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VAIO Z、13型ノートで断トツの平均単価に

~量販店での販売開始も、数量を追わない姿勢は変わらず

店頭での即納体制が開始されたVAIO Z(写真は、ソニーストア名古屋)

 VAIO株式会社が、3月6日から量販店で持ち帰りが可能なVAIOの「個人向け標準仕様モデル」を発売した。全国の量販店のPOSデータを集計しているBCNによると、発売後の最初の土日を含む3月2日~8日までの集計で、13型ノートPCとしては、平均単価が191,000円と最も高い価格となった。

 VAIOが投入した個人向け標準仕様モデルは、大型量販店に在庫を持ち、購入後すぐに持ち帰ることができる製品。VAIOは、2014年7月1日の会社設立以降、主要量販店店頭にVAIO専用の展示コーナーを展開していたものの、その場では持ち帰れず、VAIO OWNER MADEを通じて、BTOによる仕様を決定した後、購入を申し込みし、後日、製品が配送される仕組みとなっていた。

 これは、量販店での在庫負担を減らすための施策であり、スタート直後のVAIOにとって経営を安定させるための施策の1つでもあった。

 一方、6日から開始した個人向け標準仕様モデルは、これまでのVAIOの販売戦略を大きく転換したものと言え、持ち帰る製品を用意することで、販売機会を増やしたいとする量販店の声に対応したものだという。

 個人向け標準仕様モデルは、「VAIO Z」と「VAIO Pro 11」の2機種に限定。さらに、VAIO Zでは2モデル、VAIO Pro 11では1モデルだけと絞り込んだ。最も標準的とも言える仕様に固定することで、在庫する機種を限定し、不良在庫が発生しにくい状況で販売を開始した。

 当初は、エディオングループ(エディオン、100満ボルト)、ケーズデンキ、ノジマ、ビックカメラグループ(ビックカメラ、コジマ、ソフマップ)、PC DEPOTで在庫を開始。約60店舗を対象に展開し、即納体制を実現する。

 また、個人向け標準仕様モデルの発売に合わせて、[VAIO OWNER MADE]モデルを含む、VAIO PC全体の購入相談窓口として、相談用メールアドレス( customer@vaio.com )も新設した。

 だが、個人向け標準仕様モデルの在庫数はかなり絞られているようだ。BCNの調べによると、ノートPC全体におけるVAIOのシェアは、3月2日~8日までの集計で、わずか0.09%と1%を切る結果。販売店が限定されていること、量販店での即納体制の認知が進んでいないこと、高付加価値モデルを中心としていることで、パイの大きさが限られることも要因といえるが、シェアを追わないVAIOの姿勢は、個人向け標準仕様モデルの販売開始においても崩していないようだ。

 同社初のオリジナルモデルであるVAIO Zが対象になる13型ノートPCに限定しても、3月2日~8日までの集計では、同社のシェアは、0.5%とやはり1%を切る水準。同社のシェアは、ノートPCを発売している11社中9位。量販店での取り扱い開始の3月6日~8日の集計でも9位という順位は変わらない。

 だが、平均単価という点では、VAIOの存在感が発揮されている。VAIO Zの平均単価は、191,000円となっており、13型ノートPCにおける平均単価の高さでは断トツ。2位の東芝の152,000円、レノボの146,000円を大きく引き離している。

 また、ノートPC全体で見ても、VAIO ZおよびVAIO Pro 11を合わせた平均単価は、17万円。Let'snoteを展開するパナソニックの179,000円には及ばなかったが2位のポジションを獲得。3位のアップルの114,000円を大きく引き離している。

 付加価値戦略を推進する2社が、平均単価では抜きんでており、新たな付加価値モデルを販売するPCメーカーが誕生したことを裏付ける結果となっている。

 なお、2月16日から受注を開始し、2月26日からユーザーの手元に届き始めた「VAIO OWNER MADE」モデルも順調な滑り出しをみせているようだ。VAIO OWNER MADEモデルは、ソニーマーケティングを通じて取り扱っているが、ソニーマーケティング カスタマーマーケティング部門の浅山隆嗣部門長は、「ほぼ予想通りの受注数量となっている。人気は高機能モデルに集中しており、平均単価も高い。一部の高機能モデルにおいては、少しお待ちをいただく状況になっている」とコメントした。

長野県安曇野の本社工場で生産中のVAIO Z

(大河原 克行)