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アドビ、筆圧対応のiPad用ペンと定規「Ink & Slide」

6月19日 発表

価格:未定

 アドビ システムズ株式会社は19日、筆圧に対応したiPad用ペンと定規のセット「Ink & Slide」を国内向けに2014年後半に投入するとした。

 米国で18日(現地時間)に発表された、Adobe初のハードウェア製品。米国では既に販売中だが、日本国内でも2014年後半に投入される。価格は未定だが、米国では199ドルで販売されているため、2万円前後となる見込みだ。

 タッチペンの「Ink」はiPad向けの静電容量タッチ対応ペン。特徴はモバイルスケッチアプリ「Adobe Sketch」およびモバイル製図アプリ「Adobe Line」を用いることで筆圧に対応する点。座標はiPadのタッチセンサーから取得しつつ、BluetoothでiPadとペアリングし、2,000段階以上の筆圧を転送することで実現した。

 ボタンを1つ内蔵しており、これを押すことでSketchおよびLine上でメニューを呼び出して、筆の太さや色などの設定を変えられる。本体内にバッテリを内蔵しており、付属の専用ケースに収納することでMicro USB経由での充電が行なえる。ペンのバッテリ残量もSketchおよびLine上で確認できる。

 一方定規のように使える「Slide」は電池を内蔵しておらず、一定間隔の3点マルチタッチをソフトウェア側が認識することで、スマートガイドが現れ、あたかも定規のように扱える。対応アプリはLineで、直線のほか、三角形や四角形、円やスタンプなどが容易に引ける。

 LineではSlideなしで使うことも考慮しており、2点マルチタッチでソフトウェア定規(つまりはスマートガイド)を表示可能。2点のうち1点のタッチで図形変更、1点のスワイプで平行移動、2点を同時にスライドすることで定規の位置および角度を自由に変更できる。

 なお、SketchおよびLineは本日(6月19日)よりApp Storeより無料でダウンロードできる。Sketchでは紙のテクスチャや色の重なり、Lineでは遠近法をスマートガイドに用いた製図が可能だ。Ink & Slideの“魔法のような”機能は、このような高性能/高機能のソフトウェアを持つAdobeだからこそ実現できたものだと言えるだろう。

Inkを手に持ったところ。ボタンが装備されている
既に国内で利用するための技適マークが付いており、製品投入はそう遠くないだろう
Slideを手にしたところ。“定規”にしては短い
一定の間隔で静電容量に反応するパッドが内蔵されているようで、これをソフトウェアが“定規”として認識しているようだ
Adobe Lineを用いて、遠近法のスマートガイドを併用して作図しているところ
Slideなしでもソフトウェア定規が利用できる
基調講演イベントにおける作図のデモ
しっかり直線が描かれていることが分かる
円を描くことも可能。円の大小はピンチイン/アウトで調節できる
雲形定規を用いて作図しているところ
ソフトウェア定規でも作図できる
Lineにはさまざまなスタンプも用意される。なぞることも可能だが、ダブルタップで全部の線を描画できる
遠近法を用いた作図も可能
実際に遠近法を用いて作図した例
Adobe Sketchの“鉛筆”を用いて描いたところ。筆圧による濃淡だけでなく、紙のテクスチャまで再現されている
色の重なりもしっかり計算される
Sketchで作図したものはクラウドですぐにシェアできる
Sketchでのスケッチ例

 19日に都内で開かれたクリエイター向けイベント「Adobe Create Now 2014」では、このInk & Slide、そしてSketchとLineを用いたデモが披露されたほか、フォトレタッチソフト「Photoshop CC」と写真管理ソフト「Lightroom 5」などを、月額980円で利用できる写真家向けの「Creative Cloudフォトグラフィプラン」を発表した。

 また、現在プロクリエイター向けに提供しているサブスクリプションプラン「Creative Cloud」で提供される各種アプリにおいて、多くの機能拡張をし、そのデモを行なった。Photoshop CCでは3Dデータをシームレスに扱えるようになったほか、DTPソフト「InDesign CC」で表組みをドラッグ&ドロップで列/行を入れ替えられる機能、映像編集ソフト「Premiere Pro CC」でエフェクトのマスク&トラックなどが行なえるようになった点などを紹介した。

映像制作ツール「Premiere Pro CC」から、色調補正ソフト「SpeedGrade CC」にDirect Link可能となった。これにより編集中のタイムラインを保存や読み出しすることなくそのまま作業を移行できる
Premiere Pro CC上でエフェクト編集ソフト「After Effects CC」の機能を利用可能。写真の例は、車のナンバープレートへのモザイクを自動的に適用する「マスク&トラック」を実行しているところ
GPGPUを用いたデベイヤー高速処理に対応
こちらはクラウドサービスで提供する、PSDファイルの要素を分析する機能。デザイナーがデザインしたPSDファイルの要素を、CSSやHTMLのソースコードに反映する時に有効だ
InDesignでは、表の列/行の順序入れ替えをドラッグ&ドロップで行なえるようになった
こちらもクラウドサービスで、InDesignで吐き出されたHTMLをWebブラウザ上で行なえるもの
Photoshop CCでは3Dデータを扱えるようになった
2次元のパスデータからも容易に3次元データが生成できる
Lightroom 5にグループ化機能を追加
Photoshop CCの遠近補正機能

(劉 尭)