富士通、新社長にPC事業出身の山本正己執行役員常務

社長就任が決まった山本正己氏

1月22日 発表



間塚道義会長兼社長(左)と握手

 富士通は、4月1日付けで、山本正己執行役員常務が、執行役員社長に就任する人事を発表した。

 野副前社長の退任後、暫定的に社長を兼務していた代表取締役会長の間塚道義氏は、4月1日付けで社長の兼務から解かれる。

 また、リチャード クリストウ執行役員副社長のほか、石田一雄執行役員上席常務、藤田正美執行役員常務、佐相秀幸執行役員常務、生貝健二執行役員が、新たに執行役員副社長に就任。社長を補佐する役割を担う。

 なお、山本氏は、1月22日付けで執行役員副社長に昇格する。

 山本正己新社長は、'54年1月11日生まれの56歳。'76年4月に富士通に入社。'99年12月にパーソナルビジネス本部モバイルPC事業部長、2002年12月にパーソナルビジネス本部長代理、2005年6月に経営執行役兼パーソナルビジネス本部長、2007年6月に経営執行役常務兼ユビキタスプロダクトビジネスグループ長、2008年6月経営執行役常務兼システムプロダクトビジネスグループ長を歴任した。15年間に渡って、OASYSの開発などに携わった後に、PC事業を統括し、事業拡大させた。

 午後2時30分から東京・汐留の富士通本社で開催した社長交代会見では、山本正己新社長と間塚道義会長が出席。山本新社長は、「強い富士通をさらに強くしていき、グローバルの視点で富士通を邁進させていきたい」としたほか、「私は、PC事業には黎明期から携わり、この厳しい経験が、富士通のグローバル展開のなかに生かすことができると考えている」とした。

 また、「プロダクト事業出身の社長と捉えられるが、ワープロ、PCは、ユビキタスフロントとして重要な役割を担っており、最先端の部分で取り組んできた経験がある。また大きな変化に対する経験がある。海外経験がないが、昨年4月に富士通シーメンスを100%子会社化した際に、このプロジェクトのリーダーとしての仕事を経験してきた。今後の富士通のグローバル化の中で重要な経験になる」などと語った。

 間塚会長は、社長選出の経緯について説明。「昨年10月に設置した指名報酬委員会で、厳しい競争に打ち勝つことができる社長として有すべき条件を決め、同時に社長を支える執行体制のあり方も考えた。委員長の大浦溥氏が、候補者全員と面接して、委員会全体で決定した。サービス、ソリュシーョン、プロダクト、グローバルに関して、経験と知見の集合体であり、変革のマインドを持って、乗り越えていける人材ということで選出した」とし、「変化する時代の最先端の世界での経験を持つ柔軟性、決めたことを徹底的にやる行動力、新しい時代を開拓していく力があること」をあげた。

 また、56歳0カ月という年齢については、「歴代社長の中で、山本卓真氏の55歳9カ月に次ぐ若さ。副社長も、クリストウ氏を除いて、すべて50代になる。これからの時代を切り開く若さを持っている」とし、山本新社長も、「明るい元気な会社を目指す」などとした。

 また、副社長の役割分担については、「副社長は縦割りというわけではなく、全員が富士通グループを考えていくことになる。それぞれに主にという言葉がつくが」(間塚会長)と前置きし、クリストウ氏は海外ビジネス、石田氏はクラウドをはじめとするサービスビジネス、藤田氏はコーポレイト・管理、佐相氏はシステムプロダクト全般、生貝氏はソリューションビジネスを担当する」という。

 5人の副社長体制としたことについては、「変化の激しい時代にスピードが求められ、社長1人でディシジョンするのは大変である。私も、この3カ月の経験で実感としてそれを感じた。各部門のそれぞれの経験、知見を重ねた人材がきっちりとサポートする体制が必要で、すばやく結論を出して、行動していく。そのための体制とした」と説明した。

 社長の就任要請をしたのは、今週月曜日のことで、大浦委員長とともに、間塚会長が山本氏のもとを訪れた、副社長人事とともに伝えたという。

 「最初は驚いた感じだったが、その後は落ち着いて冷静に振る舞っていた。全力で取り組むと力強く答えてくれた。印象としては、覚悟していたところもあったのではないか」などとした。

 これに対して、山本氏は、「正直なところ、重責が務まるか不安だったが、誰かがこの重責をやらなくてはならない。責任をまっとうしたいと、数分後に回答した」と語った。

(2010年 1月 22日)

[Reported by 大河原 克行]