Storage Appliance、接続するだけで自動バックアップするHDD「Clickfree」

Clickfreeシリーズ

12月上旬 発売
価格:オープンプライス



 カナダStorage Applianceは16日(日本時間)、日本市場に本格参入することを発表した。これに伴い、接続するだけで自動バックアップするHDD「Clickfree」5モデルを12月上旬より国内に投入する。価格はすべてオープンプライス。

 いずれのモデルも、PCのUSBポートに挿すだけで、バックアップツールが自動的に起動し、PCに入っているドキュメントや音楽、写真類などを分析/抽出し、バックアップを行なう。初回は分析から全体のバックアップを行ない、2回目以降は更新されたファイルのみの差分バックアップを行なう。異なるCに繋いでそれぞれバックアップデータを持つこともできる。

 バックアップしたファイルの自動リストア機能のほか、PC移行などもサポート。さらにファイルビューア、写真ビューア、CD/DVDアーカイブ作成ツール、iPod/iPhoneから直接楽曲をインポートする機能なども搭載する。

 なお、自動バックアップ対象の拡張子は、Windowsで500種類前後。ユーザーが自分で追加することもできるようになっている。

各モデルの機能の違いそのほかのツール類
ClickfreeをPCと接続するとカウントダウンが始まり、自動的にバックアップが開始するバックアップ中の画面
設定画面ファイルタイプの選択画面画像ファイルだけでもかなりのフォーマットをサポートする

●USB対応モデル

 ローカルのUSB接続にのみ対応した「C2」は2モデルを用意。容量500GB/ポータブルの「C2 バックアップポータブル」の店頭予想価格は12,500円前後、容量1TB/据え置きの「C2 バックアップデスクトップ」の店頭予想価格は14,500円前後の見込み。対応OSはWindows XP/Vista/7、およびMac OS X 10.5以降(Mac OS対応ソフトは英語表示)。ただし、WindowsとMacを混在させたバックアップは非対応。

 いずれも256bitハードウェア暗号化をサポートする。インターフェイスはUSB 2.0。本体サイズおよび重量は、ポータブルモデルが80×118×19mm(幅×奥行き×高さ)/166g、据え置きモデルが170×170×33mm(同)/907g。後者はACアダプタを利用する。

C2 バックアップポータブルC2 バックアップデスクトップ

●ネットワーク対応モデルモデル

 母艦のUSB 2.0を通し、ネットワーク上のPCもバックアップできる「C2N」も2モデルを用意。容量500GB/ポータブルの「C2N バックアップポータブル」の店頭予想価格は14,000円前後、容量1TB/据え置きの「C2N バックアップデスクトップ」の店頭予想価格は16,000円前後の見込み。対応OSはWindows XP/Vista/7、およびMac OS X 10.5以降。WindowsとMacを混在させたバックアップにも対応する。

 ネットワークに接続されたPCの設定も自動的に行なえる。ポータブル版は本体をバックアップしたいPCに順次接続していき、初回設定を行ない、以降いずれかの1台のPCに接続されていれば、ネットワークを通してバックアップを行なう。デスクトップ版は据え置きタイプのため、本体を挿す代わりに設定専用のUSBドングルが付属し、これをバックアップしたいPCに刺していくことで設定を行なう。

 ネットワークは、独自の「BackupLink」を介して行なわれる。設定は本体またはUSBドングルを挿入すると、ポート設定からスケジュールまで自動的に行なわれるため、ユーザーが操作する必要は一切ない。

 本体サイズはC2のそれぞれのモデルに準じるが、重量はポータブルタイプのみ2g重い。また、ポータブルタイプのみクレードルが付属する。

C2N バックアップポータブルC2N バックアップデスクトップ
付属のUSBドングルで各PCのバックアップ/ネットワーク設定が可能「BackupLink」を介してバックアップを行なう。設定は自動的に行なわれる

●無線LAN対応モデル
ワイヤレスポータブル

 USB 2.0に加えて、IEEE 802.11b/g/n無線LANに対応した「ワイヤレスポータブル」は容量500GBの1モデルのみ用意。店頭予想価格は19,000円前後の見込み。対応OSはWindows XP/Vista/7、およびMac OS X 10.5以降。WindowsとMacを混在させたバックアップにも対応する。

 USB 2.0のほかに、アクセスポイントに接続されたPCを無線LAN経由でバックアップできる製品。初回時のみバックアップしたいPCとUSBで接続する必要があるが、以降は無線LAN経由でバックアップできる。無線LANの設定もPCからの設定を自動的に受け継ぐため、設定する必要はない。なお、複数のネットワークが存在する場合、常に接続されている最新のアクセスポイントの設定を記憶するようになっている。ただし、256bitハードウェア暗号化はサポートしない。

 本体サイズは121×121×18mm(同)、重量は254g。


●簡単なバックアップをすべての人々に提供する
Ian Collins社長

 16日に都内で開かれた記者会見では、カナダ本社から来日したIan Collins(イアン・コリンズ)社長が、同社の概要や製品のコンセプトを説明した。

 Storage Applianceは2005年に設立された比較的新しい会社ではあるが、創業のきっかけはコリンズ氏の母親にまつわるエピソードだったという。「2004年に、母にデジタルカメラをプレゼントした。母はそれでいろんな写真を写し、PCに転送したが、HDDのトラブルで大切な写真をすべてなくしました。その当時、母にも簡単に操作できるバックアップソリューションが存在しなかったのが問題だと私は認識し、会社を立ち上げるきっかけとなった」と語った。

 そして、2010年の今においても、コリンズ氏の母と同じように簡単なバックアップソリューションへのニーズがあるという。その背景には、世界中に約10億台存在する家庭向けPC、ユーザーにとってかけがえのないデータを保存する機会の増加、ユーザーの利便性/簡便性への追求、以前には存在しなかった簡単なバックアップデバイスなどを挙げ、「Clickfreeはその名の通り、ユーザーをクリック操作から開放できる意味を持ち、簡単なバックアップをすべての人々に提供する製品だ」と強調した。

 Clickfreeは、5件の特許が取得済みであり、20件の特許が米国で出願中だという。また、簡便性の高さが評価され、米国などでさまざまなメディアの賞を受賞したという。将来については、リモートでアクセスできるようなソリューションも提供したいとした。


Storage Applianceの概要Clickfree開発の背景
バックアップ市場の拡大Clickfreeの今後の展開

 日本地域を担当するカントリーマネージャーの園部英生氏は、Clickfreeの日本における位置づけを紹介。デジタルコンテンツの増加により、バックアップの必需性は高まっている一方で、そもバックアップしていないというユーザーが多いという問題を挙げ、その理由として「バックアップソフトの設定が煩雑であること、PCに詳しくないシニア層の増加、最初はバックアップを行なうが後になって面倒になってくること、そしてHDDが恒久的なものであるという誤解」の4点を指摘した。

 そして今回のClickfreeは、自動バックアップでこれらの問題に対処できる。特に、既存のHDDベンダーは、HDDの使用目的をバックアップだけではなく(主に)ストレージとして利用できることをアピールしているが、Clickfreeは完全にバックアップ用のデバイスであるとして訴求し、メッセージやマーケティングの差別化を図ることで、「バックアップは煩雑で、面倒である」というイメージを払拭していきたいとした。

園部英生氏日本国内におけるHDD市場
バックアップ製品の問題点Clickfreeの対象セグメント

(2010年 11月 16日)

[Reported by 劉 尭]