ソニーは、10月20日、電子書籍リーダー「Reader PRS-T1」を発売した。
東京・新宿の紀伊國屋書店新宿本店では、午前10時の発売にあわせて、同店1階ひろばにおいて、タッチ&トライイベントを開催。1階に設置した電子書籍コーナーにもReader PRS-T1を展示して、自由に体験できるようにした。
ソニーマーケティング モバイルエンタテインメントプロダクツマーケティング部・徳田耕一統括部長 |
ソニーマーケティング モバイルエンタテインメントプロダクツマーケティング部・徳田耕一統括部長は、「書籍離れ、活字離れが進んでいると言われるが、メールやソーシャルメディアといった電子の文字に触れる機会は確実に増えている。1週間に読んでいる電子の文字量は、本1冊に匹敵するほどだろう。これだけ電子の文字に触れる生活が広がる中で、電子の本を読む機会を増やしていきたい。Readerによって、家の中や、移動の隙間時間といったところでも増やしていくことができると考えている。Wi-Fiや3Gの機能を搭載したことで、隙間時間に本屋に訪れる感覚で、サイトから電子書籍を立ち読みしたり、購入したりといった使い方のほか、新書と同じ大きさ、朝刊と同じ重さのなかに、大量の電子書籍コンテンツを収録でき、朝の通勤時や昼休み、帰宅時といったそれぞれの気分にあわせて、読みたいものを選択することが可能になる。Readerは本体重量168gと軽量化を図っており、手軽に利用できる電子書籍端末に進化した」などと語った。
また、「昨年(2010年)投入した第1弾製品は、電子書籍元年といわれる中で発売したものの、市場を模索している段階だった。だが、書籍の全販売数量の中で、電子書籍が占める比率は、米国の1年目よりも日本の方が進んでおり、着実に市場が拡大している。今回の新たなReaderにおいては、書店や出版社からのボジティブな反応があり、新たな業界を作っていこうという機運もある。また家電量販店でも首都圏地域を中心に積極的な展示を行なっていただいており、期待の声があがっている。今回の紀伊國屋書店での取り扱いは、本好きが集まる場所で、電子の良さを体感してもらうという意味で期待したい」と語った。
紀伊國屋書店の森啓次郎常務取締役 |
一方、紀伊國屋書店の森啓次郎常務取締役は、「紀伊國屋書店では、5月からiPhone、iPad、Android端末向けに電子書籍の配信を開始している。一度購入した電子書籍は、複数の端末で利用できること、読み物中心の品揃えが好評であり、電子書籍アプリケーションのKinoppyは、昨日付けで10万ダウンロードを超えた。また、新宿本店では店舗の一角を使い、8月から常設での体感キャンペーンを行なっている。電子書籍市場の拡大を目的に、新宿本店のほかにも、梅田本店、札幌本店、流山おおたかの森店でも同様のコーナーを常設する」とした。
Readerを手にする紀伊國屋書店の森啓次郎常務取締役(右)と、ソニーマーケティング・徳田耕一統括部長 |
また、「Readerは軽量化が図られており、携帯性にも優れた端末。今回の新たなReaderの発売にあわせて、10月20日から、紀伊國屋書店BookWebにおいて、ReaderおよびReader向けコンテンツの配信を開始する。Kinoppyで実現する端末を選ばないマルチデバイスの展開が可能になる。紀伊國屋書店BookWebは、まずは、8,000タイトルでスタートしたが、これを2万タイトルに拡大し、要望の高いコミックの配信も開始する計画である。今後、本の楽しみ方は多様化してくるだろう。多様化にあわせた提案をしていくのが、読者に近い書店としての紀伊國屋の役割であり、これからも紙の本と電子の本に対して、熱意を持って取り組んでいく」と説明した。
さらに、紀伊國屋書店では、今後、店舗における電子書籍との連動を強化する考えで、「まずは電子書籍コーナーにWi-Fi環境を整備し、店舗を訪れて、気になった書籍があったら、その場で電子書籍で購入してもらう環境つくりから始めていく」とした。
なお、紀伊國屋書店新宿本店でのタッチ&トライイベントは10月23日まで開催される。
紀伊國屋書店新宿本店1階のタッチ&トライイベントコーナーの様子 | 紀伊國屋書店新宿本店1階には、電子書籍専門コーナーが常設される | |
8月から開設している電子書籍専門コーナーでは紀伊國屋書店が展開する電子書籍アプリケーション「Kinoppy」と、各社から発売される電子書籍端末を展示。自由に体験できる | Readerでは二宮金次郎をモデルに訴求する。紀伊國屋書店の店頭にも置かれる |
(2011年 10月 20日)
[Reported by 大河原 克行]