パナソニック、親子49組を招いた「手づくりLet'snote工房2010」

手づくりLet'snote工房2010

8月21日 実施



 パナソニック株式会社は21日、小/中/高校生向けのPC組立教室「手づくりLet'snote工房2010」を、神戸にあるITプロダクツビジネスユニット神戸工場にて開催した。

 Let'snote工房は2001年より実施されている夏休みの同社恒例イベント。2009年は工場の修理と改修を理由に中止していたが、今年(2010年)は復活した。今回組み立てるモデルは「CF-S9K」で、組立教室で光学ドライブ付きモデルを採用したのは初。ドライブはクラムシェルのモジュール型であるため難易度は高いが、「人気モデルなので採用した」という。

 そのほかの主な仕様は、マイレッツ倶楽部モデルをベースとし、Core i5-450M(2.53Ghz)、メモリ2GB、500GB HDD、1,280×800ドット表示対応12.1型ワイド液晶ディスプレイ、OSにWindows 7 Professional、WiMAXなどを搭載する。また、天板は6種類から選べる。参加費は12万円で、組み立て当日にPCを持ち帰られる。

 今回の参加者は合計49組で、内訳は男子が28名、女子が21名。応募総数は670組で、男女の割合はほぼ6:4だったという。参加者の中には千葉や石川、博多から来た方もいるという。

 「開校」は9時30分、冒頭では同社ビジネスユニット長の奥田茂雄氏が挨拶し、「このイベントを通して、神戸でのモノづくりを体験してもらい、みなさんにPCに詳しくなってもらいたい」と述べた。

手づくりLet'snote工房2010が開催された神戸工場同社ビジネスユニット長の奥田茂雄氏スケジュール

 続いて、“レッツ博士”と“ブースケ”が登場し、コントを交えながらLet'snoteの各部位や特徴などを説明。特徴については、約1,340gの軽量性、約13.5時間の長時間駆動、100kgfの耐加圧、76cmの耐落下性能などを紹介。さらに、3年前のLet'snoteと比較して約4.8倍高速であることをアピールした。

 今回のテーマは「不思技体験」。ブースケから「不思議じゃないの?」と突っ込まれるも、博士は「日本の、そして神戸のものづくりの“技”を学びながら楽しい1日を過ごしてもらいたいから、不思“技”にしたんじゃ」と答えた。

レッツ博士とブースケが登場Let'snoteの各部位を紹介
Let'snoteの特徴テーマは「不思技体験」

 10時、いよいよ組み立て作業が開始した。今回組み立てるCF-S9Kは、先述のように光学ドライブ付きのため、従来より難易度が高くなっている。CF-S9Kに使われているすべての部品数は1,733個だが、組立教室ではその大半が実装済みであり、組立工数は23となっている。とはいえ、モバイルノートのため小さいパーツがかなり多く、細かい作業を要する。特にケーブルとコネクタの結合は部品が薄いため難しい。

 今回はネームプレートや6色の天板などを選択できたが、天板色の人気トップはブルーグレーで19名だった。続いてジェットブラックが11名、レッドが8名だった。以下、写真で組み立て手順を追って紹介する。

組み立てで利用する部材マニュアルが手元に用意され、いつでも参照できるメインのユニット部
最初は液晶部の取り付け。ヒンジにネジ止めをするいきなり難関。配線用のシールをピンセットでうまく貼り付けるこちらも小さい部品だが、これで無線LANアンテナケーブルの配線を整理する
部品とシールを配置したところ2カ所のボスの上に置く白い部品も配線整理用こちらも配線整理用のシール
USBとミニD-Sub15ピンのモジュールフラットケーブルでモジュールと接続する。裏側のため難易度が高めモジュールをネジで固定する
無線LANアンテナケーブルを取り付ける配線をして、コネクタ部の絶縁シールを貼る無線LANアンテナケーブルの配線を丁寧に行ない、シールで固定する
Gigabit Ethernetのコネクタ部品CPUファンの上部に配置するコネクタを接続する
いよいよ光学ドライブの取り付け。紙でレンズは保護されているフラットケーブルを接続して、基板下に折り込ませる。こちらも結構難易度が高めパームレストカバーを被せる。まずは90度に立てておく
1人では難しいので、家族や先生に立ててもらい、タッチパッドとBluetoothモジュールの配線を行なうそのままかぶせると、PCらしくなってきたカバーのネジ止めを行なう
光学ドライブもここでネジ止めを行なう次はキーボードの接続キーボードの配線を行なう
キーボードはシールとジェルでカバーの上に貼り付ける。そのためシールをまず剥がすキーボードの溝をあわせ、左下にあわせて貼り付ける次は光学ドライブカバーの取り付け
ヒンジを嵌めるヒンジは横にネジが入っており、これを止めてから隠しカバーを付けるミニD-Sub15ピンの固定は六角レンチを使う
本体を裏返す。液晶を痛めないようにするため、ぶら下げておくいよいよネジ止めを行なう。裏だけでも4種類のネジを利用するため、間違わないようネジにアルファベットが振られているバッテリを設置する場所にキーボードを固定するラッチを装着する。薄いので注意したい
ラッチ装着したら防水シールを貼るバッテリを装着するこれで完成だ
天板の色は選べる全員の電源が無事入り、拍手と歓声がわきあがる

 ほぼ予定通りの11時40分に全員が組み立てが完了し、司会者の合図で一斉に電源スイッチが入れられ、会場から拍手が沸き上がるとともに全員のPCが無事起動した。

 組み立て作業終了後は食堂での昼食タイムとなり、選択式のクイズなどのイベントも開催した。

 その後、全員が4チームに分かれて工場を見学。防滴試験や常温層、ハンダ付け体験、実際のスタッフによる組み立て実演などが行なわれた。各所にはクイズも用意され、正解するとシールラリーのシールがもらえる仕組みだ。

昼食時のクイズシールラリー防水試験のテスト
常温層に実際子供たちをいれて体験してもらった各所のクイズはバーコード式で、CF-U1を使って回答された落下試験
基板のパーツ実装ロボットパーツの実装が完了した基板カットする機械にかけられ、手で割るようになる

 また、参加者が組み立てたLet'snoteのセルフテストが完了した場所へ移動し、実際に自ら動作テストを行なった。テストプログラムは組立教室専用に用意されたもので、画面に従ってSDカードやDVD/CD、ケーブル類、USBメモリなどを装着しながら、実際に動くかどうかを検査した。

セルフテストが完了した参加者のPCHDMIの出力テスト光学ドライブのテスト
LEDが順次点灯していくテスト液晶の輝度テスト音声のテスト
タッチパッドのテスト液晶のカラーテスト完了するとメッセージが出る

 工場見学ののち、食堂で参加者全員のPCにはあらかじめOSがインストールされた状態で用意され、梱包作業を実施した。クロスで本体を磨いてから、プラスチックの包装とともに箱に収めた。

梱包作業本体をクロスで磨いてから、簡易説明などが書かれた紙を液晶に挟む封をする
箱へ収めるプラスチックの緩衝材を入れる包装完了

 時間がやや押して15時半で閉校式となった。プロダクトセンター 白土清所長が全員に「PCは簡単に完成すると思った人!」と尋ねたが、1人も手を挙げなかった。「そうですね。みなさんが見学したように、Let'snoteは非常に複雑な工程で作られており、決して簡単ではありません。みなさんはほぼ2時間かけて組み立てたが、実際工場では10秒に1台のペースで製造している。これが我々の“モノづくり”であり、本日みなさんに不思技な体験をしてもらえたと思う」と述べ、締めくくった。

白土清所長スタッフ全員で見送り

(2010年 8月 23日)

[Reported by 劉 尭]