ソフトバンク、下り最大110Mbps対応のSoftbank 4Gルーター
~PHS内蔵で話し放題対応や、放射線測定機能搭載スマートフォンも

5月29日 発表



 ソフトバンクモバイル株式会社は29日、2012年夏モデルとしてAndroidスマートフォン5機種と、Softbank 4G対応モバイルルーター2機種などを発表した。

●Softbank 4G対応で最大110Mbpsのモバイルルーター

 Softbank 4Gは、2011年9月に発表されたAXGPベースの通信規格で、下りの最大転送速度は110Mbpsに達する。2012年2月のサービスインと同時に発売されたモバイルルーター「ULTRA WiFi 101SI」の下り最大転送速度は76Mbpsだったが、今回発表された「ULTRA WiFi 4G 102HW」は下り110Mbps/上り10MbpsのSoftbank 4Gに対応した。Softbank 4G非対応の地域では、下り42Mbps/上り5.7MbpsのULTRA SPEED(3G)に対応する。発売は9月。

 本体サイズは約104.8×66×15.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約135g。バッテリ容量は3,000mAhで、連続通信時間は4Gが7.5時間、3Gが8時間。Wi-FiはIEEE 802.11b/g/n対応(11nで最大300Mbps)で、公衆無線LANにも対応。テザリング台数は10台。microSDXCスロットを内蔵し、接続端末からNASとしても扱える。

 また、安価なモデルとして下り最大76Mbps/上り最大10Mbpsまでの「ULTRA WiFi 4G 102Z」も8月より発売する。4G以外の主な仕様は共通で、3Gは下り最大42MbpsのULTRA SPEED、Wi-FiはIEEE 802.11b/g/n、公衆無線LAN対応で、10台まで同時接続可能。

 本体サイズは約106×57×15.75mm(同)、重量は約130g。バッテリ容量は約2,800mAh。

Softbank 4Gの110Mbps対応製品が発表「ULTRA WiFi 4G 102HW」「ULTRA WiFi 4G 102Z」

●メインストリームで放射線測定機能のPANTONE 5などAndroid端末

 同社はこれまでメインストリーム向けフィーチャーフォンとしてカラーバリエーションが特徴の「PANTONE」シリーズを展開してきたが、今回の「PANTONE 5 107SH」はAndroid 4.0搭載のスマートフォンとなった。

 また、本製品は世界で初めてスマートフォンとして放射線測定機能を搭載するという際だった特徴も持つ。

 29日に行なわれた製品発表会で同社代表取締役社長兼最高経営責任者の孫正義氏は、「私はTwitterでみなさんから提案を頂くと、できることについては、やりましょう! といってすぐ行動に移してきた。しかし、放射線測定機能については、技術的に難しく、できなかったときのユーザーの落胆が大きいため、簡単にはやりましょうと答えられなかった」と述べた上で、震災から約1年の間に、携帯電話にも内蔵できる大きさに小型化された放射線測定機能用センサーチップを独自開発したことを明らかにし、満を持してこの製品を発表した。また、本製品はメインストリーム向けであることから、本体正面右下にある専用ボタンを押すだけで、測定が可能となっており、子供や女性でも簡単に測定ができる。

 現時点ではまだ機能はサンプルデモが動作しているだけだが、そのデモを見る限り、測定にかかる時間は10秒。測定できるのは空間中のガンマ線で、0.05~9.99μSv/hの範囲で測定できる。測定結果は数値とともに、地図上にプロットされ、たとえば自宅の周りや子供の通学路の要所要所などで結果を記録できる。センサーチップは出荷前に全数で校正を行なっているという。なお、測定結果は、ユーザーの測定の仕方によってばらつきが大きくなる可能性があるため、当面はソーシャルサービスに共有させるといったことはできない。

Twitterで孫氏に寄せられた放射線測定機能付き携帯電話に関するツイートの一部その声に応え世界で初めて測定機能を搭載したPANTONE 5を持つ孫正義氏
従来の一般的測定器から大幅に小型化したセンサーチップを独自開発チップは全て出荷前校正を実施前面右下のボタンを押すだけで結果が分かる

 そのほかの主な仕様は、メモリ1GB、ストレージ4GB、480×854ドット表示対応3.7型NewモバイルASV液晶、Android 4.0などを搭載。インターフェイスは、microSDスロット、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0、前面約30万画素カメラ、背面約490万画素カメラなどを装備。そのほか、ワンセグ、赤外線通信、おサイフケータイ、緊急地震速報に対応する。

 本体サイズは約58×115×12mm(同)、重量は未定。本体色はローマンブラック、ローマンホワイト、ローマンピンク、ローマンビビッドピンク、ローマンパープル、ローマンブルー、ローマンイエロー、ローマンオレンジの8色。IPX5/IPX7相当の防水性能と、IP5X相当の防塵性能を備える。

 孫氏は、「本製品を1人でも多くのユーザーに使って欲しい」とのことで、キャンペーンとしてより安価な料金体系を用意することも併せて発表した。発売は7月中旬以降。

スマートフォンになってもカラーバリエーションは健在放射線測定機能の概要
本体正面裏面上面
左側面右側面下面

「DIGNO DUAL WX04K」はULTRA SPEEDとPHSに両対応

 もう1つ特徴的な製品として、同社傘下になったウィルコムから、PHSと3Gに両対応するスマートフォン「DIGNO DUAL WX04K」が発表された。

 主となる通信手段は下り最大21MbpsのソフトバンクULTRA SPEEDだが、通話についてはウィルコムのPHS網を利用。「だれとでも定額」に対応し、他社製の携帯電話や固定電話に無料で電話がかけられる(ウィルコムプランDへの加入が必要)。PHS圏外の場所では3Gによる通話も可能。

 そのほかの主な仕様は、CPUが1.2GHzデュアルコア、液晶が480×854ドット表示対応4型、OSがAndroid 2.3で、4.0へのアップデートが予定されている。インターフェイスは、microSDスロット、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 2.1+EDR、前面約30万画素カメラ、背面約500万画素カメラなどを装備。そのほか、ワンセグ、赤外線通信、緊急地震速報に対応する。

【お詫びと訂正】初出時におサイフケータイ対応としておりましたが、本製品は対応しておりません。お詫びして訂正させて頂きます。

 本体サイズは約64×130×10.7mm(同、最薄部)、重量は約148g。待ち受け時間はPHS/3Gで約390時間、連続通話時間はそれぞれ約11時間/約7時間。本体色はホワイト、ブラック、ピンク、グリーンの4色。発売は6月21日で、価格は一括購入で66,000円、W-VALUEによる2年間利用での割引を差し引いた実質負担額は12,000円。

本体正面裏面上面
左側面右側面下面

 このほか、スマートフォンは3機種が発表。

 「AQUOS PHONE Xx(ダブルエックス) 106SH」は、CPUにQualcomm MSM8260A(1.5GHzデュアルコア)、メモリ1GB、ストレージ32GB、720×1,280ドット表示対応4.7型S-CGSilicon液晶、Android 4.0を搭載。

 インターフェイスは、microSDXCスロット、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0、前面約30万画素カメラ、背面約1,210万画素カメラなどを装備。そのほか、ULTRA SPEED(42Mbps)、ワンセグ、赤外線通信、おサイフケータイ、緊急速報メールに対応。

 本体サイズは約67×130×10.7mm(同)、重量は約144g(暫定)。バッテリ容量は1,900mAh。本体色は、ラディアントホワイト、ブラックの2色。IPX5/IPX7相当の防水性能と、IP5X相当の防塵性能を備える。発売は7月上旬以降。

「AQUOS PHONE Xx(ダブルエックス) 106SH」本体正面裏面上面
左側面右側面下面
オプションのジュラルミン製ケースこちらはレッドタイプ

「AQUOS PHONE 102SHII」

 「AQUOS PHONE 102SHII」は、CPUにTI OMAP4430(1GHzデュアルコア)、メモリ1GB、ストレージ4GB、720×1,280ドット表示対応4.5型NewモバイルASV液晶、Android 2.3(夏以降4.0へのアップデートを予定)を搭載。

 インターフェイスは、microSDスロット、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0、前面約30万画素カメラ、背面約1,210万画素カメラなどを装備。そのほか、ULTRA SPEED(21Mbps)、ワンセグ、赤外線通信、おサイフケータイ、緊急速報メールに対応。

 本体サイズは約65×128×9.8mm(同)、重量は約137g(暫定)。3G待ち受け時間は約420時間、連続通話時間は約450分。本体色は、クラッシーブラック、シルバー、ピンクの2色。IPX5/IPX7相当の防水性能と、IP5X相当の防塵性能を備える。発売は7月上旬以降。

本体正面裏面上面
左側面右側面下面
「ARROWS A(エース) 101F」。カメラレンズ下にあるのが指紋センサー

 「ARROWS A(エース) 101F」は、ソフトバンク初の富士通製端末。CPUにQualcomm MSM8960(1.5GHzデュアルコア)、メモリ1GB、ストレージ8GB、540×960ドット表示対応4.3型NEW AMOLED plus有機EL、Android 4.0を搭載。

 インターフェイスは、microSDスロット、IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0、前面約132万画素カメラ、背面約1,310万画素カメラ、指紋センサーなどを装備。そのほか、ULTRA SPEED(42Mbps)、ワンセグ、赤外線通信、おサイフケータイ、緊急速報メールに対応。

 本体サイズは約64×130×9.9mm(同)、重量は約138g。3G待ち受け時間は約490時間、連続通話時間は約430分。本体色は、シアン、マゼンタ、ブラックの3色。IPX5/IPX8相当の防水性能と、IP5X相当の防塵性能を備える。発売は7月下旬以降。

本体正面裏面上面
左側面右側面下面

●プラチナバンドでつながりやすさと速さの両立を目指す

 発表会で孫氏は、「現在ではスマートフォンでなければケータイじゃないというほど、スマートフォンが普及している。我々はiPhoneをはじめ、スマートフォンのパイオニアであり、この市場を牽引してきたと自負している。しかし、ネットワークのつながりやすさと速さに課題があった」と述べ、速さについてはULTRA SPEEDやSoftbank 4G、つながりやすさについては2年間で基地局数を3倍にし、家庭向けにフェムトセル端末を無償提供するなどしてきたことを説明。

 しかし、今回の携帯電話新製品(ウィルコム製品を除く)はそれに加え、7月25日からサービスインとなる900MHz帯での通信に新たに対応し、つながりやすさをさらに改善したことをアピールした。

 900MHz帯は、プラチナバンドとも言われている周波数帯。NTTドコモやKDDIと違い、これまでソフトバンクではこの周波数帯を利用できなかったが、ビルなどの遮蔽物に弱い従来の2.1GHz帯だけでなく、900MHz帯が利用できることで、カバーエリアが3倍に広がり、屋内でもつながりやすくなるという。

 孫氏は、900MHz帯の免許交付が決定となる前から、それに向けた基地局の準備と端末の開発を進めてきたこと、そして7月25日のサービスイン以降もNTTドコモ、KDDIの3~4倍の速度で基地局の増強を進めるとの決意を表明するとともに、これまでつながりにくかったのが、技術力や努力の不足によるものではないことを示したいとの意気込みを語った。

 このほか、発表会ではソフトバンク製品CM出演者の上戸彩さんや、ウィルコム製品CM出演者の千原ジュニアさんのほか、“白戸家のお父さんとお兄さん”、そして特別ゲストとして旬のお笑い芸人スギちゃんが登場し、場を盛り上げた。

ソフトバンク悲願のプラチナバンドが7月から展開1局あたりのカバーエリアは3倍に900MHz帯は2.1GHz帯では電波が通らないところにも届く
ULTRA SPEED(青)はNTTドコモXi(赤)より高速でカバーエリアも広い動画コンテンツも大幅に拡充
どういうゆかりがあるかは不明だが、プラチナバンドの応援で芸人のスギちゃん。ワイルドが売りだが、孫氏を前に、時折素の低姿勢を見せる場面も。しかし、壇上で孫氏にCM契約(?)を取り付けるちゃっかりさも見せつけたウィルコムのCMで共演する兄の千原せいじさんとCGで合体する芸人の千原ジュニアさんウィルコムCMのイメージキャラクタである佐々木希さんはビデオレターで登場
ソフトバンクCMイメージキャラクタの上戸彩さん白戸家のお兄さんも交えた4ショット白戸家のお父さんもプラチナ衣装で登場した。多数の報道陣を前にして、ちょっと興奮していたようだった

(2012年 5月 29日)

[Reported by 若杉 紀彦]