ニュース

国交省、飛行機内での電子機器使用制限を9月1日から緩和

 国土交通省は7日、航空機内での電子機器の使用について、9月1日より一部制限を緩和することを発表した。欧米で電子機器利用の見直しが行なわれたことを受け、国土交通省でも2014年に入ってから「航空機内における電子機器使用に関する意見公開会」を実施し規制緩和の方向性を打ち出していたほか、パブリックコメントの募集も行なっていた。

 現在は航空法に基づく告示により、乗降ドアが閉まり水平飛行でない離着陸体制の際には全ての電子機器類の使用が禁止されるほか、水平飛行時も電波を発しない機器または機内のWi-Fiシステムなどに接続する機器に使用が限られていた。

 告示の見直し内容は、まず電子機器から発せられる電波に対する耐性に応じて航空機を区分。航空無線に割り当てた周波数帯を除き、通信などに必要な電波と微弱な不要電波に対する耐性を持つ航空機をタイプ1、通信などに必要な電波には耐性がないが微弱な不要電話に対する耐性を持つ航空機をタイプ2、通信などに必要な電波に対する耐性は持つが不要な微弱電波への耐性を持たない航空機をタイプ3、どちらにも耐性を持たない航空機をタイプ4とし、タイプ1を区分1、タイプ2を区分2、タイプ3とタイプ4を区分3に分類。区分1はボーイング737/767/777/787型機やエアバス380/320、ボンバルディアCRJ-100/200、区分2はボーイング737/767の一部やSAAB340、ボンバルディアDHC-8シリーズ、区分3はヘリコプターが該当する。

 まず、航空機の区分に関わりなく、携帯電話やWWAN対応ルーターなど、航空機外の設備と無線通信を行なう機器(通信)については飛行中も含めて利用できない。ただし、従来は乗降口のドアが閉まっている状態では利用できないとしていたが、新しい告示では、搭乗後のドアクローズから着陸して地上走行を開始するまで禁止されるように見直される。つまり、着陸後に滑走路を離れれば、航空機内で携帯電話などを利用できるようになる。

 電波を発する電子機器を利用する場合、区分1の航空機の規制を大幅に緩和。機内に搭載された無線LANシステムに接続するPCやモバイルデバイス、機内の電子機器同士をBluetooth接続するポータブルゲーム機やヘッドセット、スマートフォンアクセサリなど、電波を発する電子機器であっても常時利用が可能になる。これにより、例えば機内インターネットサービスなども搭乗直後から降機するまでの間、使い続けることができるようになる。

 区分2、区分3については機内無線LANシステムを装備できないため、上記の機内に搭載されたシステムにWi-Fi接続するデバイスは利用できない。また、Bluetooth接続を行なう機種についても、上記の航空機外の設備へ無線通信するのと同様、搭乗後のドアクローズから着陸後地上走行を開始するまでの間、使用が禁止される。

 電波を発しない電子機器を利用する場合、区分1および区分2の航空機は搭乗直後から降機するまでの間、常時利用が可能になる。区分3の航空機については従来のように水平飛行時に利用可能なことに加えて、着陸後地上走行を開始してからも利用できるよう緩和される。

航空機内の電子機器利用に関する告示見直しの概要(出典:国土交通省)

(多和田 新也)