ソニー、5.5型液晶×2搭載の折りたたみ式などAndroidタブレット2製品
~超薄型とスライドキーボード内蔵型VAIOも

S1(左)とS2(右)

4月26日 発表



 ソニーは26日、都内でIT Mobile Meetingを開催。この中で、Android 3.0を搭載したタブレット「S1」と「S2」(コードネーム)、および超薄型VAIOなどを近く投入予定であることを発表した。

●新部門の長として平井一夫氏が登壇
平井一夫氏

 発表会ではまず、ソニー代表執行役副社長、コンスーマープロダクツ&サービスグループ プレジデントで、ソニー・コンピュータエンタテインメント代表取締役社長兼グループCEO(最高経営責任者)も務める平井一夫氏が登壇し、挨拶した。

 平井氏は、1月に米国で開催されたInternational CES、次いで日本で行なわれたPlayStation Meetingの場でも登壇したが、コンスーマープロダクツ&サービスグループのプレジデントとしての登場はこれが初。平井氏は、この新設されたグループについて、「ハードとソフトとネットワークの融合により新しいものを生み出そうと作ったものだが、ソニーらしい体験を提供するというテーマだけは変わらない。全てのエレクトロニクス製品とネットワークが組み合わさることで、より価値あるサービスを創造したい」と、その目標を語った。

●全方位的コンテンツとサクサク感を提供するタブレット

 その具現化されたものの1つが、今回発表されたS1とS2となる。両製品については、ソニー業務執行役員SVPコンスーマープロダクツ&サービスグループデピュティプレジデント兼VAIO & Mobile事業本部長の鈴木国正氏が紹介した。

 両製品に共通する特徴は、最適化されたハードウェアデザイン&ソフトウェア、日本語では「サクサクテクノロジー」と称されるSwift & Smooth Perfomance、ネットワークエンターテイメント、さまざまな機器との連携の4点。また、いずれも標準規格を採用し、OSはAndroid 3.0を搭載する。発売は今秋を予定している。

鈴木国正氏ソニーらしさとはS1とS2の狙うセグメント

 S1は、1,280×800ドット表示対応の9.4型液晶、CPUはNVIDIAのTegra 2を搭載する。前面、背面にカメラを搭載するが、現時点でこれ以外の仕様は明らかにされていない。位置付けとしては、家庭内でリッチなエンターテイメントコンテンツを楽しむことを主目的としている。

 正面から見たデザインは、これまでのAndroidタブレットと似通っているが、側面は薄い板をクリップのように折り曲げた感じのくさび形となっている。このデザインの意図も不明だが、1つにはバッテリのスペースを確保するためではないかと思われる。

S1を持つ鈴木氏本体正面。液晶は1,280×800ドット表示の9.4型視野角はかなり広いと感じた
左側面。ヘッドフォン端子、USB、メモリカードスロットらしきものが見える右側面には電源ボタン、音量ボタンと、こちらにもメモリカードスロットらしきものがある。RESETと書かれた場所にはLEDだけがあり、ボタンではない模様背面。黒い部分はテクスチャが見える。下の方は白くなっている。

 本製品にはソニーならではの特徴が多数ある。まず、利用時のサクサク感をもたらす「Swift & Smooth Performance」の追求。これも詳細は不明だが、いくつかの技術やインターフェイスの総称のようだ。

 まず、「Swift Web Access Technology」という技術により、Webページの読み込みから表示までの時間を短縮。メールソフトは独自のもので、左ペインに件名、右ペインに本文という2ペイン式として、閲覧性を向上。ソフトキーボードも、レスポンスを高め、快適な入力ができるという。

【動画】同じ環境でSwift Web Access Technologyあり(右)だと、読み込みから表示までの時間を短縮

【動画】独自のメールソフトのデモ

 そのほかのハードウェア面での特徴としては、赤外線装置を内蔵し、TVやレコーダなど、各種家電製品の操作をこれ1台で行なうことが可能となっている。

 同社が得意とするコンテンツ面では、音楽配信のMusic Unlimitedを含む総合エンターテイメントオンラインサービスQriocityにおいて、タブレットに最適化したユーザーインターフェイスを用意する。ただし、製品発売時に日本でもこれらのサービスが利用できるのかは不明。

リモコンアプリの画面Qriocityはタブレット専用のインターフェイスを用意

 ゲームについてはAndroid向けプラットフォームとして先頃発表されたPlayStation Suiteに対応。操作は、ゲーム画面上に重ね合わせて表示されるコントローラの方向キーやボタンを使って行なう。会場では実演も行なわれ、これが最終的なものかは不明だが、左手に十字キー、右手に△□○×ボタン、それらの上手にL1/L2、R1/R2ボタン、そして右下にStartとSelectボタンが表示されていた。

PlayStationゲームをプレイしているところコントローラはこのように表示される

【動画】S1でゲームをプレイする様子

 このほか、Reader Storeアプリも用意され、電子書籍を購入し、読むことができる。

 動画など本体に保存されたコンテンツは、DLNAベースの技術により、TVやPCなど他の機器上で再生させることもできる。この際、ユーザーは、まずコンテンツを選び、「Throw」ボタンを押し、表示される再生デバイスを選択するという分かりやすいインターフェイスを搭載している。

Reader Storeから電子書籍を購入可能DLNAサーバー機能を搭載し、表示先を選んで転送できる

 S2も、基本的にはこれらの機能をすべて搭載するが、1,024×480ドット表示対応の5.5型の液晶を2つ内蔵し、本体を半分に折りたためるという他に例の少ない構造を採用しており、それにあわせユーザーインターフェイスが最適化されている。なお、CPUは同じTegra 2で、こちらも前面、背面にカメラを装備する。

S2はこのように折りたためる正面展示状態では、ホームや戻るボタンは下画面だけに出ていた
右側面には、電源ボタン、AC、USB端子、音量ボタンが確認できる左側面には端子類は見当たらない背面はシルバーで統一

 例えば動画を再生する場合、上画面に動画をフルスクリーン表示し、下画面には頭出しや再生を行なうコントローラを表示。ゲームについても、上にゲーム画面、下にコントローラという構成になっている(L/Rボタンは上画面)。

 メールについては、3ペイン構成となり、下画面の左にフォルダ、右に件名、上画面に本文を表示。2画面に渡って本文をフルスクリーン表示させることもできる。

 電子書籍については、縦持ちして、実際の書籍のように見開きで2ページを表示させる。

 このほか、TwitterやFacebookなどいくつかのソーシャルネットワークの最新情報をまとめて表示し、返信なども加えられる独自アプリケーションも用意される。

動画再生は上が動画、下が再生制御S2でゲームをプレイしている様子基本的に下画面がコントローラだが、上画面にL/Rボタンがある

【動画】S2でゲームをプレイする様子

【動画】独自メールソフトの動作

【動画】独自のソーシャルアプリの動作と、動画再生の様子

●超薄型とスライドキーボード内蔵型VAIOも

 今回の発表会の主役はこのタブレット2製品だったが、鈴木氏は、「ノートPCは今後も成長が見込まれ、生産性向上のツールとして、またさまざまなエンターテイメントのハブとしての役割はこれからも持ち続ける」と述べた上で、今後投入予定の2つのVAIOをスライドで紹介した。

 1つは「Ultimate Mobile PC」というコードネームが付けられた薄型モバイルPC。もう1つは、スライド型キーボードを内蔵し、タブレットとしても、クラムシェルスタイルでも利用可能な「Freestyle Hybrid PC」。

 いずれも具体的なスペックや、投入時期は未定だが、鈴木氏は「今後続々と新製品を投入予定で、メディアの方は忙しくなるはず」、また「ユーザーの皆様に感動を与え、人々の好奇心を刺激する会社でありたい」と述べ、会を締めくくった。

Ultimate Mobile PCFreestyle Hybrid PC

(2011年 4月 26日)

[Reported by 若杉 紀彦]