インテル、Ultrabookの最新機能を解説

ポール・リーツィー氏

10月23日 実施



 インテル株式会社は23日、最新Ultrabookに搭載される機能についての説明会を開催した。

 Ultrabookが登場して1年が経った。6月を境にプラットフォームがSandy BridgeからIvy Bridgeへと切り替わったが、Windows 8の発売を目前に控え、タッチに対応するものも各社から登場。中でも新機軸のフォームファクタとしてインテルが期待を寄せるのが、コンバーチブル型のUltrabookだ。

 というのも、コンバーチブル型には、液晶パネルが回転するものと、スライドするものがあるが、いずれもさまざまな制約の中で21mm、19mmといったUltrabookの厚さの規定を満たし、従来からの可搬性を維持。加えて、コンテンツの視聴などに向くタブレットと、制作に向くクラムシェルPC双方の長所を併せ持つからだ。また、それらの中には、加速度や地磁気などの各種センサーを内蔵するものや、NFCといった新しいインターフェイスを採用するものも少なくない。

 本説明会のため来日した米Intel本社コンシューマー・チャネル・グループ テクニカル・セールス&アーキテクチャー・イネーブリング担当ディレクターのポール・リーツィー氏は、こうした最新Ultrabookの特徴を、直感的、快適、安全、つながるという4つの切り口で紹介した。

最新のUltrabook。リーツィー氏は、数人の同僚とこれらのUltrabookをハンドキャリーで運び、現在各地で説明会を開いているのだというこれからのUltrabookの特徴

 直感的というのは、タッチに代表される誰にでも分かりやすいユーザーインターフェイスのことだが、すでにWindows 8用に加速度センサーを使って本体を傾けて操作するゲームや、Webカメラで紙に印刷された車のハンドルの模様を読み取ることで操作するレースゲームなども開発されていることを実機でデモした。また、「Siri」の音声認識エンジンを開発したNuance Communicationsによる、PC用音声認識ソフト「Dragon Assistant」のデモもあった。

【動画】タッチでフリスビーを投げて、その後PC本体を傾けて操作するゲーム
【動画】Webカメラを使って、紙に描かれたハンドルを認識し、それで操作するレースゲーム。プレイ中は視線のチェックも行なっており、視線を動かすとゲーム内の視線も変わる
【動画】WebカメラをKinectのように使ってジェスチャーでプレイするゲーム
【動画】音声認識によるWeb検索

 快適というのは性能のこと。Ultrabookでは、Ivy Bridgeのプロセッサ処理能力だけでなく、ストレスのない応答性も訴求している。会場では、Sandy BridgeベースのPentium搭載ノートと、Ivy Bridge搭載Ultrabookの性能を比較した。最初のデモは、アプリケーションの多重起動を行なうもので、Ultrabookの方が2倍近く高速だった。これは、CPU性能による部分もあるが、PentiumノートがHDDだけを搭載し、Ivy Bridge UltrabookがSmart Response Technologyを利用したSSDキャッシュに使っている影響が大きい。

【動画】Pentiumノート(左)とIvy Bridge Ultrabook(右)でのアプリケーション同時起動ベンチマーク。右の方が格段に速く起動しているのが分かる

 安全については、同社のAnti Theft Technologyが紹介された。これは読んで字のごとく、盗難や紛失に対する技術。一般のユーザーには馴染みが薄いと思うが、日本語化され、ソニー「VAIO Duo 11」などにも搭載されている。

 この技術を使うと、盗難/紛失したPCを別PCのブラウザからロックし、他人が起動できないようにできる。リモートからロックするには、該当PCがネットにつながっている必要があるが、指定した日数ネットにつながらなかった場合、自動的にロックさせることもできる。また、そのPCをみつけた人に対して「これをみつけたら、こちらまでご連絡ください」といったメッセージを表示することもできる。Ultrabookだけの機能ではないが、機密情報を扱う法人のモバイルPCでは重宝するだろう。

Anti Theft Technologyのコンソール画面。ブラウザで管理できる拾得者に対して、任意のメッセージを表示する機能もある

 つながるについては、WiDi(Wireless Display)のデモが紹介された。

 このように、Ultrabookは、当初の薄く、軽く、速い以外に、タッチやセンサーなどの新しいインターフェイスも盛り込むようになった。この進化はこれだけに留まらず、インテルでは、2013年に向けConnected Stanbyに対応する「Haswell」の搭載や、より感覚的なコンピューティングを実現する技術、インターフェイス、フォームファクタへの展開を計画している。

WiDiのデモ。抱えたUltrabookから指定した動画を背後のTVに転送しているUltrabookは2013年以降も進化を継続

(2012年 10月 24日)

[Reported by 若杉 紀彦]