ニュース

NEC、LEDバックライト化し表面処理も改善したグラフィックス向け液晶

~24~29.8型ラインナップを一新

MultiSync LCD-PA302Wシリーズ
10月25日より順次発売

価格:オープンプライス

 NECディスプレイソリューションズ株式会社は24日、カラーマネージメントの要求が高いグラフィックス分野向けの液晶ディスプレイ「PA」シリーズの新製品計6モデルを発表した。ラインナップは液晶サイズ3種類に各2色で、29.8型/WQXGAの「MultiSync LCD-PA302W」(白)、「MultiSync LCD-PA302W-BK」(黒)、27型/WQHDの「MultiSync LCD-PA272W」(白)、「MultiSync LCD-PA272W-BK」(黒)、24.1型/WUXGAの「MultiSync LCD-PA242W」(白)、「MultiSync LCD-PA242W-BK」(黒)。

 発売日は、LCD-PA302WシリーズとLCD-PA272Wシリーズが10月25日、LCD-PA242Wシリーズが11月8日。価格はいずれもオープンプライスで、店頭予想価格はLCD-PA302Wシリーズが25万円前後、LCD-PA272Wシリーズが15万円前後、LCD-PA242Wシリーズが12万円前後の見込み。

MultiSync LCD-PA272Wシリーズ
MultiSync LCD-PA242Wシリーズ

 AdobeRGBカバー率の大きさを特徴とするPAシリーズの新ラインナップ。旧PAシリーズではCCFLを用いていたのに対し、新モデルでは白色LEDを採用。これにより低消費電力化、長寿命化、液晶表面低温度化、起動後に利用可能になるまでの時間の短縮などを実現した。また、LEDバックライト特有のフリッカーを抑えるため、PWMのサイクルを約50kHz(PA242Wシリーズは約20kHz)と高速化。人が感じるフリッカーは100Hzを超える程度であるため、この周波数ではほぼフリッカーを感じることはないとしている。

 また、多くの白色LEDは青色LEDに黄色の蛍光体を重ねたものだが、本製品の白色LEDは「GB-R」方式と呼ばれる緑色(G)と青色(B)のLEDに赤色(R)の蛍光体を重ねたタイプを採用。この方式を採用することで、RGB各色の発色のズレが少なくなり、AdobeRGB 99.3%のカバーに繋がった。また、緑と青の2色は独立して調光を可能とすることで色補正時のバックライトの輝度上昇を抑制でき、長期間使用後の補正による色調整などを行なっても黒のレベル上昇を抑え、高いコントラストを維持できる。また、この方式により自動補正を使用した場合でも約41,000時間、AdobeRGB維持が可能であるとした。

 液晶表面は従来モデル同様にノングレア(アンチグレア)タイプとなるが、従来モデルでは若干ギラつきがあるとのユーザーの声を多くもらっていたといい、今回の新モデルでは「アンチ・スパークリング・フィルム」と同社が呼ぶ新方式を採用。粒子のサイズや大きさを最適化することで、色分離や拡散光を抑えた。

LCD-PA272Wと従来機(LCD-PA271W)との比較
LCD-PA302Wと従来機(LCD-PA301W)との比較
表面処理に「アンチ・スパークリング・フィルム」を採用
緑(G)と青(B)のLEDに赤色の蛍光体を組み合わせた「GB-R LED」を採用。GとBの両LEDは独立して制御可能
GB-R LED採用によるCCFL採用モデルに対する優位性を示すデータ

 このほか、グラフィックスのプロ向けに搭載している各種機能も従来モデルより強化。

 ディスプレイ内に搭載されたセンサーにより自動的に経年変化の補正を行なう「セルフカラーコレクション」は、従来の輝度に加えて、色(カラー)の補正が可能。また、従来はOSD(On Screen Display)メニューから手動で実行する必要があったが、一定周期ごとにバックグラウンドで自動実行されるよう変更された。

 外部のセンサーを用いた色補正については、30型の従来機「LCD-PA301W」シリーズでも搭載されていた「ベースキャリブレーション」機能の強化版を搭載。同機能は、ユーザーが持つセンサーを用いて作成した補正のベースデータを基準に全てのピクチャーモードの校正を自動的に行なえるもの。従来からセンサーの対応機種を拡大した。

 また、別売りの補正ソフト「SpectraView II」で、ベースデータ取得のキャリブレーションを行なえるようにしたことで、24.1型、27型の各モデルでも同様の機能を利用できる。

 このほか、設定管理ツールの「MultiProfiler」もアップデートされ、設定のインポート/エクスポートを機能を搭載した。

ディスプレイ単体で経年変化の補正を行なう「セルフカラーコレクション」は、バックグラウンドで自動実行されるほか、カラー補正も可能になった
PAシリーズによる経年変化補正のイメージ。特定センサーを基準としている場合など、セルフカラーコレクションが利用できないケースにも適応できる機能を盛り込んでいる
経年変化の補正機能に関する、従来のPAシリーズと新モデルの機能比較
設定管理ツールのMultiProfilerは設定のエクスポート/インポート機能を追加し、複数台間の設定共通化を簡単に行なえるようにした
従来は30型モデルのみの対応だったベースカラーキャリブレーションは、PAシリーズ全モデル対応に拡大
補正ツールのSpectraView IIもアップデートされ、同社のセンサー「LCD-MDSVSENSOR3」をサポートしたほか、ベースキャリブレーションを実行できるようになった

 各製品共通の主な仕様は、パネルがAH-IPS、表示色数が最大約10億7,374万色(約4兆3,475億色中)、視野角が上下/左右それぞれ178度、輝度が340cd/平方m、コントラスト比が1,000:1。スタンドは上30度/下5度、左右90度、高さ150mm、ピボットの調整が可能。

 LCD-PA302Wシリーズは、サイズが29.8型、解像度が2,560×1,600ドット(WQXGA)、応答速度が12ms(中間色7ms)。インターフェイスはDualLink DVI-D、HDMI、DisplayPort、Mini DisplayPort、USB 2.0対応3ポートHub。本体サイズは688×301.6×466.4~616.4mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約17kg。

 LCD-PA272Wシリーズは、サイズが27型、解像度が2,560×1,440ドット(WQHD)、応答速度とインターフェイスはLCD-PA302Wシリーズと共通。本体サイズは640.4×235.5×396.2~546.2mm(同)。重量は約12.9kg。

 LCD-PA242Wシリーズは、サイズが24.1型、解像度が1,920×1,200ドット(WUXGA)、応答速度が14ms(中間色8ms)。インターフェイスはミニD-Sub15ピン、DualLink DVI-D、HDMI、DisplayPort、USB 2.0対応3ポートHub。本体サイズは556.8×227.6×378~528mm(同)。重量は約10.6kg。

(多和田 新也)