米Appleは10月23日(現地時間)、サンノゼ市内にあるCalifornia Theatreで、スペシャルイベントを開催し、7.9型パネルを搭載する「iPad mini」、A6Xを搭載して第4世代にあたる「iPad Retinaディスプレイモデル」などを発表した。イベントの模様は同社Webサイトのほか、iOSデバイス、第2世代以降のApple TVに対してストリーミングによるリアルタイム配信が行なわれた。終了後もAppleのページで視聴できる。
●7.9型パネルを採用した「iPad mini」7.9型IPS液晶を搭載する「iPad mini」 |
かねてより噂の絶えることはなかった小さなiPadは「iPad mini」として正式に発表された。パネルはIPS液晶の7.9型で、1,024×768ドットの解像度。この解像度は初代およびiPad 2と同等で、アスペクト比も同様に4:3が継承されている。パネルサイズが9.7型から7.9型になっていることで、ピクセル密度は上がって163ppiとなった。本体サイズは、134.7×200×7.2mm(幅×奥行き×高さ)。重量はWi-Fiモデルが308g、Wi-Fi+Cellularモデルが321g。
プロセッサはA5。世代としてはiPad 2、iPhone 4Sと同じプロセッサを採用するが、クロック速度は非公表。ワイヤレス機能はIEEE 802.11a/b/g/n無線LAN(802.11nは2.4GHz/5GHz)とBluetooth 4.0を搭載する。
加えて Wi-Fi+Cellularモデルには3GおよびLTEのモバイル通信機能が加わる。同社の日本語サイトには現時点でモデルA1454とモデルA1455の2つが紹介されており、前者はGSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz)、UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1,900、2,100MHz)、LTE(バンド4および17)。後者はCDMA EV-DO Rev. AおよびRev. B(800、1,900、2,100MHz)、GSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz)、UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1,900、2,100MHz)、LTE(バンド1、3、5、13、25)となっている。
使用するLTEバンドから想像するに、前者はアメリカ市場向けのAT&T対応製品とみられ、日本市場では後者のみが販売されると推測されるが、正確な情報はAppleおよびキャリアの発表を待つ形になる。SIMはiPhone 5でも採用されたNano-SIM形状。
カメラ機能は、iSightカメラとなるリアカメラが500万画素。1080pのHDビデオ撮影機能。裏面照射型CMOSセンサーを採用し、F値は2.4。フロント側にあたるFaceTime HDカメラは120万画素、720pのHDビデオ撮影機能を持つ。紹介されているスペック上は、先日発表された第5世代のiPod touchに搭載されるカメラと同等。カメラユニットまで同一かどうかは現時点ではわからない。
従来のiPadと同様にSmartCoverもオプションとして販売される。カラーは6色 |
本体色は「ブラック&スレート」と「ホワイト&シルバー」の2色。従来のiPadは正面の額縁部分のみに黒と白の違いがあり背面は同一だったが、iPad miniではブラック&スレートモデルは背面も黒になっている。インターフェイスは、Lightningコネクタを底面に搭載する。側面のボリュームボタンや消音/画面の向きをロックするスイッチなどは、従来のiPadと同様に配置されているが、本体に合わせた質感など、iPhone 5のそれとよく似たものに変わった。電源のオン/オフボタン、そしてヘッドフォンミニジャックは従来iPadと同様に上部に配置されている。
バッテリは16.3Whのリチャージャブルリチウムポリマーバッテリ。Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生、オーディオ再生で、最大10時間と発表されている。搭載されるメモリ容量は16GB/32GB/64GB。価格はWi-Fiモデルがそれぞれ、28,800円/36,800円/44,800円。Wi-Fi+Cellularが、39,800円/47,800円/55,800円。
iPad miniは、Wi-Fiモデルの予約を10月26日から受付け、11月2日より出荷予定。米国の発表ではそれより2週間遅れて、Wi-Fi+Cellularモデルの出荷が開始されるという。日本国内においてCellularモデルを取り扱うキャリアはソフトバンクモバイルとKDDIとなるが、Cellularモデルの予約開始日や出荷日時、料金プラン等は現時点で明らかになっていない。
●第4世代となる「iPad Retinaディスプレイモデル」
第4世代となる「iPad Retinaディスプレイモデル」。A6XプロセッサとLightningコネクタを採用する。 |
今年3月に「新しいiPad」としてリリースされた9.7型のiPadも半年あまりでリニューアルされた。新モデルは第4世代にあたるが「iPad Retinaディスプレイモデル」として発表されている。Retinaの名称通り、9.7型のIPS液晶パネルは2,048×1,536ドットの解像度で264ppi。本体サイズは、185.7×241.2×9.4mm(同)。重量はWi-Fiモデルが652g、Wi-Fi+Cellularモデルが662g。
新しいiPadこと第3世代との最大の差は搭載するプロセッサ。A5Xに代わってA6Xが搭載される。同社のサイトではクアッドコアグラフィックス搭載デュアルコアA6Xチップとして紹介されている。A5に対してA5XがRetinaディスプレイをドライブするためにグラフィックス機能を強化したプロセッサであったことと同様に、iPhone 5に採用されたA6のグラフィックス機能強化版がA6Xになると思われる。クロックおよび詳細なスペックは非公開だが、Appleはプロセッサ能力、グラフィック能力ともA5X比で2倍と説明している。
もう1つ、第3世代では30ピンのDockコネクタを採用していたが、「iPad Retinaディスプレイモデル」ではiPhone 5と同様のLightningコネクタを採用した。同社サイトを確認する限り、それ以外の外装部分は第3世代製品と大きな違いはみられない。
ワイヤレス機能とモバイル通信機能は前述したiPad miniと同等。モデル名称がモデルA1459とモデルA1460とされているが、これも同じように前者がAT&T向け製品と推測される。SIM形状はMicro-SIM。キャリアはソフトバンクモバイルとKDDI。
カメラ機能もスペック上は前述のiPad miniと同等。バッテリは42.5Whのリチャージャブルリチウムポリマーバッテリ。Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生、オーディオ再生で、最大10時間と発表されている。
本体色はブラックとホワイトの2色。iPad miniとは異なり、こちらは従来と同様にフロント側のカラーのみが異なり、背面はシルバーで共通。搭載されるメモリ容量は16GB/32GB/64GB。価格はWi-Fiモデルがそれぞれ、42,800円/50,800円/58,800円。Wi-Fi+Cellularが、53,800円/61,800円/69,800円。
第3世代にあたる「新しいiPad」は、同社のサイトから記載がなくなり事実上のディスコンとなる見通し。iPad 2は販売が継続される模様で、Wi-Fiモデル、Wi-Fi+3Gモデルともに16GBのみがラインナップされる。iPad 2の取り扱いはソフトバンクモバイルのみ。
iPadに関連しては、iPad製品の累計出荷台数がこの発表の3日前にワールドワイドで1億台を超えたことも発表を行なったティム・クックCEOより明らかにされた。また同社の電子書籍アプリケーション「iBooks」は同日よりアップデートされて、日本語、韓国語、中国語の表記にも対応するという。iBooksにはFacebookやTwitterとの連携機能も追加される。原稿執筆時点ではアプリケーションの更新が行なわれていないため、日本語版の書籍ラインナップなどは明らかになり次第、続報をお届けする。
(2012年 10月 24日)
[Reported by 矢作 晃]