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Rightware、スマートフォン/タブレット向け総合ベンチマークソフト「Basemark OS II」

~カメラ性能などもテスト可能

「Rightware Besemark OS II」
1月20日(現地時間) 発表

Rightware創業者で社長のテロ・サッキネン氏

 フィンランドRightwareは20日(現地時間)、スマートフォン/タブレット向けの総合ベンチマークソフト「Basemark OS II」を発表した。クロスプラットフォームの測定が可能なベンチマークソフトで、Android、iOS、Windows Phone 8向けが提供される。すでに、各アプリストアから無償版をダウンロードできる。

 Rightwareは、3DMarkやPCMarkシリーズで知られるFuturemarkの元CEOであるテロ・サッキネン(Tero Sarkkinen)氏が2009年に設立したソフトウェア会社。スマートデバイス向けのユーザーインターフェイスの開発や、システムや半導体の性能評価を行なうソフトウェアの開発などを行なっている。前者は例えば自動車に搭載される情報システム(インフォテインメントシステム)のGUIなどに関わっているという。

 ベンチマークの分野では、Futuremarkと同じように、特定の半導体メーカーやデバイスメーカー、IP企業が制作したものではない、独立したベンチマーク開発を行なう立場を採る。ただし、客観性とともに、技術的な信頼性を高めることも必要なためベンチマーク開発プログラム(Benchmark Development Program)を立ち上げ、参加企業の協力の下で制作を行なっている。例えば、開発したベンチマークソフトを事前に参加企業の半導体を組み込んだデバイスで実行してフィードバックをもらい、開発に反映するといったサイクルを繰り返すことで、品質を高める。その上で公開版として提供されるわけだ。このプログラムの参加企業は同社のWebサイトで確認できるが、AMDやARM、Intel、NVIDIA、Qualcomm、Samsungなど大手の半導体メーカーが名を連ねていることが分かる。

 すでに、Open GL ESの性能評価を行なう「Basemark ES」、Open CL性能の評価を行なう「Basemark CL」、ブラウザ性能の評価を行なう「Browsermark」などをリリース。総合ベンチマークソフトとしては「Basemark X」が提供されており、今回リリースされた「Basemark OS II」は、クロスプラットフォームで利用できる総合ベンチマークソフトという性格を持つ。

 OSはAndroid 3.1以降、iOS 6.0以降、Windows Phone 8に対応。それぞれのアプリストアからフリー版をダウンロードできる。また、Rightwareにライセンス料を支払うことで利用できるフルバージョンも用意される。Basemark OS IIの料金は不明だが、過去のソフトでは数万ユーロのオーダーになっており、基本的には企業や専門家を対象したものといえる。

 テストの内容は、大きく「システムテスト」、「メモリテスト」、「グラフィックステスト」、「Webテスト」に分かれる。

トップ画面
テスト項目。フリー版では選択はできないが、内容を把握することはできる
エクストラテストの内容。フリー版ではカメラパフォーマンステストのみ実行可能
デバイス情報の表示画面
ベンチマークテストの内容を解説する画面
テスト回数などを設定する画面。こちらもフリー版では無効化されている
テスト中の画面
グラフィックステストの実行画面
Webテストの実行画面

 システムテストは、主にCPUの性能を測るもので、データ圧縮などでの性能や、XMLのパース処理性能、シングルコア時、マルチコア時の各処理性能測定が行なわれる。メモリテストは、固定サイズ、可変サイズ、断片化されたデータへのリード/ライト性能を測定。

 グラフィックステストは2Dおよび3DのAndroidおよびiOSではOpen GL ES 2.0、Windows PhoneではDirectX Level 9_3でレンダリングした性能を測定。3Dレンダリングを行なっている画面上に2Dオブジェクトを表示する、リッチなGUIを想定したテストが実行される。

 Webテストは、CSSで提供されるTransformやResizeプロパティのテスト、HTML5のCanvasを用いたテストを実行。

 結果は独自の計算式でスコアが算出される。この際、新旧のスマートフォンでリニアな性能評価を行なえるようバランスを取るため、最大1,000ポイントの調整が入るとしているが、詳しくはデータシートにも記載されていない。なお、スコア誤差は最大で5%としている。

 そして、このスコアをほかの端末と比較するための場として、「Power Board」と呼ばれるWebサイトを提供。アプリの結果画面から直接Webサイトへ移動し、結果をアップロードすることができる。

 参考までに、NTTドコモの「ELUGA X P-02E」、Googleの「Nexus 7(2013)」でフリー版を実行した際の結果を下記に紹介する。

ELUGA X P-02Eでの実行結果(スクリーンショットが撮れなかったためデジカメで撮影したもの)
Nexus 7(2013)での実行結果
Power Boardというデータ集約の場が用意されており、ほかのデバイスとのスコア比較が可能

 ちなみに、総合的な性能を測るための上記テストとは別に、特定のコンポーネントに特化した評価を行なう「エクストラテスト」も用意され、フリー版では「カメラパフォーマンステスト」のみが利用できる。

 これは、フィンランドのSoficaが開発したもので、カメラの起動時間、最初の写真を撮影する速度、連続して写真を撮影した際の速度、フラッシュを点滅させて撮影した場合の速度、オートフォーカスの合焦速度を測定。やはり独自のスコアを算出する。

カメラテスト。フォーカスのテストもあるので、コントラストのある被写体を写しておく必要がある
ELUGA X P-02Eでの実行結果
Nexus 7(2013)での実行結果

 なお、フルバージョンでは、実施するテストの選択や回数の設定、各テストの個別結果、バッテリテスト、拡張ストレージ(microSDカードなど)の性能評価などが実行できる。

フルバージョンでは実行するテストの選択や、各テストの個別結果を見ることができる

(多和田 新也)