SteelSeriesのCMO、Kim Rom氏インタビュー【Xai編】
~「Xaiは地球上で最もパワフルなマウス」

今回インタビューしたKim Rom氏

9月中旬 発売
価格:オープンプライス



 ゲーミングハードウェアを手がけるメーカー、SteelSeriesのマーケティング最高責任者(CMO) Kim Rom氏が来日した。今回単独で話をする機会を得たので、ゲーミングマウス新製品「Xai」と「Kinzu」、およびマウスパッド「9HD」と「4HD」について話を伺った。

 同時に発表されたKinzu、9HD、4HD、およびマーケティング方針などについては別記事で紹介する。また、製品の詳細については関連記事を参照されたい。

 なお、発売日はいずれの製品も9月中旬。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、Xaiが10,980円前後、Kinzuが3,980円前後、9HDが4,980円前後、4HDが2,980円前後。

 同氏はまず、レーザーセンサー採用のXaiについて「地球上で最もパワフルなマウスである」と表現。Xaiは3年かけて開発した製品であり、3年間の間にプロゲーマーから得られたフィードバックを元に、熟成したものであるという。

 Rom氏は、「3年間という長い時間をかけて開発した製品というのは、PC業界では類を見ないだろう。私はまだ34歳なので、今までの人生の約9%の時間を、Xaiの開発に費やしたことになる」と笑う。

●Xaiのセンサーのスペック

 まずセンサーのスペックからおさらいすると、Xaiに搭載されているレーザーセンサーの処理能力は10.8Mピクセル、スキャン速度は12,000fps、解像度が5,001CPI、加速度は22Gとなっている。

XaiXaiの底面センサー部。見慣れた面積相関法を利用したレーザーセンサーを搭載しているレーザーセンサーの主なスペック

 12,000fpsというスペックは、1秒間に12,000回、センサーで得られた画像の比較できることを意味し、数値が高ければ高いほど、正確な操作と高度なトラッキングを実現できる。Xaiではこの高い処理能力を持つセンサーを搭載することにより、トラッキング速度は150インチ(約3.8m)/secを実現し、俊敏な動きに反応できるという。

 解像度については、本来のゲーミング用途においてはもはや数値の高さは重要ではなくなってきているという。例えばXaiの最高解像度である5,001CPIでは、マウスを1インチ(約2.54cm)を動かすだけで、画面上で5,001ドット移動できることになり、実用範囲を大幅に超えるものであるが、「それでも各メーカーは解像度をスペックとして競っており、我々も数値面でビハインドを背負いたくなかったため高く設定した」と説明した。

 「1」だけ多くを余裕を持たせたのは、「中指を1本突き立てて、他のゲーミングデバイスメーカーに挑発する様をあしらったものである」とRom氏。あくまでも解像度は「意味のない競争だ」と主張するようだ。

 最後に重力加速度だが、「30Gという数字は普通の人間には成し得ない加速度である」という。なぜならば、戦闘機のパイロットでも15Gの加速度に耐えられれば優秀だとされ、22Gの加速度でマウスを振ると(振ることができれば)腕の骨が折れてしまうからだという。

 このように、Xaiに搭載されているセンサーは極めて高スペックで、次世代マウスのスペックにふさわしいものだとわかるだろう。

 なお、センサーの製造元について尋ねてみたところ、「発売までに模造品が出ると困るので、発売してから公表したい。ただし、Ikariに搭載されたCypressの独自のアルゴリズムのセンサーではなく、面積相関法を利用した従来のレーザーセンサーである。これは、面積相関法を搭載したセンサーでも、我々が要求するスペックに達したからだ」とした。

●Xaiのフォルム
左利き/右利き、そして持ち方を問わずに利用できるフォルム

 次に、左右対称形になったフォルム(形状)について。マウスにおいて、フォルムもまた使いやすさを大きく左右する要素であるが、Xaiについては多くのプロゲーマーの声を取り入れたという。

 まず左右対称になったフォルムだが、これは、調査でゲーマーのうち9%前後が左利きであることがわかったためだという。この9%前後のゲーマーにも、残りの91%のゲーマーにも使いやすい形を追求した結果、左右対称形のフォルムが最適だと判断し、研究を進めた。

 左利きにしろ右利きにしろ、マウスの握り方は千差万別である。しかしSteelSeriesでは大まかに3種類の握り方に分類し、それぞれの握り方に適用できるようなフォルムにした。

 1つ目は「Fingertip」と呼ばれる、いわゆるつまみ持ちである。マウスのコントロールは主に親指と小指で行ない、正確なコントロールを好む。

 2つ目は「Palm」と呼ばれ、いわゆるかぶせ持ちだ。手のひらでマウスをコントロールし、手首を支点にして操作する。このような使い方をするユーザーは中解像度を好むという。

 そして3つ目は「Swip」と呼ばれる握り方。コントロールは親指と小指で行ない、手首ではなく腕全体を使って払うように操作する。このようなユーザーは感度を上げているのが多いという。

 これらのいずれの持ち方にも適するよう、開発されたのが、Xaiのフォルムだとした。


Fingertipの持ち方Palmの持ち方Swipの持ち方

 さらに、プロゲーマーの声を取り入れていく過程で、一般的なユーザーからは得られなかった、細かいニーズが挙がったという。

 「例えば、重心については、持ち上げたときに前後左右に傾かないように中央にあったほうがよいとか、サイドボタンの細かい質感とか、汗に強い滑り止めのコーティングについてだ。このほかにも、持ち方が異なれば、左右クリックボタンの押し位置も異なってくるため、ボタンのどの位置でも、均一の力で均一のクリック感が得られるようにしてほしいという声もあった」。

 先述のように、Xaiは開発に3年間を要したが、その大半がこのフォルムの追求だったという。

●Xaiの新機能
Xaiに搭載されている機能

 最後にXaiに搭載されている機能について。機能については大きく4つ謳われており、「ExactSense」、「FreeMove」、「ExactRate」、「ExactAim」だ。

 ExactSenceとは、ゲーム中でマウスの感度を1にしてもらうことを前提にし、CPIだけを設定してもらうものである。マウスの感度を設定できるゲームで、例えば感度を2にすると、ハードウェアで1ドット動いたという情報が、ゲーム内でソフトウェア的に2ドットに補間され、1ドットずつ動かすことができなくなったりするが、Xaiではソフトウェア補間なしの1に設定してもらい、逆にマウス側で解像度設定を2倍にしてもらうことで、1ドットずつの操作が可能になるというわけだ。

 FreeMoveは、ユーザーの動きを直線補正する度合いなどを調節する機能。市場に出ている約65%のマウスのセンサーは、直線補正を行なっているという。ユーザーが意図する動きを再現するという点では、直線補正をしたほうがよく、WordやExcelなどのオフィスアプリケーションでは有効だが、精密な操作を要求されるFPSなどでは逆に意図しない動きになってしまうことがあるという。FreeMoveではこの補正度合いを調節でき、完全にOFFにすることもできる。これによってプロゲーマーの要求にも応えるとした。

 残りの2つは、旧製品の「Ikari Laser」にはなかった新機能である。まず、ExactRateは、画面の周波数と同期できるようにするためのものである。従来では、マウスのレポートレートを1,000Hz/500Hz/125Hzに設定できたが、大半の液晶ディスプレイの周波数である60Hzで割りきることができないため、「60Hzの中に収まりきれなかったレポートが前後してしまい、マウスの動きと液晶ディスプレイで見た映像が同期していないことがあった」という。

 そこでExactRateでは、レポートレートを125Hz~1,000Hzの中で自由に設定できるようにすることで、ユーザーは所持している液晶の周波数と同期させることができるようにする。これにより、レポートレートの前後による違和感をなくした。

 そしてExactAimは、一種のスムージングエフェクトである。ゲーマーの中でよくある体験として、「マウスに触っていないのにマウスカーソルが勝手に動く」といった症状が起きるというが、それはセンサーが誤ったデータを検出したためだといい、SteelSeriesではこれを「ジッタ」と呼んでいる。そこでExactAimでは画像データのスムージングを行なうことで、誤検出を無視することができる。

 ただし、このExactAimについては、「ゲーミングマウスパッドの上では不要になるかもしれないし、木目調の机の上では有効かもしれない。どの設定が最適解なのか、ユーザーの環境に左右されるので、この機能をOFFにしたり、補正度合いをユーザーが自由に調節できるようにした」と説明した。

 これらの機能はすべてマウス本体のみで設定できるのも特徴だ。他社のマウスは大抵の機能はソフトウェアを用いなければならないが、Xaiではマクロなどを除く機能は本体底面のLCDと設定ボタン、ホイールだけで設定できる。

プロファイルは5つ保存でき、プロファイルごとの設定もマウス内で完結できる

 なお、以上の4つの機能だが、センサーメーカーと独占ライセンス契約をしている。メーカーはまったく同一のスペックを持つセンサーを、Xai専用と一般向けに出荷しているが、一般向けでは上記の4機能が利用できない。このため、SteelSeriesはTM(トレードマーク)を用いることなく、機能を表記できる権利を得た。

 最後にRom氏は、「機能について重要なのは、いずれもユーザーに“使え”と押しつけているのではなく、ユーザーが自分の環境に応じて自由にカスタマイズできる点だ。過去にマウスのフォルムやセンサーの機能について、ユーザーはいずれかを妥協せざるを得なかったが、Xaiではフォルムさえ気に入ってもらえれば、センサーの機能については過去にあったどのマウスも“エミュレート”することができる。これが、我々が、Xaiが地球上で最もパワフルなマウスと謳った理由である」とアピールした。

(2009年 8月 6日)

[Reported by 劉 尭]