Apple、Retina解像度の13型MacBook Proを発表
~iMac、Mac miniも更新してIvy Bridge搭載へ

iMac

10月23日(現地時間)発表



 米Appleは10月23日(現地時間)にサンノゼ市内でスペシャルイベントを開催した。Retina解像度の13型MacBook Proをはじめとして、最薄部5mmを実現したiMac、そしてMac miniなどのMac製品ラインを更新し、MacProをのぞくすべてのMac製品がIvy Bridge世代へと移行した。イベントの模様は同社Webサイトのほか、iOSデバイス、第2世代以降のApple TVに対してストリーミングによるリアルタイム配信が行なわれた。終了後もAppleのページから視聴することができる。

●Retina解像度の13型MacBook Pro Retinaディスプレイモデルを発表

 2012年6月のWWDC(WorldWide Developers Conference)で発表された15型のMacBook Pro Retinaディスプレイモデルに続いて、13型のRetinaディスプレイモデルがラインナップに加わる。15型と同様に、非RetinaディスプレイのMacBook Proの液晶パネルに対して縦横ともに2倍ドットの2,560×1,600ドット、227ppiの13.3型IPS液晶パネルを搭載した。スケーリング解像度は最大で1,680×1,050ドットまで対応する。

 光学ドライブを廃してProモデルの薄型化を図るという基本的なコンセプトは15型のMacBook Pro Retinaディスプレイモデルと変わらない。搭載するプロセッサはIvy Bridge世代のCore i5 2.5GHz(Turbo Boost時最大3.1GHz)。Apple StoreによるカスタマイズでCore i7 2.9GHz(Turbo Boost時最大3.6GHz)に変更が可能。ただし15型では標準モデル、カスタマイズモデルともにクアッドコアが搭載されているが、13.3型ではいずれもデュアルコアプロセッサとなる。

 搭載メモリは8GBでオンボード。15型に用意されていた16GBへのオプションはなく、13型では全モデルが8GBの設定だ。ストレージはAppleがフラッシュストレージと呼ぶ事実上のSSDで、最小128GBから768GBまでカスタマイズが可能。もう1つ15型との大きな違いはディスクリートGPUを搭載せず、グラフィックス機能にIntel HD Graphics 4000のみを採用する点が挙げられる。

 インターフェイスは、Thunderbolt×2、USB 3.0×2、HDMI出力、SDXCカードスロット、ヘッドフォンジャックなど、左右の配置も含めて15型と同等になる。本体サイズは、314×219×19mm(幅×奥行き×高さ)。仕様によれば15型より1mm厚いことになる。本体重量は1.62kg。74Whのリチウムポリマーバッテリを内蔵し、15型と同じ最大7時間のバッテリ駆動を行なう。

 価格は標準構成の2.5GHz/8GBメモリ/128GBストレージが144,800円。上位モデルは256GBストレージとなって168,800円。上記以外の構成はApple Storeによるカスタマイズとなるが、本体のカスタマイズ要素は前述したCPUのi7化とストレージの増量となる。発表と同時に発売を開始しており、日本では10月24日から購入が可能だ。

 同製品の発表で、ポータブル製品のラインナップは11型、13型の「MacBook Air」、13型、15型で光学式ドライブを内蔵する「MacBook Pro」、そして新たに加わった13型と15型でRetina解像度のディスプレイを搭載する「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」となった。13.3型はすべてのラインナップに共通して存在し、いずれも16:10のパネルを搭載するため、ポータブルのMac製品選びにおける指標の1つになるものと思われる。

Retinaディスプレイを搭載するMacBook Proが、13型と15型となった15型同様にディスプレイ部分は薄くなった。Airとは異なりキーボード側もフラット2,560×1,600ドット、227ppiの13.3型IPS液晶パネルを搭載する

●最薄部5mmを実現した新世代iMac

 ディスプレイ一体型のiMacは、パネルエッジにあたる最薄部が5mmというより薄型のデザインへとリニューアルされた。発表会のコメントと同社サイトによると、本体容積は最大40%小さくなったという。薄型化の要素として光学式ドライブを廃したことと、一から設計しなおしたというディスプレイにある。液晶自体が前モデルに比べて5mm薄くなったほか、カバーガラスと液晶を密着させるフルラミネーションと呼ばれる加工法を採用した。

エッジ部分が5mmまで薄くなったiMac

 本体基板は背面の中央部にまとめられる形で、エッジ部分からなだらかに膨らんでいく構造。インターフェイスはThunderbolt×2、USB 3.0×4、Gigabit Ethernet、ヘッドフォン端子、そして従来の側面から移動したSDXCカードスロットを含めて、すべてが背面にまとめられている。プロセッサおよびチップセットがIvy Bridge世代へと移行したことで、USB 3.0が採用されているのも特徴だ。

 従来どおり、21.5型と27型がラインナップされ、標準構成としてそれぞれ2モデルの計4モデルが用意される。

 21.5型はクアッドコアのCore i5 2.7GHz(Turbo Boost使用時最大3.2GHz)とCore i5 2.9GHz(Turbo Boost使用時最大3.6GHz)。標準搭載メモリは8GB、ストレージは1TB(5,400rpm)が標準。ディスクリートGPUは前者がGeForce GT 640Mで後者がGeForce GT 650M。Apple Storeにおけるカスタマイズ要素としては、上位下位ともに16GBメモリに変更できるほか、上位ではプロセッサをCore i7 3.1GHz(Turbo Boost使用時最大3.9GHz)に変更できる。加えてAppleが「Fusion Drive」と呼ぶ、いわゆるSSDとHDDを組み合わせた1TBのストレージへと交換が可能だ。

 27型はクアッドコアのCore i5 2.9GHz(Turbo Boost使用時最大3.6GHz)とCore i5 3.2GHz(Turbo Boost使用時最大3.6GHz)。標準搭載メモリは8GB、ストレージは1TB(7,200rpm)が標準となる。ディスクリートGPUは前者がGeForce GT 660Mで後者がGeForce GTX 675MX。Apple Storeにおけるカスタマイズ要素としては、21.5型と同様にメモリを増量して16GBか32GBの構成が選べる。異なる点は21.5型がAppleによるカスタマイズであるのに対し、27型ではAppleによるカスタマイズのほか、ユーザーがアクセスできる4本のSO-DIMMスロットがあるという点だ。HDDも3TBが選べるほか、1TBまたは3TBのFusion Drive、あるいは768GBのフラッシュストレージの選択ができる。また、上位モデルはディスクリートGPUをGeForce GTX 680MXにすることも可能となっている。

 Fusion Driveは、いわゆるSSDとHDDを組み合わせたハイブリッドドライブに似ているが、SSD部分の容量が128GBと大きいのが特徴だ。運用としては、Intel SRT(Smart Responce Technology)に近いものと想像される。

 21.5型は本体サイズが528×175×450mm(同)で重量は5.68kg。27型は650×203×516mm(同)で重量は9.54kg。

 21.5型の価格は店頭販売される2モデルがそれぞれ108,800円/128,800円。27型はそれぞれ154,800円/168,800円(いずれも税込み)となっている。出荷時期は21.5型が11月、27型が12月を予定する。


●Fusion Driveの選択も可能なMac mini
Ivy Bridge世代にリニューアルされたMac mini

 Mac miniもアーキテクチャがIvy Bridge世代へと置き換わった。元々Mac miniは製品サイクルの長い製品だが、今回は2011年7月以来のモデルチェンジとなる。ポイントはインターフェイスとしてUSB 2.0がUSB 3.0に置き換わった点と、FireWire 800が1ポート残った点だ。背面に集中するインターフェイスはThunderbolt×1、USB 3.0×4、FireWire 800×1、HDMI出力、Gigabit Ethernet、SDXCカードスロット、音声入出力端子となる。

 基本構成は2モデルで、それぞれデュアルコアのCore i5 2.5GHz(Turbo Boost使用時最大3.1GHz)、クアッドコアのCore i7 2.3GHz(Turbo Boost使用時最大3.3GHz)を搭載する。メモリは4GB(2GB×2)が標準で、8GB/16GBへの変更が可能。ユーザーがアクセスできるスロットがあるが、出荷時点で2スロットともに埋まっているため、Apple Storeによるカスタマイズ以外でメモリを増やす場合は、既存のものと交換することになる。

 下位モデルと上位モデルでは標準のストレージが異なり、前者は500GB(5,400rpm)、後者は1TB(5,400rpm)。上位モデルはカスタマイズ要素として、1TBのHDDを265GBのSSDあるいは1TBのFusion Driveに交換することが可能だ。サイトでは256GBをソリッドステートドライブと明記してあるので、ポータブル製品のようにフラッシュストレージと呼ばれるスティック型ではなくドライブとしての形状をもったSSDに換装されるものと推測される。

 iMacは現時点でApple Storeでのカスタマイズが行なえない状態だが、発表と同日出荷となっているMac miniではカスタマイズのシミュレーションが可能だ。上位標準の1TB(5,400rpm)のドライブを1TBのFusion Driveに換装した場合の差額は23,100円となっている。iMacではFusion Driveへの換装が可能な1TBでも7,200rpmのドライブを採用しているため同じ1TBでも差額はやや異なるものと思われるが、おおよその価格差として想像していいだろう。ちなみに256GBのSSDへの換装は27,720円に設定されている。

 Mac miniの価格は下位モデルが52、800円、上位モデルが68,800円。ほかにServer搭載製品として88,800円の製品が用意される。

 この日に発表されたMac製品はいずれもOS X 10.8 Mountain Lionをプリインストールして出荷される。個々の製品については、後日本誌でのレビューを予定している。


(2012年 10月 24日)

[Reported by 矢作 晃]