インテル、企業向け新プロセッサと市場への取り組みを解説

Xeon 7500を紹介するインテル吉田社長

3月31日 開催



 インテル株式会社は31日、同日付けで発表した「Xeon 7500番台」を含む企業向けのプロセッサ製品および、同市場への取り組みについて解説を行なった。

 同社がサーバー向けのプロセッサを世に出したのは'95年のPentium Proが最初。それ以降、一口にサーバーといっても、その用途やビジネスモデルは次々変化していった。その中でも、一貫して高い性能や機能は求められ続けてきたが、最近ではそれと同時に消費電力の抑制も要求されている。

 こういった状況を踏まえた上で、同社代表取締役社長の吉田和正氏は「インテルではそういったニーズの変化に応えてきた。2009年4月には、Xeon 5500番台を発表し、その際に“Pentium Pro以来、もっとも革新的なプロセッサ"と表現したが、今回の新製品は、再度その表現を用いる製品」としてXeon 7500番台を紹介した。

戦略的なIT投資でビジネス成長への基盤を構築へ

 Xeon 7500番台は、8コアを内蔵し、Hyper-Threadingテクノロジにより1CPUで16スレッドを同時実行可能。また、24MBの大容量L3キャッシュを搭載し、Turbo Boostテクノロジにも対応する(詳細については関連記事を参照)。これらにより、前世代のXeon 7400番台に対して、過去最大の上げ幅となる平均3倍の性能向上を実現。また、高い信頼性、可用性、拡張性をもたらす機能も追加したとした。

 また、Xeon 5500について、エンドユーザーからの評価が高く、2009年の1年間で驚異的な速度で既存製品から移行が進んだこと、同プロセッサを積んだ、日本原子力研究開発機構のスーパーコンピュータのLINPACK性能が日本1位になったこと、世界のTOP100の21台が同プロセッサを採用していると言った事例も紹介した。

 最後に吉田氏は、企業がこういった製品を採用し、戦略的なIT投資を行なうことでビジネス成長の基盤を構築できると結んだ。

インテル土岐英秋氏

 各製品の概要については、同社技術本部副本部長の土岐英秋氏が説明した。

 Itanium 9300番台は、ミッションクリティカル向け製品。他のプロセッサよりもやや存在感は薄いが、国内サーバー出荷金額を見ると、2002年にRISC/メインフレームのシェアが71%、Xeon/Pentiumが29%だったものが、2009年にはRISC/メインフレームが41%、Xeon/Pentiumが47%で、Itaniumは11%と、着実にシェアを伸ばしているという。第7世代となる本製品は、前世代からコア数が2倍、バス帯域幅が8倍、メモリバンド幅が5倍、メモリ容量が7倍に強化されている。

 Xeon C5500/C3500は、ストレージ製品などの組み込み向け製品。Intel 3240チップセットと組み合わせることで、高気密化、電力効率の向上が図れるという。コア数は1~4基で、TDPは23~85W。2-wayまで対応する。製品提供期間は7年間。

 Xeon 5600番台は、クラウド向け製品。最新の32nmプロセスを採用し、前世代と比べ、性能は6割向上。同性能では消費電力を3割削減している。また、AES-NIやTXTといったセキュリティ機能を搭載。2005年の製品と比べると15ラック分の性能を1ラックに集約でき、これにより消費電力は95%削減され、5カ月で投資を回収できるという。同じ15ラックでは、性能が15倍となり、消費電力は8%削減される。

Itanium 9300の概要国内サーバー出荷金額の推移Xeon C5500/C3500の概要
Xeon 5600の概要前世代との性能と消費電力の比較ラックあたりの性能と効率を比べたもの

 Xeon 7500番台は、データセンター向け製品。Intelチップセットで最大8-way、サードパーティのノードコントローラを使うと256-wayといった大規模なシステムも構築できる。新たに、Xeonシリーズとして初めて「Machine Check Architectureリカバリ」機能を搭載。従来2bitのエラーには、対処できなかったが、MCAリカバリを使うと、エラー情報をOS/VMMに提供し、OSにより回復させ、システムのクラッシュを回避できるようになり、ダウンタイムを低減できる。

 質疑応答では、Xeon 7500番台がItaniumが受け持つミッションクリティカル分野に食い込むのではという質問に対し、吉田社長は、その通りでXeonの適用範囲も広げるが、Itaniumについても今後の新製品を開発/投入していくことを明言した。

Xeon 7500の概要前世代とラックあたりの性能と効率を比べたもの新たにMACリカバリ機能を搭載
Xeon 5600のウェハXeon 7500のウェハItanium 9300のウェハ
Xeon 5600Xeon 7500Itanium 9300

(2010年 3月 31日)

[Reported by 若杉 紀彦]