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三菱電機、既存の光ファイバ網で伝送速度1Tbpsを実現する技術

〜サブキャリア11本を送受信、従来比で10倍の伝送速度を実現

マルチサブキャリア光送受信技術とパイロット信号を用いた歪補正技術

 三菱電機株式会社は、既存の光ファイバ網で伝送速度1Tbpsを実現する「マルチサブキャリア光送受信技術」を開発したと発表した。

 光通信は光搬送波(キャリア)に信号を乗せてデータを送信しているが、光ファイバ内で劣化しにくい光の周波数は限られており、また1つの光の波で実現できる伝送速度には限界がある。

 三菱電機では、光コム(一定の細かい周波数間隔で高精度な光搬送波を同時生成する装置)を用いることで、11本のサブキャリアを高密度に一本化して送信する「マルチサブキャリア方式」を採用。従来11本のサブキャリアを同時に受信するには11組の送受信器が必要だったが、1組の送受信器のみで通信可能とした。

 また、キャリアを用いて通信を行なう場合、受信タイミングにズレが発生しデータが損傷してしまうため、従来の単一キャリア送信では、確率論に基づきズレを推定する方法が取られていたが、本技術では、光の波を送信する際に全サブキャリアへパイロット信号を定期的に挿入し、受信側でパイロット信号を基準としてサブキャリアの受信タイミングを一括して補正。これにより、マルチサブキャリア方式でデータの損傷を防ぎながらデータ伝送を可能とした。

 英ユニバーシティカレッジロンドン(UCL)のOptical Networks Groupの設備を用いた本技術の実証実験で、1組の送受信器間において、従来の100Gbpsから、約10倍となる1Tbpsでのデータ伝送に成功。さらに、1組の送受信器での1Tbps伝送で世界最高となる、周波数利用効率9.2bit/s/Hzを達成した。

 三菱電機では、「(本技術では)既設の光ファイバ網をそのまま活用でき、光送受信基地局などのインフラ設備も大幅に変更する必要がないため、低コストで大容量高速通信が可能な環境を整えられる」としている。

(佐藤 岳大)