日本マイクロソフト株式会社は3日、同社代表執行役社長の樋口泰行氏による2013年度経営方針記者会見を開催。この中で樋口氏は、核となる経営方針はこれまでのものを踏襲しつつ、事業については特にWindows 8に注力していく姿勢を明らかにした。
同社の会計年度は米本社と同じ7月1日から始まり、日本では過去10年この時期に新年度の経営方針の説明会を開いてきた。
樋口氏はまず、現在の日本を取り巻く環境として、政治の停滞、先行き不透明な経済、震災からの復興、国際競争力の低下といった問題、課題があると述べ、活性化には経営のスピードや効率の改善が必要だと説明。そのためには、新たなビジネスモデルやブレークスルー、そしてそれをもたらすための社内文化の変革や事業の集中と選択が必要だが、ビジネスを下支えする情報技術についても、変革が必要であり、そのためにも微力ながら貢献したいと述べた。
そういった中、2012年度の自己評価は、着実に進化を遂げた1年だったという。日本法人は2011年度に、全世界のMicrosoft現地法人の中で、No.1カントリーの栄誉に輝いた。日本マイクロソフトは3年連続で予算を達成し、先進国では最も高い成長率を記録。2011年に品川に本社機能を集約したことも影響し、特に2012年度の法人市場では2桁成長だったという。2012年度の結果はまだ出ていないが、樋口氏は2年連続の受賞に大きな自信を覗かせた。
日本を取り巻く環境 | 2012年は着実な進化を遂げた1年と評価 |
社長就任5年目の抱負 |
今年度、日本マイクロソフトに樋口氏が社長就任してから5年目になる。Microsoftは米国主体であるため、日本側で事業の集中/選択といったことを行なうのではなく、本社と円滑に連携しながら、日本にあった事業を行なうことが樋口氏の使命となる。当初の3年では、“破壊と創造”による新しい組織作り、会社一丸での事業運営、中長期視点での日本市場へのコミットなどを行なってきた。
そして、樋口氏は2012年度に社名をマイクロソフトから日本マイクロソフトへと変更し、日本に根付き、日本で真に信頼される企業になると宣言したが、2013年もこの方針を踏襲する。
その要となる具体的事業がデバイスと、クラウド、ソリューションとなる。
デバイスについては、2012年後半に製品発売が控えたWindows 8に全面注力する。新しいユーザーインターフェイスでWindowsを再創造しながらも、同社の強みであるパートナーエコシステムをさらに拡大し、PC市場を活性化させていく。特にMetroアプリについては、iOSやAndroid開発者も巻き込んだ大がかりな開発支援を行なっていくという。Windows 7では、関連ビジネスの経済規模が2兆3千億円に及んだと言うが、樋口氏は、Windows 8は7や95を超える変革であり、Windows 7を超える経済効果をもたらす起爆剤になるのではとの見通しを示した。
質疑応答でも樋口氏は、Windows 8について「できが良いので、課題が見当たらない」と答えるほどで、BingやWindows Phone、ゲームなど課題の残る事業でもWindows 8との連携をテコに巻き返しを図る。
クラウドも現在同社が全世界的に注力している分野だが、日本では実績も好調だという。この勢いをさらに加速するべく、データベースやプライベートクラウドなどの専任部隊を配置し、日本市場で求められる品質を実現していくとした。
(2012年 7月 3日)
[Reported by 若杉 紀彦]