デル、個人向けPCでの顧客満足度首位奪回に意欲
~郡社長が、今年度の国内事業方針を説明

デルの郡信一郎社長

7月3日 開催



デルは7月3日、都内のホテルで「Dell Solutions Roadshow 2012」を開催した

 デル株式会社は3日、日本における事業戦略について、同社 郡信一郎社長が会見を行なった。

 その中で郡社長は、「個人向けPC分野における顧客満足度で、首位奪回を狙いたい。できれば今年度中の奪回を目標にしたい」として、サポート体制強化に取り組む一方、「シェアに関しては、数字や順位にこだわるつもりはない。利益を確保することを優先してきたい」などとし、引き続き利益重視の姿勢で取り組む方針を強調した。

 デルは、かつて顧客満足度調査で首位を獲得していたが、2006年以降、各種調査で他社の後塵を拝しており、顧客満足度の向上は、同社にとって長年に渡る課題となっていた。また、市場シェアについては、調査会社が発表した2011年度国内PC販売台数シェアにおいて、日本ヒューレット・パッカードに抜かれ、順位を4位から5位に落とすなど、苦戦しているのが現状だ。

 郡社長は、「個人向けPCの顧客満足度が低いことで、それが法人向けPCビジネスに影響するといったことも見られている。首位を落ちてからの期間が長すぎる。いままで以上に顧客満足度の向上に向けては取り組む必要がある」と危機感を募らせた。

サポートの強化

 同社は、2012年1月から、個人ユーザーを対象にしたサポートメニューとして、プレミアム電話サポートを開始。宮崎市のカスタマーセンターから、日本人正社員による24時間365日の電話サポートを行なうほか、サポート契約期間中であればハードウェア、ソフトウェアに関する問い合わせを何度でも行なうことが可能となっている。

 同サポートは、XPSおよびAlienwareシリーズを対象に標準サポートとして提供。Inspironでは、オプションとして提供しているものだ。

 「社内で実施しているユーザー調査によると、プレミアム電話サポートに対する満足度は、これまでのサポートに対する評価と比べて大きく上昇している。プレミアム電話サポートには大きな手応えを感じている」と郡社長は語り、顧客満足度向上に向けた重要な施策と位置づけている。

 「デジカメで撮影した写真を家族に送りたいといった、PCを楽しむための支援についても、プレミアム電話サポートの中で提供していく」とし、今後もプレミアム電話サポートの内容を強化することで、さらに顧客満足度向上を図る考えだ。

 また、法人向けのサポートメニューであるPro Supportについても、2011年11月から、日本市場のみの標準サービスメニューとして提供していることに触れながら、「法人向けサービスでは高い評価を得ている。他社製品までを対象としたマルチベンダーサポートを開始することで、さらに法人ユーザーの満足度を高める」とした。

●シェアよりも利益を追求する姿勢を強調

 しかし、顧客満足度については数値目標にこだわるものの、シェアに関してはあまり関心を寄せない。

 「シェアは高いに越したことはないが」と前置きしながらも、「デルは、数年前から量を追うのではなく、収益で事業をみる体制へとシフトしている。クライアントPCについては、シェアだけでは、デルの元気さを判断できないと思っている。その事業戦略は間違っていない。収益の最大化に取り組む」とした。

 また、「XPS 13のような高い評価を得ている製品もある。2011年には、法人向けのLatitude STというタブレット端末を発売し、法人ユーザーの視点で開発された点が高く評価されている。こうした実績などをベースに、今後はWindows 8の発売にあわせて、デルらしいタブレット端末なども投入していきたい」と語った。

 米デルが発表した最新四半期(2012年2~4月)の業績では、減収減益になるなど、厳しい内容となっている。

 だが郡社長は、「日本での定量的な数値については言及できないが、大規模法人市場、公共市場、中堅・中小企業向け分野では、いずれもワールドワイドの業績を上回っている」とする。

 「グローバルにみても、社内の元気さが数字には表れていないと認識している。元気であることは、デルが引き続き、買収を続けている事実を見ればわかるだろう」などと語り、「デルは元気である」と改めて強調した。

●End to Endソリューションがキーワードに
End to Endソリューション

 一方で、郡社長は、End to Endソリューションをキーワードとして、「エンタープライズ」、「サービス」、「エンドユーザーコンピューティング」の3つの領域から戦略的な買収を進めていることを示しながら、「日本の市場においては、グローバルIT化の支援、高効率・省電力ソリューションの提供、ソリューションの迅速な展開、最良の顧客体験の提供が求められている。こうしたニーズに対して、サービスの強化、クラウド・データセンターの強化、チャネルビジネスの強化、テクニカルサポートの強化、という4つの強化策を通じて、市場での存在感を高めていく」などとした。

 サービスの強化では、全世界21拠点のデル・グローバル・サービスデスクを活用し、ユーザー企業のグローバル化にあわせた支援体制を構築。さらには、ITインフラの管理などを行なうデル・インフラストラクチャ・マネージド・サービス、ITセキュリティ環境をグローバルで提供するデル・セキュアワークスなどの展開を進める。

 またクラウドデータセンターの強化では、同社第12世代サーバー製品を軸に、全世界の大規模データセンターの約45%に導入実績を持つノウハウを活用したデータセンターソリューションを提供。凸版グループの子会社における統合仮想ソリューションの実績や、東京大学生産技術研究所でのHPXシステムの導入といった国内の実績についても触れた。

 米国ではDellが自らクラウドサービスを提供しているが、これについては、「日本でも検討を開始している。日本のお客様にあったクラウドとはどういうものか、あるいは日本の市場で差別化できるものはなにかという点で、内容を絞り込んでサービスを進めていく。日本国内にデータセンターが必要な場合は、それも検討していくことになる」などとした。

日本向けの施策

 チャネルビジネスの強化では、国内約260社のSIerとの関係強化および新規パートナーの開拓、再販業者による全国販売網の活用などに乗り出し、「約3年前から、直販を補完する形でチャネルビジネスを展開。直販とチャネル販売を、バランスが取れた両輪へと育てていきたい。売り上げ成長率ではチャネルビジネスが、直販の2倍以上の伸びになっている」という。

 さらに、テクニカルサポートの強化では、法人向けサービスのPro Supportや、個人向けサービスのプレミアム電話サポートの強化をあげた。


(2012年 7月 4日)

[Reported by 大河原 克行]