イベントレポート
ADATA、クラウドAIを活用するコミュニケーションロボット「ibotn」
2017年6月5日 06:00
ADATAは、COMPUTEX TAIPEI 2017に合わせ、独自のクラウドAIシステムを活用するコミュニケーションロボット「ibotn」を発表し、会場ブースで展示した。
ADATAと言えば、SSDやメモリモジュール、USBメモリ、SDカード、モバイルバッテリなど、PC関連パーツやガジェットなどを扱うメーカーというイメージが強い。しかし今回、そういったイメージを覆す新製品として発表されたのが、このibotnだ。
起き上がりこぼしや、だるまに近いイメージの、高さ約54cmボディは、なかなか愛くるしい印象。そして、顔に相当する部分にはタッチパネルを備える液晶ディスプレイを搭載。このディスプレイには基本的に顔が表示されており、タッチしたりすることで表情が変化して感情を表すようになっている。また、本体側面左右には、パタパタと動く小さな羽のようなものがついており、こちらもおもに感情表現に活用される。
本体下部、足に相当する部分には車輪が3つ備わっており、前後左右へ自由に移動できるようになっている。頭に内蔵されているカメラなどを利用して特定の人をターゲッティングし、その人の後を追うように自動で移動できるという。また、スマートフォンやタブレットの専用アプリを利用して、リモートコントロールも可能。今回は、まだ開発途上ということもあり、スマートフォンアプリは非公開だったが、デモではリモートコントロールによるスムーズな移動が確認できた。
ユーザーとibotnとのコミュニケーションは、画面のタッチでも可能だが、ボイスコミュニケーションが基本となる。ユーザーがibotnに話しかけると、その音声データがクラウドに転送され、クラウド側で音声解析を行ない、指示がibotnに降りてきて対応する動作が実行される。単純な会話はもちろん、“音楽をかけて”と話しかければ音楽を再生し、その音楽に合わせて踊るといったことも実現できる。
残念ながら、ボイスコミュニケーションのデモも行なわれなかったが、現在は中国語と英語に対応しており、認識精度を高めている段階とのこと。
このほか、スマートフォンやタブレットのアプリと連携し、カメラやマイクを利用した室内監視やビデオコミュニケーションといった用途にも活用可能となっている。アラートをアプリに転送する機能も用意されるという。内蔵バッテリで7~8時間ほど駆動し、バッテリが切れると自動的に充電ステーションに移動して充電を行なう。
最初見た時には正直、“なぜADATAがロボットを?”という印象を受けた。また説明員自身も、“なぜうちがロボットをやるのか、と思った”と本音を語るひと幕もあった。ただ、本筋はクラウドベースのAI技術を活用するところにある、ということを考えると、ADATAの取り組みとしても十分に理解できる。
販売価格は700ドル台を想定しており、早ければ7月頃に発売するという。加えて、年内には日本語対応も予定しており、2017年末から2018年頭には日本での発売も視野に入っているそうだ。一般消費者への販売も行なう予定とのことだが、企業や販売店、ショッピングモールなどでの案内用途をおもに想定しているそうで、どちらかというとB2Bの色合いが強い製品と言える。
より小型のコミュニケーションロボット「RH101」も同時に展示されていた。こちらは、高さが約25cmのコンパクトサイズで、ディスプレイは備えず、内蔵カメラやマイクを使い、スマートフォンやタブレットのアプリと連携してコミュニケーションを取ることが主目的となっている。そのため、こちらの方がより一般消費者を強く意識した製品と言える。
例えば、自宅に置いておき、子供にメッセージを残したり、子供の帰宅後に外出先からコミュニケーションを取る、ペットの様子を外出先から確認する、といったことが実現可能。背面にはUSBポートが用意され、容量10,000mAhの内蔵バッテリを利用して、スマートフォンなどの充電も可能になっている。加えて、底面には車輪も取り付けられており、ちょっとした移動も可能となっている。こちらは200ドル台での発売を予定しているという。