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トレンドマイクロ、IoT時代を見据えた個人向けセキュリティ戦略を紹介
(2014/8/6 15:02)
トレンドマイクロ株式会社は8月6日、都内で記者会見を開き、同社の今後のコンシューマ向けビジネス戦略について説明を行なった。
冒頭では、同社 代表取締役社長のエバ・チェン氏が、市場を取り巻くインターネットの環境について解説。IT技術の進化と人々の生産性への追求によって、これまでに約1,300億ものアプリケーションがダウンロードされているほか、今後はIoT(Internet of Things。トレンドマイクロではInternet of Everythingと呼んでいるが同義である)の普及によって、2018年には1人あたりのデバイス数が約1.4台に増加すると見込まれている。
家庭内ネットワークの構築も当たり前のものとなっており、今や先進国の家庭では1家につき10台前後のデバイスがインターネットに接続しており、もはや小さなオフィスのような環境になりつつある。
こうした先進国の家庭環境を狙ったネットワーク犯罪も、近年増加している。例えばネットバンキングサービスに偽装したサイトや、そのIDやパスワードの取得を狙った悪質なプログラムなどがある。また特定のアプリに偽装し、ユーザーのIDやパスワードを取得しようとするAndroidの不正アプリも、これまでに200万件を超えている。
「今後普及するIoTによって、このセキュリティ問題はさらに深刻化するだろう」とチェン氏は指摘する。例えばネットワークカメラをハッキングすれば家庭内の様子が見られるし、TVも不正アクセスされる可能性がある。最近スマートフォンで操作できる電球も、ハッキングによって勝手に消灯できるようになるし、自動車も通信機能を搭載すれば、当然ハッキングによって位置情報などがハッカーに知られる恐れがあるとした。
とは言え、IoTの時代では、現在と同じようにインターネットに接続するすべてのデバイスに、アンチウイルスソフトやセキュリティ対策ソフトを入れるのは無理がある。そこで考えられるのはルーターにDPI(ディープ・パケット・インスペクション)を取り入れ、複数のデバイスのセキュリティを一元管理する仕組みだ。
また、デバイスが家庭内ネットワークを通さず、3G/4Gといったモバイル環境でも、クラウドゲートウェイを通してセキュアな通信を実現しなければならない。さらに、デバイスが多様化することで、セキュリティ関連のみならず、ウイルスが要因ではないエラーメッセージなどについてのユーザーの不安を解消しなければならない、などの課題を挙げた。
こうした課題に対して、トレンドマイクロは新たに3つの戦略を打ち立てた。家庭内ネットワーク環境の保護に対しての「セキュリティアットホーム」、モバイルネットワーク環境の保護に対しての「セキュリティエブリウェア」、そしてデバイス使用における不安を解消するために用意された「セキュリティコンシェルジュ」の3つだ。
同社 取締役副社長 日本地域担当 グローバルコンシューマビジネス担当の大三川彰彦氏は、具体的な戦略について解説。セキュリティアットホームについては、ルーター機器製造ベンダーや通信事業者、サービス事業者などと提携し、トレンドマイクロの技術を提供することで、IoT時代のデバイス増加に対するセキュリティの課題を解決していく。
一方セキュリティエブリウェアは、セキュリティ対策ソフトの提供のみならず、オンラインバンキングやオンラインゲーム、オンラインストレージのパートナーと協業し、トレンドマイクロのクラウドゲートウェイの仕組み(単純に言えばVPNを用いて安全な通信を確保した上で、トレンドマイクロのサーバーが通信をチェックし、不正アクセスがないようにする)を用いて安全な通信を確保していく。
最後のセキュリティコンシェルジュについては、ユーザーが直にトレンドマイクロと契約したり、PCやデバイスベンダーと協業して間接的にトレンドマイクロが技術支援を行なうことで、ユーザーのデバイス使用時のさまざまな不安を解消していくとした。
このほか、新興市場向けには、「トレンドマイクロApps」と呼ばれる、独自のアプリケーションマーケットを展開し、フリーミアムやレベニューシェアなどの仕組みを通してエコシステムを構築、ビジネスを拡大していきたいとした。