東京タワーに展望台ガイドロボット「TAWABO」がデビュー
~ALSOKのデジタルサイネージロボット「An9-PR」を採用

東京タワーのガイドロボット「TAWABO」

8月1日 発表



 8月1日、日本電波塔株式会社(東京タワー)は、営業部・東京タワー大展望台2F専属の案内スタッフとして展望台ガイドロボット「TAWABO」(タワボ)を採用すると発表し、大展望台にて配属任命式を行なった。ロボットの外装は東京タワーをイメージさせるものとなっており、同タワーのシンボルカラーである「インターナショナルオレンジ」と白で着色されたボディには、リベット(鋲)風の装飾が施され、頭部先端にもアンテナ状の装飾があしらわれている。性別は「元気な男の子」で特技は「おしゃべり、お散歩」とのことだ。

 「TAWABO(タワボ)」は10時~17時の間に1日8回、東京タワーの大展望台2Fを自動巡回しながら、4隅で見える風景を音声で案内する。時速1km程度のゆっくりした速度で動き、人に遮られたりしたときは静止するため、一周周る時間は20分~30分程度。なお平日は一周周るが、土日・休日は10時のみ一周し、それ以外は1/4周となる。音声は日本語・英語のほか、中国語・韓国語の合計4カ国語。時間によって音声を変える。「タワボ」という名前は東京タワーに設置した応募箱を使って一般公募で募集したもので、応募総数1,310通から、覚えやすく、呼びやすく、親しみやすいという理由から決定した。

 今回採用されたロボットは綜合警備保障株式会社(ALSOK)のデジタルサイネージロボット「An9(アンナイン)-PR」。2009年に発表されたモデルだ。これまでに浜松科学館、住宅展示場の「ヨコハマくらし館」のほか、ショッピングモール「キャナルシティ博多」に3台など、全国に6台納入されている。

 外形サイズは90×100×158.5cm(幅×奥行き×高さ)。重さは200kg。バッテリは鉛バッテリで連続走行時間は1時間。充電センターには自動で戻る。

高さはおよそ160cm手の部分はFelicaリーダー早速大勢の人たちに囲まれていた

 案内機能としては前後に3つのディスプレイやスピーカーを備えている。本体上方には電光掲示板があり、動く文字でニュースやメッセージなどを表示する。ボディ下方には障害物検知センサー、超音波センサーなどを装備。手の部分はFeliCaリーダとなっているほか、赤外線や無線LANでも通信可能。また頭部にあるカメラでは顔認識を行なうことができる(認識には沖電気工業株式会社の組込用顔認識ミドルウェアFSE(Face Sensing Engine)を採用している)。位置検出には車輪の回転を使うロータリーエンコーダーのほか、天井に設置されたマーカーを赤外線カメラで見ることで、位置の補正を行なっている。

 外観は固そうに見えるかもしれないが、ロボットの外装は硬質ウレタンで、触ると柔らかいことがわかる。修学旅行や家族で訪れた子供たちがドンとあたっても互いに大丈夫なようにできている。頭部に装飾としてつけられたアンテナも見た目は尖っているが、さわると柔らかい。また「An9-PR」には来場者をミニゲームで楽しませるといった機能もあるが、東京タワーの展望台でそれをやるとお客が滞留してしまうので、その機能は省き、あくまで案内のみに徹するとのことだ。メンテ保守等を含むリース料金等は非公開だが、「An9-PR」は基本的に5年間のリース契約となっているという。

頭部先端のカメラと東京タワーをイメージした装飾の「アンテナ」本体上部の電光掲示板ボディ下部に並んでいる障害物検知センサー、超音波センサーで周囲の人を検知する
側面充電ステーションとは自動でドッキング天井に貼られた位置補正用のマーカー
【動画】充電ステーションから離れて巡回開始する様子

 「配属任命式」は、日本電波塔株式会社の営業部課長が司会・進行、「新入社員」紹介を同営業部部長、辞令授与を代表取締役の前田伸氏が行なうという形式で行なわれた。辞令が渡されたあと「タワボ」は早速、先輩となる女子社員と一緒に点呼に答えたが、その様子を東京タワーのマスコットキャラである「ノッポン兄」がうかがっていた。ノッポンはブログでも人気を博している。

【動画】社長から辞令が渡された
【動画】タワボの挨拶
社長とタワボ。後ろで見つめるノッポン兄先輩の女性社員やノッポン兄ともども記念撮影ノッポン兄といっしょに巡回中

 最近は「東京スカイツリー」に話題を奪われがちな東京タワー。だが、実際にはまだまだ多くの観光客にも人気であり、外国人観光客も多いという。「タワボ」就任で、展望台に上るとついでにロボットとも記念撮影できるようになった。ますます昭和レトロな雰囲気が増したようにも感じるが、その落ち着きが何ともいいのかもしれない。なお「タワボ」は、夜間は照明を落とす展望台内では明る過ぎるため、巡回しない。夜景デートの邪魔にはならないようだ。

平日でも高さ250mの特別展望台へ上る人もまだまだ多い根強い人気を誇る東京タワー。先端部は現在修理中タワー下部の「フットタウン」屋上遊園地にはこんな「ロボット」も

(2012年 8月 2日)

[Reported by森山 和道]