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インテル、「ムーアの法則」50周年を記念した記者説明会
~科学技術館での特別展示を発表
(2015/4/22 06:00)
インテル株式会社は21日、「ムーアの法則」50周年を記念し、科学技術館で記者説明会を開催した。
説明会では、同社取締役 兼 副社長執行役員 技術開発・製造技術本部本部長の阿部剛士氏、同社執行役員 技術本部本部長 土岐英秋氏が登壇し、ムーアの法則が世界に与えた影響と、法則とインテルの今後などについて語った。
ムーアの法則は、Intelの共同設立者ゴードン・E・ムーア氏がマイクロプロセッサ/トランジスタ開発について「その集積密度は毎年約2倍の比率で増大していく」とした予測で、1965年4月19日にElectronics Magazine誌に掲載されて以来、成長比率は約18~24ヵ月で2倍に改められたが、半世紀の間半導体産業における技術的指標として使われている。
登壇した阿部氏は、まず最初に2014年秋にインテルが自社のミッション・ステートメントへ『ムーアの法則がもたらすパワーを活用』という一文を新たに加えたことを上げ、インテルがムーアの法則に対し強い思いを持っていると述べた。
ムーア氏は1965年の論文発表時すでにコストについても予見しており、阿部氏はこの法則が性能向上のみに関するものではないと述べ、2015年にリリースされた"Broadwell"アーキテクチャのCore i5プロセッサと、1971年にIntelが初めてリリースしたプロセッサ「Intel 4004」を比較し、性能は3,500倍、電力効率は90,000倍、コスト単価は1/60,000となったことを挙げた。「電力効率」、「高性能」、「低コスト」の3つがムーアの法則が半導体業界にもたらされたわけだが、これはムーアの法則が、2年毎に世代が変わっていくというペースを示したことで、インテルだけでなく半導体業界にとっての指針となったことも大きく寄与している。ちなみに、もし自動車技術がムーアの法則と同等の早さで成長していれば、時速約48万km、燃費はリッター85万km、コストは約4円となる。
阿部氏は「ムーアの法則は単に技術的要素に対してだけではなく、経済、社会に対しても大きな影響を与えてきた」とする。ムーアの法則によって半導体技術革新はAppleやGoogle、Microsoft、Intelといった膨大な経済価値を持った企業を創出しただけでなく、インターネット接続機器・利用人口の劇的な増加など、社会の発展のベースにすらなっているとした。
一方阿部氏は、ムーアの法則は決して簡単に実現できたものではなく、何度も壁に立ちはだかり、その度に技術革新によって乗り越えてきたと説明する。具体的には、90nmでの歪みシリコン、45nmでのHi-Kメタルゲート、22nmでの3Dトランジスタなどがそれにあたる。
現在インテルは10nm技術を開発中で、そのあとには、7nm、5nmが控えている。これらも課題は山積しており、打開策としてはEUV露光技術が検討されているが、7nmまでは、例えEUV露光技術が利用できなくても、実現する道を模索しているという。
途中上映された映像ではムーア氏が登場し「私の知る限り、ほかの技術でこのスピードで成長したもの、世界中の社会にこれほど大きな影響を与えたものはない」、「この変化はまだ続く可能性がある。どこへ向かっているのか、いつも驚かされている」となどと述べ、「すでに実現できた事はさらにそれ以上のことが出来る事を覚えていてほしい」と締めくくった。
また、阿部氏は最後に、今回記者説明会が行われた科学技術館で7月頃を目処に「ムーアの法則50周年記念展示」を行なうと発表した。展示では「ムーアの法則」ショーケースやビデオ、担当者による説明コーナーなどが予定されている。