大塚商会、全館LED導入の節電型営業拠点ビルを竣工
~社長などが出席し、横浜ビル竣工式を開催

大塚商会横浜ビル

4月5日 開催



 株式会社大塚商会は、2011年4月5日、神奈川県横浜市の大塚商会横浜ビルの竣工式を行なった。

 午前10時から行なわれた定礎式、午前10時30分から行なわれた竣工式には、同社の大塚裕司社長をはじめとする役員および同社関係者、設計、管理を担当した日建設計、施行を行なった竹中工務店の関係者など約40人が参加した。

 大塚裕司社長は、「社長に就任してから10年を経過したが、社長として、地鎮祭からはじまり、ゼロからすべてに携わった初めての建物。全館LED照明を採用したことで、節電効果が高いビルとしたほか、当社が扱うLED照明の実証実験場として、またショールームとしての役割も担う拠点となる。オフィスに適した照度計算の方法や光の拡散方法、オフィスでの活用ノウハウを蓄積し、これをお客様や業界にも広く提供していきたい」と挨拶した。

4月5日に横浜ビルで竣工式が行なわれた午前10時から行なわれた定礎式の様子定礎石据え付けの儀を行なう大塚裕司社長
据え付けられた定礎石午前10時30分から行なわれた竣工式の様子。右から、竹中工務店・竹中統一社長、日建設計・横谷英之常務執行役員、大塚商会・大塚裕司社長玉串奉奠を行なう大塚社長

 横浜ビルには、同社施設として初めて全館にLED照明を導入。6,201個のLED照明の採用により、年間93.2tのCO2削減が見込まれるという。

 同ビルは、1992年に一度改築を計画していたが、当時の大規模な構造改革の断行に伴い、1億円を超える違約金を払ってまで着工を延期したという経緯がある。その横浜ビルの建設が着工されたのは、それから18年後の2010年1月のことであり、まさに長年の夢を実現した建物となる。

 大塚商会は、今年(2011年)7月に創立50周年を迎えるが、今回の横浜ビルの建設は、創立50周年記念事業の1つに位置づけられている。

 なお、当初予定されていた取引先を招いての内覧会および披露宴は、東日本大震災の影響に配慮して中止された。

●ビルの詳細

 大塚商会横浜ビルは、JR横浜駅から徒歩5分の位置にあり、地上8階、塔屋1階。高さ47mの自社ビル。

 敷地面積は1,326平方m(401坪)、建築面積は1,113平方m(340坪)、延床面積は8,256平方mとなっている。

 2008年に隣接する土地を購入し敷地面積を広げたことで、「自動車の出入りがしやすい構造と、本社よりもやや小さいぐらいのビルを建築できた」(大塚裕司社長)という。

 1階はエントランスおよびショールーム、2階は倉庫、3階は打ち合わせスペース、4階はセミナーおよびイベントスペース、5~8階が事務所および会議室を予定。最大約800人を収容できるという。3階までを使用したタワー型駐車場には、66台(機械式64台、自走式2台)が駐車できる。

 全館LED照明の採用や、屋上緑化など環境に配慮した建物で、さらに電気自動車に対応した充電装置も備えるなど、新たな時代への対応を図っているのが特徴だ。

 現在2カ所に分散している横浜支店の拠点を統合。5月6日から入居を開始し、神奈川地区を担当する営業、技術、スタッフ部門などが約300人が入居。同地域における営業およびサービス強化の重要拠点となる。

 日建設計の横谷英之常務執行役員は、「機能的な営業拠点として、またフレキシブルで使いやすいオフィスを作るという2つの課題をクリアすることを目指した建物。極論すれば、60台以上の自動車を、効率的に早く出し入れできる駐車場ビルを作るということでもあった。高速駐車装置やバッテリ供給装置を導入しているのも大きな特徴だ。また、サッシと変わらないようなデザインの柱が外周を囲み、オフィス空間は柱がない形とした。構造は竹ひごで作った鳥かごのようなもので、建物自体も軽い構造となった。柱がないこと、天井までの高さを3mとしたことで、空間に余裕ができ、事業展開の広がりにあわせてフレキシブルに変更できる環境を実現している」という。

全館LED照明にしたことが最大のこだわりとする大塚社長日建設計の横谷英之常務執行役員竹中工務店横浜支店長の増村清人氏

 外周部の細柱に対応して、CFTや制振粘性壁を用いることで、一般事務所ビルと同等の強度を確保しているという。

 また、免震構造については、「まだすべての部材が取り付けられていない竣工間際こそが危ない時期。そのタイミングで東日本大震災にあっている。地震の影響はまったくなく、むしろ一番厳しい検査をくぐった建物だとも言える」としたほか、LED照明の全館採用については、16WのLED照明を、1.2mピッチという短い間隔
で配置し、明暗差を生じない構成とともに、自由にオフィスレイアウトにも対応しやすい環境をつくったことを示しながら、「これにより、照明制御のゾーニングを細分化することができるほか、節電にも対応した今後の方向性を示す建物になるだろう」とした。

 同社によると、まちづくりに貢献し、地域に愛されるオフィスビルとして、使いやすく快適なオフィスビルとして、環境にやさしいオフィスビルを基本方針にしたという。

 竹中工務店横浜支店長の増村清人氏は、「通行人が多く、国道1号線や首都高速が隣接していることから近隣に配慮した建築を行なった。大塚商会のrevitの導入や、BIM(ビル・インフォメーション・ビルディング)の採用により、3D CADで色や仕様を事前に提案し、確認作業や承認作業の効率化を図った」としている。

 では、竣工した大塚商会の横浜ビルの様子をみてみよう。

横浜駅から徒歩5分の距離にある大塚商会横浜ビルまだ什器が入っていない広いオフィスに立つ大塚商会・大塚裕司社長横浜ビルのエントランス
エントランスを入ると3階までは吹き抜けとなっている8階フロアから横浜駅方向をみてみる。首都高速のすぐ横だ柱がないオフィス空間。これは8階の様子
こちらは4階の様子。什器はこれから入ることになるオフィスのレイアウトの様子角にある太めの枠が細柱
サッシの柱と外周部の細柱とは太さの違いがわかる1.2mmピッチで配置されたLED照明。全館で6201個が使用されているLED照明の光の拡散方法にも工夫を凝らしている
調光は3段階。大塚社長が操作してデモストレーションした調光の操作部。簡単にできる。ゾーニングにも対応している1階のエレベータホール。エレベータは3台。このほかにもう1台ある
8階のエレベータホールは白を採用した明るい雰囲気1階駐車場の様子。効率的な駐車を実現したという高速駐車装置を導入しているという
屋上緑化の様子喫煙室は各フロアに設けられているトイレの様子。シンプルなデザインだ

(2011年 4月 5日)

[Reported by 大河原 克行]