富士通株式会社は、富士通製PCユーザーを対象とした新サポート・サービス「AzbyClubバリューplus(アズビィクラブ・バリュープラス)」を10月1日から開始する。
同社は2009年4月付けで、PC事業を担当するパーソナルビジネス本部の下に「サービスビジネス統括部」を新設した。この部署の統括部長である寺師和久氏は、サービスビジネス統括部設立の狙いを次のように説明する。
「PC事業も箱売りでは他社との差別化が難しい時代。サポート・サービスを1つの本部で一貫して提供する体制を整えた」
富士通では個人向けPCのサポートを行なう大規模コンタクトセンターとして、神奈川県川崎市、宮城県仙台市、新潟件新潟市、福岡県北九州市の4カ所に拠点を設け、年間250万件の問い合わせを受けている。
PCメーカーが提供するサポート・サービスとしては、商品のダイレクト販売、サポートツールとマニュアルの提供、WEBによるサポート、電話サポート、修理サービス、リサイクルなどがある。富士通では事例検索ができるWEBのQ&A naviに月間120万ページビュー、電話サポートが月間21万件、修理サービスには月間15,000台が寄せられている。
「サポート利用者の実態調査を行なった結果、50歳台以上の割合が49%とおよそ半数を占め、習熟度についても初心者及び初級者の割合が52%と高いことが当社ユーザーの特徴で、今後ますますサポート・サービスの重要性が増し、依存度も高くなることが見込まれる。サービス内容としても、PCを取り巻く環境が変化し、活用シーンも拡大していることから従来のトラブル解決に留まらない、お客様のニーズに対応した価値ある新サービスの提供が必要と判断した」(寺師統括部長)。
富士通の個人向けサポート・サービスの変遷 | 個人向けPCのサポート体制 | サポート・サービスの必要性 |
新サービスのAzbyClubバリューplusは、PCの初期設定から使いこなし・トラブル解決など活用シーンに合わせて提供する有料サービス。
昨年10月1日から提供している出張サービス「PC家庭教師」は、サービス内容によって料金は異なるが、かけつけ診断で9,800円から。今年5月18日から提供しているオンラインバックアップサービス「オンラインPOQET」は容量5GBでデータバックアップを行なう節約コースが月額350円、容量30GBの標準コースが980円、50GBの大容量コースが1m480円。8月6日から提供しているPCデータ復旧サービス「データサルベージ」は、データバックアップで28,350円という価格設定になっている。
10月1日から電話によるPCにまつわる様々な疑問や問い合わせを受け付ける「PCコンシェルジェサービス」は、従来は従来は10件までの問い合わせ無料としていた購入後のサポート体制を、WEBサポートを拡充すると共に1年間無料で問い合わせを受け付ける。その代わり、2年目からの問い合わせは有償とし、さらにメーカーサポートの範疇外のサポートについては1件3,000円でPCコンシェルジェサービスで受け付ける。有償でPCの保証期間を延長する「メーカー延長保証サービス」を11月4日から開始する予定だ。
PCを取り巻く市場環境と利用ニーズの変化 | 富士通のサポート・サービスの方向性 | AzbyClub バリューplusが提供するサービス |
新サービス導入後の富士通の電話相談サポート・サービスの変更点 | 従来のメーカーの枠を超えたサポートを提供するPCコンシェルジェサービスの概要 | 対象サービスを特別価格で利用できるようになる月額サービスAsby安心パックの概要 |
各サービス料金を特に利用できる、「Azby安心パック」は、月額315円の料金を支払うことでAzbyClubバリューplusの各種対象サービスをお得にご利用できる。継続して利用することで割引率は上昇し、例えば継続2年目以降は1年目は10%割引だったPC家庭教師の利用料金が20%割引されるほか、新規申込者に対しては月額利用料金最大3か月間無料で提供するキャンペーンを行なう。
「新サービスは従来のメーカーサポートでは提供していなかった一歩踏み込んだ内容までサービスを行なうことが特徴となっている。例えば、パソコンコンシェルジェサービスでは24時間、365日専任アドバイザーが受け付けを行なう電話相談サービスで、『Microsoft Officeの使い方を教えて欲しい』といった相談や、『PCに録画した番組を携帯電話に取り込みたい』といった従来のメーカーサポート範囲外の問い合わせにも対応していく。『PCを持っていない両親に孫の写真を送りたい』といった相談があった場合には、無理にPCをオススメするのではなく、当社の商品ではないデジタルフォトフレームをオススメするといったお客様に則したサポートを提供する」(寺師統括部長)
なお、この事業による売上目標は明確にしなかったものの、「サポート事業を継続的に行なっていくためには、適正な利益を獲得していかなければならない。将来的には、富士通以外のPCがサポートできるような事業へと成長させたい」(寺師統括部長)と収益があがる事業と位置づけている。
通常は1年のメーカー保証を2年に延長するメーカー延長保証サービスの概要 | 誤って消去することがあるデータをインターネット上で保護するオンラインPOQETの概要 | 出張サポートサービスPC家庭教師の概要 |
データ復旧サービス「データサルベージ」の概要 | 新サービスの活用シーン | すでにHPでも新サービスの紹介ページが公開されている |
会見後には、実際にPCコンシェルジェサービスを提供するコールセンターを公開。個人情報を多く取り扱うことから出入り口を二重チェック体制とすると共に、個人情報が入ったデータベースにアクセスするPCは指紋認証を受けたスタッフでなければ利用できないといった体制を公開した。
サービスを提供する際に利用しているシステムは、SAPのCRMをカスタマイズした「FACE」と社内で呼んでいるシステム。登録ユーザーから問い合わせを受けた場合には、過去の問い合わせ履歴と、所有するPCは型番をはじめ、付属するソフトやマニュアルまで全てデジタルで記録。対応するオペレーターが言葉だけでなく、ソフトの具体的な画面まで説明しながらサポートを行なっている様子が公開された。
PCコンシェルジェサービスを行なうセンターの上空には監視カメラが設置され、常時異常をチェックする体制が整っている | PCコンシェルジェサービスをデモンストレーション |
サポートの際に利用しているシステム「FACE」の画面。ユーザーの住所や電話番号といった情報に加え、利用しているソフト、一緒に梱包されていた物まで登録されているので、オペレーターは適切なサポートを行なうことができる |
(2009年 9月 25日)
[Reported by 三浦 優子]