを行なったRobbie Bach氏が、「本体デザインや機能に対するユーザーのニーズは十人十色なので、スクリーンサイズやキーボードの有無、また価格においてもいろいろなバリエーションを用意した」と語るように、2009年中に20カ国で30モデルが登場予定となっている。

 Windows phoneはOSにWindows Mobile 6.5を採用している。同OSはモバイル向けのFlash Lite対応のInternet ExplorerやWindows Media Playerを搭載し、PCと同じようにネット接続やコンテンツ再生ができる。

 また、各種Windows Liveサービスの利用のほか、Officeのビューワーも搭載しており、メールに添付された各種ドキュメントの閲覧もできるのが強みとなっている。ただし、今回のイベントではOSの具体的な強化点については説明がなかった。

 Windows phoneの大きな特徴として、「My Phone」と「Windows Marketplace for Moible」の2つが挙げられた。

 前者は月額利用料なしで利用できるデータのバックアップサービス。携帯電話内の電話帳や、写真などのデータ、またアプリケーションなどを同社のサーバー上にバックアップできる。

 これにより、端末を買い換えた際にデータを即座に移行できるほか、紛失時に情報漏洩防止のため、リモートからデータを削除させる機能もある。また、同じく紛失時に、本体がバイブレーションモードになっていても、PCなどから強制的に着信音を鳴らして探せるようにするというちょっとおもしろい機能もある。

 Windows Marketplace for Mobileからは、アプリケーションやゲームを購入できる。

Samsung Intrepid型番不明機
LG製端末HTC Pure

Microsoft Auto搭載のデモ車

 最後に、Microsoft Autoのデモについて紹介しよう。Microsoftは、カーナビ向けの組み込みOSとして「Windows Automotive」を日本で提供しているが、米国ではMicrosoft Autoという車用プラットフォームを展開している。両者の違いについてはCar Watchの関連記事を参照していただきたい。

 会場にはMicrosoft Autoを採用したFordの車が用意され、いくつかのデモが行なわれたが、そのほとんどが音声を使ったものだった。Fordの一部車種ではMicrosoft Autoを使った「Sync」というシステムを搭載している。その機能の1つがメディアプレーヤー機能で、Zuneを始め、iPodやUSB HDDなどをUSBかBluetoothで接続し、曲を再生できる。ハンドルには曲の頭出しなどを操作するボタンがあるが、音声でアーティスト名を指定し再生することもできる。

 同じように携帯電話を車とペアリングしておけば、音声認識機能を使って、ダイヤルしたい相手の名前を告げ、車内のスピーカーとマイクを使い、完全なハンズフリーで通話をこなすことができる。

 このSyncがアップグレードし、「SYNC with Traffic, Directions and Information 」として2010年発売車種から搭載される。これにより、音声で目的地までの交通情報を要求すると、最新情報が音声で返ってくる。ナビ機能もあり、やはり目的地を告げると、音声で案内をしてくれる。

 また、あらかじめPCを使って家、会社、空港などの情報を設定しておくと、具体的番地などを告げずとも、「会社までの交通情報」、「空港までの道案内」としゃべるだけで理解してくれる。

 この通信は携帯電話の機能を使っている。ただし、常時接続になるわけではなく、Microsoftのサーバーへのアップリンク、ダウンリンクが発生する時だけ通信するようになっている。

 また、情報は携帯電話側にひも付いているため、レンタカーに自分の携帯電話を一時的にペアリングして、自家用車と同じようにSync機能を使うことができる。

 このほか、レスキュー支援機能として、車が衝突し、エアバッグが作動した際、救急番号にダイヤルし、事故を起こした時間、GPSで取得した場所などの情報を音声で伝えることができる。

 これを人工知能と呼ぶにはまだ少し遠いが、往年のドラマ「ナイトライダー」に登場したような車が一般的になるのは、思ったほど先ではないのかも知れない。

計器盤周りもMicrosoft Autoを使っているこれがSyncのコンソール部分
メディアコントロールはハンドルのボタンでもできるデジタルプレーヤーはコンソールボックスの中でUSB接続
音声操作でビル・ゲイツ宛てに電話をかけているところ。男性の声は人間、女性の声は合成音声
空港までの交通情報を取得するところ

(2009年 10月 8日)

[Reported by 若杉 紀彦]