三井ホーム、KinectでTV/ブラインド/照明が操作できる次世代住宅公開

実証実験住宅MIDEAS

9月10日 公開



 三井ホーム株式会社は10日、日本マイクロソフトの「Kinectセンサー」を活用したナチュラルユーザーインターフェイスによるTVの操作や、タブレットを活用による住宅設備操作などを実現した「次世代スマート2×4 MIDEAS(ミディアス)」を報道陣に公開した。

 公開された住宅がある千葉県、柏の葉キャンパスエリアは、2011年3月、日本経済団体連合会の「未来都市モデルプロジェクト」に選定され、さらに同年12月には内閣府から新成長戦略に基づくモデルプロジェクトとして地区選定された。地域活性化総合特区として、三井不動産、三井ホームをはじめとした23社からなるスマートシティ企画株式会社、大学などとの連携により、スマートシティの最先端モデル地区として、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅周辺の開発が進んでいる。

柏の葉スマートシティプロジェクトの推進体制柏の葉キャンパス駅周辺の開発状況
スマートシティの中核となるAEMSAEMSによる管理画面

 MIDEASという住宅の名称は、三井ホームの「M」とアイデアの複数形から成る造語。三井ホームが進めてきたエコ環境に適した2×4工法の木の家造りをベースに、太陽光発電システムによる発電システム、2機の蓄電池による蓄電システム、非接触型の充電設備を備えた駐車場を持つEV電気自動車、太陽光熱給湯システム、万が一の場合に備えたディーゼルエンジンによるアシスト電源を備えたエネルギー自給自足生活を目指している。住宅及び設備設置でおよそ8,000万円の総工費となっている。この住宅を使って生活した場合には、電気代は通常の50%削減となる見通し。

 柏の葉キャンパス地区はスマートシティを目指し、AEMS(エリアエネルギー管理システム)を採用しており、MIDEASと連動。住宅自身のエネルギーを管理するHEMS(ハウス・エネルギー管理システム)と、地域のエネルギーを管理するAEMSとの連携を実現している。

非接触型の充電設備を備えたEV電気自動車の駐車場MIDEASの看板
三井ホーム 技術研究所長 坂部芳平氏

 三井ホーム 技術研究所長・坂部芳平氏は、「AEMSとの連携を実現しているHEMSは住宅業界としては初めてのもので、三井ホームとして特色の1つとしていく。エネルギー・スマート技術は色々出ているが、『どう使うのか』の検証は進んでいない。その検証と魅力有るライフスタイルをどう確立するのか、独自アプリケーションを開発する」と今回の実証実験を位置付ける。

 住宅には気象観測センサー、地震観測センサーが備え付けられ、住宅の大敵となる水分が内部に混入した場合にセンサーが反応する耐久性モニタリングセンサー、温湿度照度センサーなど各種センサーを設置。異常があった場合には三井ホーム側に自動送信し、早期対応を図ることなどを計画している。

MIDEAS概念図エネルギー自給自足を目指した設備
タブレット端末やKinectによる操作など先端技術を導入各種センサー導入により住まいを見守る体制を装備

 Kinectやタブレットを使った住宅設備の操作はリビングに設置されている。

 大型TVの上部に設置されたKinectを利用した操作は、現在のところTVの操作、ブラインドの開閉、照明の操作の3つができるようになっている。操作対象をもっと増やしていくことも可能だが、デモンストレーションを行なっていた三井ホームのスタッフによると、「出来ることを増やすと、慣れるまでは混乱してしまう可能性があること、動作がより複雑になって誤作動を起こす可能性があることを考慮し、当初はできることを3つに絞り込んだ」のだという。

 また、デモンストレーションは立って行なわれたが、もちろん椅子に座ったり、寝転がったりした姿勢でも操作は可能だという。どういった姿勢で、どんな動作をするのが適しているのかについては、今後実証実験を進めながら検討していく予定だ。

Kinectによるブラインド開閉の操作
Kinectは現在TV、ブラインド開閉、照明の3つに対応TVの横にはルーターが設置されているTVの上に設置されたKinect

 タブレットを使って住宅設備を操作することも可能だが、こちらはやはり混乱を避ける意味もあって、Kinectとは分けて操作する仕様となっている。タブレットでは、現在18個のアプリケーションが用意されているが、「将来的にはアプリケーションマーケットを用意し、そこから映画コンテンツを購入するといった使い方を検討中。他に欲しいアプリケーションのリクエストがあれば、それに対応することも検討する」という。

 どんなアプリケーションが必要か、などについても、今後実証実験を進めていきながら見極めていく計画だ。

 今後のタイムスケジュールとしては、9月10日から11月9日までの期間を公開期間として、その後11月12日から2013年9月30日までを基礎実験期間に、2013年10月1日から2015年11月30日までを入居実験期間にする予定としている。

住宅内の情報を閲覧するために設けられたARアプリコンテンツ
住宅の大敵となる水滴が内部に入ったことを感知するためのモニタリング・センシングシステム
湿温度センサー
室内で野菜を育てる「おやさい工房」
EVワイヤレス給電盤テラスの手すり部分にも太陽電池パネルが設けられている
水槽アプリは電気の使用量に応じて登場する魚が変わる仕組みとなっている。タブレットによって操作するアプリケーション。現在は18個のアプリケーションが用意されている

(2012年 9月 11日)

[Reported by 三浦 優子]