Apple、iPhone 5を発表。国内でも9月21日から発売
〜iPhone史上初めてアスペクト比とDockコネクタを変更

iPhone 5

9月12日 (現地時間)発表



 米Appleは9月12日(現地時間)、サンフランシスコ市内にあるYerba Buena Center for the Artsでメディア向けの新製品発表イベントを開催。iPhoneの新製品にあたる「iPhone 5」など複数の製品を発表した。主力製品と目されるiPhone 5は9月21日に日本を含む9つの国や地域で販売を開始する。日本におけるキャリアは、従来と同様にソフトバンクとauの2キャリア。北米での事前予約は14日から行なわれる予定だ。

●iPhone史上はじめてとなるアスペクト比の変更とLightningの採用

 iPhone 5は新たに縦長のデザインを採用した。スクリーンサイズは現行モデルのiPhone 4Sの3.5型から4型へと拡大。また画面のアスペクト比は日本未発売の初代iPhone以来はじめての変更を行なっており、16:9の比率となった。解像度は1,136x640ドットで、iPhone 4Sの960×640ドットから縦が176ドット増加している。Retinaディスプレイを称するppiの値は326ppiでiPhone 4Sと同等。アスペクト比の変更に伴う従来アプリケーションの表示は、縦位置での表示、横位置での表示ともに、パネルの両端に暗部がでる中央表示。Apple純正Appをはじめとする対応Appであれば、フルスクリーン表示が行なわれる。

 搭載するプロセッサはA6で、iPhone 4SのA5、新しいiPadのA5Xのいずれとも異なる。プロセスルールやメモリ領域などの詳細は明らかにされていないが、iPhone 4SのA5に比べて最大2倍のCPU能力、最大2倍のグラフィック能力を有するとAppleは説明している。

 本体サイズは58.6×123.8×7.6mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は112g。これはiPhone 4Sに比べて1.7mm薄く、28gの軽量化がなされている。幅は同じで、高さは前述の通りに高くなっている。

 モバイル通信機能はLTEに対応した。日本国内ではキャリア別にGSMモデルとCDMAモデルの2つが用意され、前者はUMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850/900/1,900/2,100MHz)、GSM/EDGE(850/900/1,800/1,900MHz)、LTE(バンド1/3/5)。後者はCDMA EV-DO Rev. AおよびRev. B(800/1,900/2,100MHz)、UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850/900/1,900/2,100MHz)、GSM/EDGE(850/900/1,800/1,900MHz)、LTE(バンド1/3/5/13/25)。無線LAN機能はiPhoneとして初めて5GHz帯に対応して、IEEE 802.11a/b/g/n(802.11nは2.4GHz/5GHz)をサポートする。理論上の最大通信速度は150Mbps。Blutooth 4.0は従来モデルと同様。

 本体には充電式のリチウムイオンバッテリを内蔵し、3G通話/Webブラウズ8時間、LTE Webブラウズ8時間、Wi-FiのWebブラウズ10時間、ビデオ再生10時間、音楽再生40時間、連続待ち受けは225時間という長時間駆動を実現している。バッテリ容量は非公表。イヤフォンもモデルチェンジして「EarPods」と呼ばれる新デザインのものが付属する。

iPhone 5と付属する新しいイヤフォンの「EarPods」

 リア側カメラは8メガピクセルのiSightカメラ。iPhone 4Sに比べて容積を25%小型化した。スペック上は同等で、3,264×2,448ドットの静止画撮影。裏面照射型CMOSを採用してF値は2.4。5群のレンズで構成される。暗所に対応するDynamic Low Lightモード、パノラマ撮影機能などが追加される。パノラマ機能については継続販売されるiPhone 4Sにも対応表記があることから、iOS 6への更新で実現されるものと推測される。動画は1080pで最大30fpsの撮影が可能。動画撮影時の静止画同時撮影機能も追加された。一方フロント側にあたるFaceTimeカメラはHD化されて、720pのHDビデオ撮影にも対応。1.2メガピクセルカメラを搭載する。

 画面の大型化およびアスペクト比の変更と並ぶ従来製品との大きな変更点は、Dockコネクタの部分。2003年からiPodに採用されている30ピンのDockコネクタを廃して「Lightning」と呼ばれる新しいコネクタインターフェイスを採用する。同社はこれによりコネクタ部分を80%コンパクトにしたと説明している。このLightningは8つの接点をもつコネクタで、挿入時に表裏を考える必要のないリバーシブルなデザイン。Lightningで伝送される信号はすべてデジタル化される。従来のDockコネクタに対応する周辺機器向けに変換アダプタ「Lightning-30ピンアダプタ」が発売されるが、アナログオーディオ、コンポジットビデオなどのアナログ信号がどのように扱われるかは現時点では詳細がわからない。Lightning-30ピンアダプタへの対応状況などは、いずれ周辺機器メーカーからもアナウンスがあるものと思われる。

 iPhone 5へ搭載されるiOSは、6月のWWDC 2012でアナウンスされた「iOS 6」。地図アプリがGoogleからAppleのインハウスAppに変更されるほか、Passbook、Facebook連携などの新機能が搭載される。現時点ではiPhone 4Sに搭載されたSiriやiPhone 4Sと同時に発表された「Cards」、「友だちを探す」Appのような隠し球はない模様で、WWDC 2012で明らかにされた機能がそのまま搭載される見込み。iOS 6の新機能については、該当記事が詳しいので、そちらをあわせて参照して欲しい。

 iOS 6は、iPhone 5の発売に先行して既存のiOSデバイス向けに9月19日からアップグレードが提供される。米国での発表のため明確ではないが、従来の例によれば、おそらく北米時間にあわせた世界同時のリリースになると推測される。iOS 6へのアップグレート対象機種は、iPhoneが3GS(2009年発売)以降、iPadはiPad 2(2011年発売)以降、iPod touchが第4世代(2010年発売)以降。ただし、ハードウェアの制限などからすべての製品で、iOS 6の新機能すべてが利用できるわけではない。

 iPhone 5の発売日は冒頭で紹介したとおり9月21日。日本をはじめ、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、香港、シンガポールの9つの国や地域で発売される。翌週にあたる28日にも発売地域を追加するほか、2012年末までには世界100カ国、240以上のキャリアから発売するとしている。当初発売国となる9つの国や地域では9月14日から予約を受け付ける。本体色は、黒が基調の「ブラック&スレート」と白が基調の「ホワイト&シルバー」。本体外装はガラスとアルミニウムで構成されており、アルミニウム部分がスレート、シルバーにあたる。

iPhone 5の「ブラック&スレート」 iPhone 5の「ホワイト&シルバー」

 iPhone 5の北米における販売価格は、16GB/32GB/64GBモデルのそれぞれで199/299/399ドル(2年間の契約を伴う)となっており、これは従来モデルのiPhone 4Sの初期設定価格と同等。北米ではiPhone 4、4Sともに継続販売され、iPhone 4は8GBで無料、iPhone 4Sは16GBで99ドル(いずれも2年間の契約を伴う)となっている。日本での価格設定は現時点で未発表。国内サイトでもiPhone 4S、iPhone 4ともにラインナップの比較ページが存在するが、詳細は国内発表を待つ形になる。

 なお、関連アクセサリについては国内でもオンラインのApple Storeですでに価格が案内されており、「Lightning-USBケーブル」が1,880円、「Lightning-30ピンアダプタ」が2,800円、「Lightning-30ピンアダプタ(0.2m)」が3,800円。

●iPod nano、iPod touchをリニューアル

 iPhone 5の発表にあわせて、ミュージックプレイヤー「iPod」のラインナップも更新された。2011年のiPod製品は価格改定や本体色変更などを中心としたいわゆるマイナーチェンジだったが、今回は「iPod nano」、「iPod touch」が大きな変貌を遂げている。

 iPod nanoはそのデザインにおいて世代ごとに大きな変遷を繰り返しているが、第7世代となる2012年の製品は、第6世代の正方形に近いデザインから再び縦長のデザインへと変更された。本体サイズは39.6×76.5×5.4mm(同)で、重量は31g。従来モデルより38%薄くなり、2.5型のマルチタッチ対応カラー液晶を搭載する。

 画面の下部にメニューを表示するホームボタンのほか、ボリュームの上下、再生/停止のハードウェアボタンを側面に備えている。またBluetooth 4.0も新たに対応した。第6世代ではなくなっていた動画再生機能も復活する。前述のiPhoneと同様にコネクタは従来のDockコネクタからLightningへと変更された。EarPodsが付属する。

 本体のカラーはスレート(黒)、シルバー、パープル、ピンク、イエロー、グリーン、ブルーの7色とApple Store限定カラーの(PRODUCT RED)。メモリ容量は16GBモデルのみ。北米では149ドルと発表された。日本国内価格は12,800円で、9月14日から予約注文を受け付ける。出荷時期は10月を予定する。

2.5型のマルチタッチ画面を採用した第7世代iPod nano。 本体のカラーはスレート(黒)、シルバー、パープル、ピンク、イエロー、グリーン、ブルーの7色。ほかにApple Store限定カラーの(PRODUCT RED)も販売される

 またiPod Touchは、iPhone 5と同様に4型で16:9のパネルを搭載する第5世代モデルとなった。プロセッサはiPhone 4Sと同じA5を採用。iPod touchとしては初めてデュアルコアプロセッサを搭載する。本体サイズは58.6×123.8×6.1mm(同)で、重量は88g。iPod touch史上、もっとも薄いモデルになったという。

iPhone 5と同様に、アスペクト比16:9のパネルを採用した第5世代iPod touch

 リア側カメラは5メガピクセルの裏面照射型CMOSを採用するiSightカメラ。F値は2.4。5群のレンズで構成される。フロント側にあたるFaceTimeカメラはHD化されて720pのHDビデオ撮影にも対応。1.2メガピクセルカメラを搭載する。Wi-Fi機能もiPhone 5と同様に5GHz帯に対応して、IEEE 802.11a/b/g/n(802.11nは2.4GHz/5GHz)をサポートする。理論上の最大通信速度は150Mbps。Blutooth 4.0+LEを搭載。

 ユニークな特徴としては本体背面に留め具のような構造が追加された。これは「iPod touch loop」と呼ばれるストラップを引っかけて固定する部分で、オプションとはいえiOSデバイスに初めて純正のストラップが付くことになる。

 本体のカラーはスレート(黒)、ホワイト、ピンク、イエロー、ブルーの5色とApple Store限定カラーの(PRODUCT RED)。32GBと64GBのモデルが用意され、北米における価格はそれぞれ299/399ドル。日本国内価格は32GBモデルが24,800円、64GBモデルが33,800円で出荷時期は10月。従来の第4世代iPod touchも継続して販売される。


スレート(黒)、ホワイト、ピンク、イエロー、ブルーの5色。Apple Store限定の(PRODUCT RED)も別途販売される 第5世代iPod touch。背面左下にある円形の部分が「iPod touch loop」の留め具 「iPod touch loop」を取り付けた様子。iOSデバイスでは初めての純正ストラップ

 あわせてAppleは、新しいiTunesを10月にリリースすることも発表した。新しいMini Player搭載や、iCloudへの対応、そしてライブラリの表示方法などを一新する。9月12日(現地時間)付けで、iOS 6に対応するiTunes 10.7のダウンロードがスタートしているが、10月にリリースされるiTunesはバージョン11に該当する新アプリケーションとなる模様である。

10月にリリースされる次期iTunes。Mac/PC向けのほか、iOS版の表示も変更される

(2012年 9月 13日)

[Reported by 矢作 晃]