NECは15日、日本語キーボード搭載の7型Android端末「LifeTouch NOTE」の発表会を開催。クラウド戦略や新製品の説明のほか、2画面のAndroid端末も参考展示した。製品の詳細はニュース記事を参照していただきたい。
NEC パーソナルソリューション事業開発本部長 西大和男氏 |
発表会では、NEC パーソナルソリューション事業開発本部長 西大和男氏が同社のクラウドコンピューティングを説明。これまで培ってきたIT分野とネットワーク技術を融合した「C&Cクラウド戦略」を進めているが、西大氏は「NECの成長領域としていきたい」と位置付けた。
そのクラウドサービスのUIを提供する端末に対して、西大氏は「新たにクラウドコミュニケーターという領域を作ってやっていきたい。クラウドコミュニケーターは、4~10型の画面サイズを持つPCとケータイの中間領域の概念。用途を考えてそれに最適なデバイスを開発することが、価値を提供できると考える」と説明した。また、新製品については「タブレットはビューワーがメイン。入力側に特徴を持たせ、クラウドと双方向に対話させる。これにより豊かな生活、ワークスタイルを実現したい」と話した。
NECのクラウドコンピューティング | NECが展開するクラウド端末群。「クラウドコミュニケーター」と呼ぶ新UI端末がLifeTouchシリーズ | クラウドコミュニケーターは4型~10型。ケータイ、PCの中間に位置付ける |
NECは2010年11月に、タブレットタイプの「LifeTouch」を投入。若年層やシニア層にも分かりやすいUIや、タッチ、ペン、カーソルボタンの入力方式、簡単に設定できる無線LANツールといった操作性や簡単さを重視したもので、西大氏は「家族のコミュニケーションに使っていただきたい」とした。
続いて、参考展示された「LifeTouch W」を紹介。7型2画面の折り畳み式Android端末で、縦持ちでの電子書籍ビューワーや、学習端末といった用途を想定している。手書き文字入力/認識などの機能も備える。西大氏は「本やノートのイメージで作り込んでいきたい」という。
今回発表された「LifeTouch NOTE」は、キーボードを搭載したPCと同様の入力性、ATOKを搭載した日本語入力環境、ブログやSNSと連携できるテキスト入力アプリケーション「ライフノート」などの特徴を紹介。西大氏は「SNSやブログなど、文字入力を強化した。自信を持って発表させていただける」と話した。
最後に、LifeTouchシリーズの展開について、「ユーザーのニーズを捉え、さまざまな利用シーンに合わせて、今後も新端末をリリースしていく」と展望を示した。活用分野は電子書籍やホームサービス、電子ショップなどを挙げた。
2010年11月発表のタブレット「LifeTouch」。使いやすさを重視 | 参考展示の2画面端末「LifeTouch W」。電子書籍ビューワーなどの用途を見込む | 今回発表された「LifeTouch NOTE」。日本語入力に特化したガラパゴス的な製品 |
NEC パーソナルソリューション事業開発本部 エグゼクティブエキスパート 渡邉敏博氏 |
続いて、LifeTouch NOTEの詳細を、NEC パーソナルソリューション事業開発本部 エグゼクティブエキスパート 渡邉敏博氏が紹介。モバイル端末は、タブレットやスマートフォンのような“見る端末”、キーボード付きスマートフォンやモバイルPCのような“作る端末”と、それぞれに適した役割がある中で、渡邉氏は「鞄に入るもので、参照だけでなく、クリエイトできる端末」と位置付けた。クラウドサービスを使う上で、スマートフォン、モバイルPCの中間にあたるLifeTouch NOTEは、「キーボード付きが大きなポイントになる。TPOに応じて使い分けられる」とした。
そして、Google認証を取得していることで、Google Mobile ServiceやAndroidマーケットを利用でき、さらに、NECビッグローブの「andronavi」専用クライアントを用意。日本語でわかりやすくアプリケーションやコンテンツを紹介しているという。
特徴である日本語キーボードは、「パソコンの文化では普通に使われている。Androidに組み合わせて、PCで慣れた使い方ができることに加え、Androidの操作もできる」とし、物理的なキーボードがあることによる使いやすさを強調した。
日本語入力システムには「ATOK for LifeTouch NOTE」を搭載。文章の変換精度、変換キーとF6~F10キーを使った漢字/ひらがな/カタカナ/半角かな/全角英数/半角英数の変換といったPCと同様の使い勝手を備えるほか、Tabキーでの予測変換に対応。独自アプリケーションのライフノートは、「文章入力から写真添付、アップロードまで一連の操作を1つのアプリケーションでできる」と便利さをアピールした。
ハードウェアの特徴として、Tegra 250搭載による高速さや動画やFlashの再生支援、ネットブックの6割程度の大きさと重量、Webブラウジングで約9時間のバッテリ駆動時間などの特徴を挙げた。
見ること、作ることの両方を意識 | Googleの認証を取得し、GMSやAndroidマーケットに対応 | NECビッグローブのandronaviクライアントも用意 |
LifeTouch NOTE最大の特徴といえるキーボード | ATOKにより日本語の変換効率を向上 | 独自の“物書きアプリ”「ライフノート」。各社のブログサービス、mixiなどと連携できる |
質疑応答では、Androidのバージョンアップについて質問があがり、「この端末自身がAndroid 2.2に適した状態で提供している。現状では2.2で使っていただきたい。NECとしては利用シーンに合わせて最適なプラットフォームを作っていく。この製品に関しては、現時点で最適にチューニングしたと考えている」と答えた。
携帯電話、PCとの違いやターゲット層については、起動時間が高速なことや、バッテリ駆動時間の長さがあり、「外出先ですぐにメールやブログが書けることがメリット。ケータイで長い文章を書いていた人が、楽に書ける」と回答。また、キーボードを搭載したことで「さまざまなものでIDやパスワードの入力が存在する。タッチパネル向けに作られたアプリケーションでも、キーボードが役に立つ場面は色々とあると考えている」とした。
製品名を「モバイルギア」にしようと考えなかったかという質問には「モバイルギアも候補に上がって、色々と議論があった」としながらも、「クラウドデバイスとして統一したブランドを考えている」という理由からLifeTouchを選択したという。
会場には、LifeTouchシリーズが展示された。2画面の「LifeTouch W」は液晶のタッチパネルに加え、操作ボタンを装備し、どちらでも操作可能。展示機は、マンガの見開き表示などを行なっていた。
LifeTouch NOTE | ヒンジはほぼ180度に開く | 81キー日本語キーボードを搭載 |
左側面にはKensingtonロック、USB(miniB)、マイク/イヤフォン兼用ジャック | 手前には各種インジケータ | 右側面にSDHCカードスロットを装備 |
天板に200万画素カメラを内蔵 | キーボード手前にポインティングデバイス | 本体色はブラック、レッド、ブラウン(下位モデルはブラックのみ) |
参考展示された2画面の「LifeTouch W」 | 見開きでマンガをカラー表示 | マンガの白黒ページ |
ボタン類。縦持ち用にメニューが書かれている | 横持ち時はWebを縦に長く見られる | 折り畳んだ状態 |
(2011年 2月 15日)
[Reported by 山田 幸治]