沖データ、A4カラーLEDプリンタなどを投入
~2010年度、カラープリンタで8%のシェア獲得を狙う

今回発表された新製品

6月上旬 発売
価格:62,790円~89,040円



 株式会社沖データは、A4カラーLEDプリンタ3機種、A4モノクロLEDプリンタ2機種を、それぞれ6月上旬から出荷すると発表した。

杉本晴重社長

 沖データの杉本晴重社長は、「一昨年(2008年)から、COREFIDO(コアフィード)シリーズを発売し、プリント品質、高耐久性、信頼性の高さ、5年間無償保証といった点が高い評価を受けてきたが、さらに幅広いニーズに応えるためにラインアップの拡充・強化に乗り出した」とコメント。「A4カラープリンタ市場においては、3~10万円の製品が市場全体の65%を占め、A4モノクロプリンタでは44%を占める。また、このクラスの製品は幅広い業種に対して売れているという特徴もある」と述べた。

 一方で「当社の現行機種であるC3400やC5800をご購入いただいたユーザーからは、コンパクト、ハイパフォーマンス、エコロジーといった点に対するニーズが高いことがわかった。新製品は、この3つの要素とともに、長年に渡り当社が取り組んできた『LEDプリンタのパイオニア』としての強みを生かした製品として投入する」と語った。

 新製品のキャッチコピーは、「世界最薄、しかもLED。」として、A4カラーとしては最もコンパクトであることともに、LEDを採用した特徴を訴求する考えだ。

プリンタの市場動向価格帯別の市場動向
3万円~10万円台の利用用途コンパクト、ハイパフォーマンス、エコロジーに対するニーズ
新製品のキャッチコピー新製品を紹介する杉本晴重社長

 沖データが発売したA4カラープリンタは、自動両面印刷機能を搭載しながら、24.2cmという世界最薄を実現。従来は各色ごとに独立していたイメージドラムユニットを一体化するとともに、イメージドラムユニット間の距離を短縮し、各色ごとに分離していた廃トナーボックスを1カ所にまとめたことで小型化を実現している。

 従来機種と比べて、高さで約10cm、容積で約4割の大幅削減に成功した。

 また、独自開発のGreenASICの搭載により、ミリワット単位のエネルギーマネジメントを行なうことで、スリープ電力ではクラス最少となる0.9Wを実現。さらに、印刷ジョブのドキュメント情報を分析することで、定着エネルギーを最適化するとともに、省電力とスピードを両立した新開発のインテリジェント・クイックプリントを搭載。少枚数印刷時のプリント待ち時間の短縮、ウォーミングアップ時の消費電力を約20%削減する。加えて、本体価格10万円以下の国内A4カラープリンタでは、クラス最高となる42万ページの高耐久性を実現しているという。

 また、「CO2排出量ゼロ工場で生産するなど、生産においてもエコを意識している」としている。

C530dn

 カラーで26ppm、モノクロ30ppmの印刷能力を持ち、最大970枚の大容量給紙を可能にした「C510dn」が、78,540円。同機能にPCL5c、PostScript3互換対応機能、SAP Device Driver対応とした「C530dn」が89,040円。カラー22ppm、モノクロ24ppmの印刷能力を実現した「C310dn」が65,400円。

 A4モノクロLEDプリンタは、38ppmというクラス最速印刷で、1,200dpiを実現した「B431dn」が83,790円、33ppmで600dpiの「B411dn」が62,790円。いずれも長尺印刷や自動両面印刷への対応のほか、A4カラーLEDプリンタと保守部品の共通化によるコスト削減なども実現している。

 沖データの開発プロジェクトリーダーである山本勉氏は、「デザイン面も一新し、360度どの位置から見ても美しい外観とした。ケーブルインターフェイス部が見えないようにして背面もきれいにみえる。さらに、フロント右側部に操作をまとめることで、操作性を高めている」と語った。

 販売目標は、A4カラープリンタの国内向け出荷が年間1万台、A4モノクロプリンタが国内だけで年間6,000台としている。

 今回の新製品投入にあわせて、6月1日から新製品販促キャンペーンとして、「世界最薄、しかもLED。」キャンペーンを実施し、購入者を対象にLED液晶TVや、薄型デジタルカメラを抽選でプレゼントする。また、「現場に、愛を」のキャッチフレーズで展開している菅野美穂さんを起用したTVキャンペーンも継続する。

 菅野美穂さんはビデオメッセージを寄せ、「沖データが、30年間に渡り、思い込めて開発してきたLEDを使ったプリンタ。『現場に、愛を』のキャッチフレーズ通りのプリンタといえる」などとした。


●今後の事業方針

 会見の中で、沖データの杉本晴重社長は、2009年度の事業報告と、2010年度の事業方針について説明。「2009年度下期は、プリンタ市場が前年比4%減という減少傾向のなか、新たに展開した広告効果もあり、売上高は14%増の86億円と成長した。とくに、カラープリンタでは、2009年10~12月には過去最高となる8.1%の台数シェアを獲得し、下期を通じても7.4%のシェアとなった。業界初の5年間無償保証や、菅野美穂さんを起用したTV CMが好評だった」などとしたほか、「2010年度は8.0%のシェア獲得を計画し、売上高も11%増の2桁成長を見込む」と意欲をみせた。

 また2011年度には、10.0%のシェア獲得を目指すことを明らかにし、2009年度の5.7%のシェアから、2倍近くまで伸ばす計画だ。

2009年度下期のシェア2010年のシェア目標菅野美穂さんを起用したTV CM

 2010年度の販売戦略としては、COREFIDOシリーズのさらなるラインアップ拡充、パートナー向け支援策の継続強化を掲げた。

 同社では、ラインアップ拡充においては、「今回の製品ラインアップの強化に加えて、A3モノクロプリンタ分野への参入を2010年度下期に計画しており、これにより、8%のシェア完遂を目指したい」とした。

 また、パートナー支援の継続強化では、「6月1日から新製品発売にあわせたキャンペーンを開始するのに続いて、1次店向け販売支援策と、2次店向けの販売支援策を変え、それぞれに適した施策を展開する。2次店におけるキャンペーンでは、1次店を巻き込んだものになる」などとした。

 一方、「今回の製品は、グローバル戦略機種と位置づけており、日本、欧州、米州の同時発売になる。中国には9月に投入する計画。主要国においてはトップ5入りを目指す方針であり、今回の製品はその戦略機種になる」と語った。

(2010年 5月 20日)

[Reported by 大河原 克行]