富士通、野副 元社長の辞任理由について詳細を発表

3月6日 発表



 富士通株式会社は6日、野副州旦 元社長が、自身の「辞任取消」を求める文書を当社に送付した旨の報道を受け、「一部報道について」というコメントを発表した。

 コメントでは、「2009年2月ごろ、野副氏と長年にわたり親交の深い人物が代表取締役をつとめる企業が、野副氏が推進していたプロジェクトの一部に関与しておりました。当該企業グループについては好ましくない風評があったため、調査いたしましたところ、当社の理念・行動規範である FUJITSU Wayの観点からも、当社が取引等の関係を持つことはふさわしくないとの判断に到りました。この旨を野副氏に対し、取締役、監査役から注意したところ、野副氏もこれを認め、当該企業を当社プロジェクトからはずすと明言しました。しかし、野副氏は、その後も当該企業との関係を継続していることが判明しました。(中略)

 野副氏の弁明は、当該企業の親会社自体は絶対当該事業に関与させてはならないと認識しており、現にそのように指示していたこと、また野副氏と親交のある人物は、野副氏の言葉を借りれば当該親会社の代表者の「手先」「窓口」として機能していると認識しているとしながら、一方で当該人物についてはあくまで個人として見ており当該企業グループとは切り離して考え、当社プロジェクトに関与させていたとのことでした。しかしながら、野副氏も、当社代表取締役社長という立場からは、そのような認識は通用しないことを理解し、辞任を選択されたものです。(中略)

 このように本件は、あくまで当社代表取締役としての適格性の問題であること、前記のとおり、当社は当該企業の評価を公表する立場にないこと、しかしながら、野副氏が辞任された背景に触れるとすれば、当該企業の評価が取り沙汰され、当該企業に何らかの影響を及ぼさざるを得ないこと、これらの事情を総合的に勘案して、当時、野副氏自身が体調を崩していた事実もあったことから、野副氏本人合意の上、辞任理由を病気として発表いたしました」としている。

 2009年9月25日の退任発表時点では、「野副氏側から、病気療養のため、9月25日をもって代表取締役社長および取締役を辞任する旨の申し出があり、これを受理。同日開催の取締役会において、代表取締役の異動について決議した」と発表していた。

 この時点では、代表取締役会長の間塚道義氏が代表取締役社長を兼務し、今年1月に、4月1日付けで山本正己執行役員常務が、執行役員社長に就任する人事を発表している。

(2010年 3月 8日)

[Reported by 伊達 浩二]