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従来の100倍以上の伝送量を備える光ファイバ

~ハイビジョン映画数千本を1秒で転送

6モードの光と19コアを備えた114チャネルの光ファイバ

 NTT、株式会社フジクラ、北海道大学らは16日、1本の光ケーブルで従来の光ファイバの100倍以上の伝送量を備える世界最高密度の光ファイバを実用レベルで実現できたことを発表した。

 既存の光ファイバでは1本当たり1種類の光信号しか出せないのに対し、今回の光ファイバでは1本のケーブル内に19コアを配し、1コアで6モード分の光を伝送可能にしたマルチコアとマルチモードの組み合わせにより、世界最大の114チャネルを達成している。この光ファイバのガラス部分は、直径250μm以下という折り曲げ状態でも利用を維持できる実用的な細さで作られている。内部では19個のコアを蜂の巣状に並べた構造を採っており、これは従来の光ファイバの60倍以上の密度となる。

 本光ファイバは、ハイビジョン映画数千本の情報を1秒で転送可能としており、今後のデータ通信量の肥大化で必要とされる数Pbit(ペタビット)から、その1,000倍のEbit(エクサビット)まで対応できるようになる見通し。

 フジクラが作成した8.85kmの光ファイバを使った評価試験では、全114チャネルの波長1,550nmにおける伝送損失は0.24dB/km未満で、各チャネル間の伝送損失の偏差は0.03dB/km以下と高い均一性を達成。モード間伝搬速度差は0.33ns/kmと、これまで報告されている6モードのマルチコア光ファイバの中でも最小の伝送損失と最小の速度差を実現しているという。

 情報通信白書によれば、日本のデータ通信容量は2013年11月時点で毎秒2.5Tbitを超えており、2020年代の後半には100Tbit以上の通信需要が発生すると予想される。本光ファイバは2020年代での実用化を目指して開発が進められている。

世界最高密度の光ファイバの設計指針
作成した光ファイバの特性
QAM(振幅位相変調)信号の伝送特性

(中村 真司)