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Vuzix、ヘッドマウントディスプレイ搭載のウェアラブルAndroid端末

~今夏以降に発売

M100 スマートグラス
2013年夏以降 発売

価格:499ドル(予定)

Vuzix Corporation日本代表兼東京支店長の藤井慶一郎氏

 Vuzix Corporationは、非シースルータイプのヘッドマウントディスプレイ(HMD)を搭載したAndroid端末「M100 スマートグラス」を2013年夏以降を目処に発売する。2013年1月に米ラスベガスで開催されたInternational CESでも展示され、大きな反響があったという本製品について、日本の報道関係者向けに説明会が行なわれた。

 M100 スマートグラスは、WQVGA(428×240ドット)の液晶を搭載するHMD型のAndroid端末。Androidを搭載して汎用性を高めたことで、例えば、さまざまなコンテンツを視聴したり、スマートフォンと連携して着信内容を表示したり、ショップ店員がこれを装着してJANコードなどを読み込むことで在庫をすぐに表示させるなど、個人用途からビジネス利用まで幅広く活用されることに期待しているという。アプリケーションは内蔵の4GBストレージまたはmicroSDカードへインストールする。

 液晶のアスペクト比は16:9。対角の視野角は16度で約35cm先に4型液晶の感覚になるという。輝度は2,000cd/平方m以下。シースルータイプではなく、ミラーを用いたものになっている。フォーカス調整機能はないが、マウント部から液晶部までのアームを伸縮させることはできる。

 ヘッドセット部はノイズサプレッションイヤスピーカー、ノイズキャンセリングマイクで構成される。液晶部の正面側に1080p対応のカメラも内蔵。液晶解像度に対して画素数の多いカメラを採用しているが、これはARなどの用途を想定して、画像解析を行なうために高画素が必要になるという判断からだという。このほか、3自由度検出のヘッドトラッカー、コンパス/GPSを搭載。

 Androidのバージョンは4.01。プロセッサはTI OMAP 4430(1GHz)を搭載する。インターフェイスはMicro USB、Bluetooth 4.0、IEEE 802.11b/g/n対応無線。バッテリ駆動時間は約2時間。充電はMicro USB経由で行なう。

 IEEE 802.11b/g/n無線LANによるインターネット接続に対応。また、Bluetooth 4.0、無線LANにより、ほかのAndroid端末またはiOS端末との接続が可能になり、本製品の操作をスマートフォン/タブレットで行なえるようになる。

 本製品には電源とボリュームアップ/ダウンの3つのボタンしかないうえ、耳の所へ手をやってボタンを押すというスタイルではない操作方法が必要だと考えられた結果、こうした仕組みを導入するという。ちなみに、ハンズフリーヘッドセット程度の使い方であれば省電力なBluetooth 4.0接続を推奨しているが、画面を積極的に動かすような操作になると画面転送の帯域が不足するので無線LANを推奨している。

 量産は夏以降の予定で、現時点で499ドルの価格を予定している。ただし、販売チャネルについては未定で、システムビルダーからのみの提供になる可能性もあるという。

本体色はブラックとホワイトをリリース予定
液晶部の正面にはカメラを内蔵。液晶部とメイン部のアームは伸縮可能
液晶部
メイン部。上部に電源、ボリュームアップ/ダウンのボタンを備える
Micro USB端子
microSDカードスロット
液晶の表示
Bluetooth/無線LANで接続したAndroid端末などからも操作できる
本製品のアプリケーションを公開するスペースとして「Vuzix App Store」を開設予定

 ちなみに、本製品のSDKは先行して開発者に提供されている。これは、開発者側からSDKだけでも先に欲しいという要望が多かったためだという。SDKは100セット限定のGoldパッケージ(735,000円)と、Silverパッケージ(99,800円)の2種類を用意。Goldは、プロトタイプユニットと2台の量産ユニットが付属するのが大きな違い。Gold/Silverともに量産試作ユニット1台が付属する。

 すでにエミュレータなどを含むソフトウェアは提供されているが、ハードウェアについては提供されていない。予定では、Gold購入者向けのプロトタイプユニットがゴールデンウィーク頃、量産試作ユニットが6~7月頃、量産サンプルが夏頃に提供される。

 ハードウェアが一切ない状態にも関わらず、100台限定のGoldパッケージは残りわずか、Silverパッケージも月あたり30個のペースで販売されているという。この理由について同社日本代表の藤井慶一郎氏は「Google Glassの影響もあってウェアラブルなAndroid端末への市場の期待があるのだと思う。アプリケーションを作ってしまえば液晶解像度以外は後発のHMD型Android端末にも応用しやすい。Google Glassよりも先にSDKを提供できる状況になった本製品で、とにかく早くアイデアを具現化できる環境が求められたのではないかと思う」と述べている。

 なお、プリインストールアプリなどもまだ決まっていないそうだ。同社としても、まだ何ができるかを図りかねているところもあり、現在の開発者パートナーが作成したものをプリインストール用にライセンスしてもらうなどの展開も考えられるとしている。

 また、現状におけるSDKの役割は、先行してアプリケーションを開発したい人や、システムビルダーとしてビジネスをしたい人のためのものであり、ハードウェアの事前提供なども含まれることから有料のみとなっているが、製品発売後は個人開発者向けなどに無料提供する可能性もあるとしている。

 さらに、本製品用のアプリケーションを提供する場として専用のWebサイト「Vuzix App Store」が開設される予定になっている。

(多和田 新也)