ソニー、新型VAIO発表会レポート
~VAIOは驚きと感動を与え続ける存在でありたい

発表会の目玉は「VAIO X」

10月8日 開催



松原昭博執行役員

 ソニーは、10月8日、モバイルノートPC「VAIO X」シリーズおよび、タッチパネル機能にも対応したプレミアムボードPC「VAIO L」シリーズの製品発表会見を、東京・銀座のソニービルで開いた。

 台風の影響で、都心部のJR各線が運休するなか、多くの報道関係者が集まり、ソニーが発表した新製品への注目度の高さを裏付けた。

 ソニーマーケティング執行役員ITビジネス担当の松原昭博氏は、「エコポイント対象の製品の需要は堅調だが、夏以降も国内のPC販売は厳しい状況が続いている。ソニーは、業界の活性化に向けて、モバイル領域での成長を担うために、ネットブックと一線を画す新たなポケットスタイルPCとして、VAIO type Pを発売。さらに、ネットブックの領域においても、Wシリーズを投入してきた。今年最大の商戦であるWindows 7を機にした新たな提案が必要であり、New Feel, New VAIOをキーワードに、モバイルPC領域とホームPC領域に新たな製品を投入する。それが今回の新製品になる」とした。

 VAIO Xは、最厚部13.9mm、655g(店頭モデルで約765g)の軽量化を実現。さらに、4セルのLバッテリで約10時間の駆動時間、オプションの8セルのXバッテリでは約20.5時間の駆動を達成しており、「ソニーが持つ、ハードウェアの圧倒的技術力で、新たな市場開拓を目指す製品」(松原氏)と位置づけた。

Windows 7をきっかけにした2つの提案薄型、軽量、長時間駆動がVAIO Xの特徴
PとXの位置づけの違い。Xはビジネス市場にも対応できるVAIOボタンで起動する「Media Gallery」
赤羽良介副本部長

 ソニーのVAIO事業本部 赤羽良介副本部長は、VAIO Xの開発スタートが若手有志によって提案されたものである裏話を披露。「この製品は、販売サイドの声を聞いたわけでもなく、企画担当のラインアップ提案のなかから生まれたものでもない。モックアップを持った設計部門とスタッフ部門の若手有志が、私たちはこんなものが作りたいし、こんなものが欲しいと提案したところからスタートした。当時は、ソニーのPCビジネスにとって、必ずしも必要なものではなく、ソニーマーケティングでも、こうした製品はいらないと言っていた。だが、若手有志のやりたいという熱意が伝わり、我々もやりたいと考えた。別のプロジェクトを後回しにするなど、社内ではいろいろと大変なこともあったが、今日、発表の時を迎え、また私自身、2週間程度使ってみて、本当に世の中に出すことができてよかったと感じている。この製品は、ソニーのDNAによって誕生したものだ。VAIOは驚きと感動を与え続ける存在でありたい」と語った。

 また、「モックアップを見たときには、本当にできるのかと思い、お前ら本当にやれるのか! と聞いた」という。

 ソニーは、モビリティが重視される新市場を「New Mobile」とし、VAIO Pシリーズをコンシューマ用途向けのエンターテイメントPCとする一方、VAIO Xシリーズをコンシューマとビジネスの兼用マシンとして提案する考えだ。

 「データを閲覧するには8インチのディスプレイでは見づらいということもある。その点で、VAIO Xシリーズは、1,366×768ドット表示対応の11.1型ワイド液晶を搭載しており、ビジネスシーンでも活用できる」(赤羽氏)とした。

 ソニーでは、VAIO Xシリーズのコミュニケーションメッセージに、「余分はいらない。十分がほしい。」を採用した。

 「ビジネスとコンシューマでも快適に利用するために十分なスペックを実現した。このサイズで、これだけのバッテリライフを実現するためには、インテルのAtom Zシリーズの存在が不可欠だった。VAIOオーナーメードでは、Atom Z550 2GHz版も選択できるようにしており、そのほか、標準で64GBのSSD、最大で256GBまで拡張できる。安心して使える品質と、美しさと丈夫さを両立するものとなっており、仕事をする上でも十分なスペックを達成した」と、赤羽副本部長はその理由を語る。

 さらに、日本をはじめとする主要国での無線WAN対応、長野県安曇野で生産されるMADE IN JAPANの技術を活用した強みなども訴求した。

 一方、タッチパネル機能にも対応したプレミアムボードPC「VAIO L」シリーズについては、Widnwos 7ならではのタッチ機能を生かしたMedia Galleryを搭載したのが大きな特徴。「ホームPC領域におけるソフトウェアの提案が大きな特徴。大切な思い出の写真や動画、お気に入りの音楽を、VAIOが好みや気分によって選択してくれる。もっと楽しむことができる提案が可能になる」(松原氏)とした。

Xは10型以上の液晶搭載PCでは世界最軽量「十分な」パフォーマンス無線WANを内蔵。国内ではNTTドコモに対応
薄型ゆえに乱暴に扱われることも想定して設計一体型パームレスト、開けやすいリジッドアークデザイン、丈夫で軽いハイブリッドカーボン国内工場で設計・生産されている

 なお、赤羽副本部長は、VAIOの事業戦略について、「普及価格帯の製品でありながらも、手軽さ、親しみやすさ、そしてデザイン、バリエーションといったVAIOらしさを付加することで、VAIOブランドの裾野拡大に乗り出す一方で、従来通り、最新テクノロジーの採用や、モノづくりへのこだわりを感じてもらえるような、VAIOブランドの価値向上を実現する付加価値戦略にも力を注ぐ」として、ボリューム戦略と付加価値戦略の両面から事業を推進する姿勢を示した。

 なお、VAIO Xは、本日よりソニービル1Fのショールームにて実機の展示が開始されている。

発表会場にはVAIO Xが多数展示されていた

マザーボードの構造その拡大図ボディの構造
人が持っているところ。前から見ると大きく見えるが、横から見ると薄さが際立っている
もう1つの目玉であるMedia Galleryの展示。手持ちの音楽や画像をもとに、「ちょうど1年前の写真」や「いまの気分にあった曲」などを提案してくれる

(2009年 10月 8日)

[Reported by 大河原 克行]