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日本マイクロソフト、個人向け「Office 365」の年内投入を表明

日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏
7月2日 実施

 日本マイクロソフト株式会社は2日、同社の新会計年度となる2015年度を迎えたことに合わせて、経営方針記者会見を開催。この中で、年内に、クラウド型Office「Office 365」を個人向けにも提供することを明らかにした。

 「Office 365」は、海外では2013年2月より個人向けエディションとなる「Office 365 Home Premium」が提供され、現在440万人のサブスクライバがいると言う。しかし国内ではパッケージ版Officeのライセンス形態が独特ということなどが考慮され、小規模法人向けの「Small Business」など、法人向け販売のみが提供され、個人向けには提供されていなかった。

 経営方針記者会見で登壇した代表執行役社長の樋口泰行氏は「日本はPCを買ったら初めから入っていることを好まれ、プリインストールを主軸に提供してきたが、これだけクラウドサービスが普及したので、日本市場に最適した上で、2014年内に提供を開始する」と表明。具体的な提供時期や方法などは明言されなかったが、これまでの日本市場における販売形態をある程度踏まえた形で、かつ、パートナーと築いてきたエコシステムを最大限に活用する形で提供するとした。

Office 365の個人向け提供を2014年に開始

 経営方針記者会見では、6月30日で終了した2014年度の総括として「ものすごく良かった最高の年、と言い切ってしまいたい」(樋口氏)と述べ、Windows XPサポート終了やアベノミクス、消費増税などの追い風もあり、PCの出荷台数が過去最高、後発のタブレットも勢いよく追い上げていることを紹介した

 Windows XPからの移行支援については、6月時点で稼働中PCのWindows XP率が8%まで減少。もっとも移行が進んだ国の1つになっていると言う。

 また、Windows 8.1タブレットについては、2014年1月〜3月で30.5%までシェアを伸ばし、「年度内には過半数(50%)を取りたい気持ちでいる」と意欲を示した。

 その中で7月17日に発売される「Surface Pro 3」は、「もの凄い反響。ちょっとビックリしている」とのことで、予約開始初日(1日分)の予約数が、Surface Pro 2の25倍であったことを紹介した。

 同社の2014年度の大きなトピックとしては、CEOがサティア・ナデラ氏に交代したことも挙げられる。就任以降、「モバイル・ファースト、クラウド・ファースト」というスローガンを掲げ、クラウドとモバイルへ大胆にシフトしていく姿勢を見せているが、さらに最近では「ユーセージ」もキーワードになっているとした。

 樋口氏はユーセージというキーワードについて「使ってもらってナンボ。WindowsやOfficeについてはドミナント(支配的)な状況を幸いにも作らせてもらっているが、逆にそれがあったことから、簡単に売れると思う傾向があった。しかし、今はチャレンジャーの立場なので、使ってもらわないといけない」と説明。製品開発部門には、ユーザーに使ってもらいやすい、直感的に入っていけるような製品作りをするよう号令がかけられていると言う。

 また、クロスプラットフォームを推進し、Windowsにこだわらない姿勢も示した。タブレットとして競合相手といえるiPad上で動作する「Office for iPad」などがその例だ。また、樋口氏も驚いたというOSの一部無償提供なども始めている。樋口氏は、「Windows、Officeが自分の子供みたいなものの前任2人では、この決断は難しかったかもしれない」とし、現実に則した形で、新CEOならではの大胆な戦略を打っていることを強調している。

2014年の振り返り
2014年にCEOに就任したサティア・ナデラ氏

 2015年度の個人向けビジネスは、これまで通りデバイスと自社サービスを組み合わせて提供していく。先日発表されたOneDriveの増量/価格改定のほか、OneNote無料化、Windows 8.1 with Bingなど、まずは使ってもらいやすいように進化させるものとなる。

 法人向けビジネスについては、営業/サポートなどの体制など、これまでに得てきた「信頼感」を強調。セキュリティや管理性、既存資産などの親和性といったWindows、Officeの強味とともに、タブレットにもPCにも使えるデバイスビジネスも加速させる。

 同日には、大塚製薬がMR用端末1,900台をWindowsタブレットに置き換えた事例も発表されている。これまで対面説明用にiPad、会社の業務用にノートPCをカバンに入れて持ち歩いていたが、デバイスやサポート、回線コストが2台分かかっていたことから、デルの「Venue 11 Pro」を導入して、タブレットとノートPCの作業を1台でまかなえるようにした。導入と管理のコストは50%削減されており、こうした「端末の一元化」を考えている企業は増えていると言う。

SurfaceシリーズやOEMのWindowsタブレットでシェア50%を目指す
デバイスと同社サービスを組み合わせて展開
今年も「しかるべきタイミング」で新製品を発表していくことを表明
法人向けクラウドサービスについても、Office 365とDynamincs CRMの連携など、相乗効果を生めるよう投資していく
日本マイクロソフトが目指す企業像や立ち位置

(多和田 新也)