第3回情報処理技術遺産にシャープの世界初のトランジスタ電卓などが認定

早川電機工業のCS-10A
※2005年撮影

2月23日 発表



日本電気のTK-80
※2010年撮影

 一般社団法人情報処理学会は23日、第3回目となる情報処理技術遺産および分散コンピュータ博物館の認定を行なった。

 この認定制度は、国内のコンピュータ技術発達史上、重要な研究開発成果や国民生活、経済、社会、文化などに顕著な影響を与えたコンピュータ技術や製品などの中で、現存する貴重な史料の保存を目的としており、2009年より毎年認定が行なわれている。

 今回は、情報処理技術遺産として、早川電機工業(現シャープ)が1964年に製造発売した世界初のオールトランジスタ式電子卓上計算機「CS-10A」、日本電気が1976年に発売したマイコン・トレーニング・キット「TK-80」など9件が認定。分散コンピュータ博物館は、北陸先端科学技術大学院大学JAIST記号処理計算機コレクションが認定された。

情報処理技術遺産
認定品製造者製造年説明
翻訳実験用計算機 KT-1 論理パッケージ、磁気ドラム九州大学1958~1959年日・英・独3カ国語相互実験翻訳のため、間接翻訳方式の言語処理用計算機として開発された実験用計算機
14-Bカシオ計算機株式会社1959年カシオ計算機創業の機械、14Aに続いて発売され、現在でも稼働するようメインテナンスされている科学計算用リレー計算機
NEAC-2206日本電気株式会社1963年コアメモリの内部記憶、磁気テープ装置の外部記憶を備えた大型汎用の電子計算機システム
CS-10A早川電機工業株式会社1964年1964年に製造発売された世界初のオールトランジスタ式電子卓上計算機
USAC-3010ウノケ電子工業株式会社1967年後年のオフィスコンピュータの源流のひとつとなったトランジスタ式の超小型コンピュータ
FACOM 230-25システム一式富士通株式会社1973年我が国のコンピュータ普及期を代表する中型機のひとつで、当時のまま揃って保存されているシステム構成一式
HITAC 8700株式会社日立製作所1973年国産初の32ビット仮想アドレス方式、主記憶共有マルチプロセッサ、バッファ記憶方式を特徴とする汎用大型機
TK-80日本電気株式会社1976年1976年に発売されたマイコン・トレーニング・キット
PANAFACOM Lkit-16パナファコム株式会社1977年我が国初の1チップ16ビットマイクロコンピュータを内蔵した、コンピュータ知識普及用の学習キット(世界同時初と言える)

分散コンピュータ博物館
北陸先端科学技術大学院大学JAIST記号処理計算機コレクション1980年代に開発されたLISPマシン「ELIS」など記号処理用計算機が約20台保存されており、一部動態展示も予定されている

(2011年 2月 23日)

[Reported by 若杉 紀彦]